10月6日暗号資産ニュース:VisaのVTAP・Telegram Gifts・Ubisoft

2024年10月6日分のニュースから、VisaのVTAP、Telegram Gifts、Ubisoftの資本政策を取り上げる。いずれも将来の展開が注目されたが、試験、提供開始、報道、契約は別の段階である。本稿では当時の発表を確認し、2025年に公表された情報は後日の経過として加える。

VisaのVTAPは銀行によるトークン発行を支える仕組み

Visaは2024年10月3日、Visa Tokenized Asset Platform、略称VTAPを発表した。旧記事にあった「代替資産プラットフォーム」という説明より、銀行などの金融機関が法定通貨を裏付けとするトークンを発行・管理するための仕組みと理解する方が、発表の内容に近い。

対象となるのは金融機関であり、一般のカード利用者が新しい投資銘柄を購入するサービスの発表ではない。Visaは参加する金融機関向けに、開発者向けプラットフォームを通じて試験環境を提供すると説明していた。カード決済が全面的にブロックチェーンへ切り替わったというニュースでもなかった。

トークン化された預金やステーブルコインなどを扱うため、発行、移転、消却を試す機能が想定されていた。ここではVisaが各銀行のトークンを一律に発行するのではなく、銀行が自らの仕組みを構築するための基盤を提供するという役割の違いがある。

発表の意義は既存の金融機関がブロックチェーン上の決済を試す手段を得る点にある。ただし、技術の提供だけで、すべての国の銀行が同じ商品を同じ条件で顧客に提供できるわけではない。利用する銀行、発行されるトークン、提供地域を特定しなければ、個別サービスの内容は判断できない。

BBVAの本番試行は2025年の目標として示された

Visaの同じ発表では、BBVAが2024年にVTAPの試験環境を使っていたことが紹介された。銀行トークンの発行、移転、償還や、スマートコントラクトとの連携をテストネットで試していたという。実際の顧客資金を用いる本番サービスとは、まずこの段階を分けて見る必要がある。

そのうえで、BBVAは2025年に一部の顧客を対象として、パブリックなEthereum上で最初の本番試行を行うことを目標としていた。2024年10月時点の資料が示しているのはこの予定であり、すでに一般顧客全員が利用しているという実績ではない。

発表には、条件を満たした際に支払いを実行する仕組みや、トークン化された資産の決済など、考えられる用途も挙げられている。しかし、用途の例が紹介されたことと、それぞれの商品がすべて稼働したことも異なる。試験で確かめる機能と、将来の使い方の構想を混ぜない読み方が必要だ。

本稿では当初の発表を検証しており、2025年以降のすべての試行結果を確認したものではない。過去の「予定」を現在の「提供中」へ書き換えるには、その後の銀行側の開始案内が必要になる。VTAPという基盤の発表日だけでは、個別の顧客向けサービスの開始日までは分からない。

Telegramが10月5日に導入したGiftsの内容

Telegramは2024年10月5日付の公式ブログでGiftsを発表した。利用者はTelegram Starsを使って相手にギフトを送り、アニメーションの絵柄にメッセージを添えられる。誕生日や祝日などの贈答をアプリ内で行う機能として紹介されていた。

受け取った人はプロフィールに表示するか、ギフトを手放して一部のStarsを受け取ることができると説明されている。「一部」という点が重要で、購入に使ったStarsの全額が常に返ることや、同額の現金へいつでも換えられることを意味しない。

送信者はプロフィール上で名前を非表示にする選択もできたが、受信者には誰が送ったか分かるという仕様だった。第三者に表示する情報の設定と、受取人にも完全に匿名であることは違う。ギフトがプロフィールにどう見えるかを説明する際には、この範囲を押さえたい。

一方、旧記事は限定ギフトをTON上のNFTに変換できる機能まで、この時点で導入済みのように記載していた。10月5日の公式ブログから確認できる贈答・表示・Starsへの交換と、その後のコレクティブル機能は分ける必要がある。後年の機能を初期版にさかのぼって説明しないよう訂正する。

コレクティブル化とTON移転は2025年1月の更新

後日の展開として、Telegramは2025年1月1日の更新で、受け取ったギフトをコレクティブルへアップグレードする仕組みを紹介した。外観や背景、番号などの属性が付与され、利用者間の移転などにつながるものだった。10月のGiftsから一段進んだ機能として位置付けられる。

当初からすべてのギフトが同じように対象だったという説明でもない。1月のブログは、その時点でアップグレードできる既存ギフトが20種類を超えることと、今後さらに増やす方針を示している。対象範囲を確認せずに、手持ちのギフトは何でも同じ処理ができると案内するべきではない。

続いて1月24日の更新では、ギフトをTONブロックチェーンへ移して、外部のウォレットやオークションなどにつなげる機能が案内された。アプリ内のプロフィール表示、コレクティブルへの変更、ブロックチェーンへの移転という三つの操作は、同じ意味ではない。

したがって、2024年10月6日分の記事を振り返る際は、初期のGiftsが登場したことと、2025年に追加された機能を時系列で説明するのが適切だ。機能が追加されたことは、個々のギフトが高値で売れる保証でもない。移転できる仕組みと、買い手が付くかどうかという市場の問題は別に残る。

Ubisoft買収の話題は当時の報道段階だった

旧記事はTencentとGuillemot家によるUbisoft買収の検討を取り上げていた。当時の状況について、AP通信の2024年10月4日付記事は、Bloombergの報道を受けて株価が上昇したと伝えている。同記事ではUbisoftがコメントを控え、Tencentからも直ちに回答がなかったとされていた。

この段階で読者が区別したいのは、買収を検討しているとの報道、取締役会などが合意した取引、必要な手続きを終えた取引の三つである。株価が報道に反応したとしても、それが買収完了の証拠になるわけではない。

特に企業名だけでニュースを追うと、出資先が親会社なのか子会社なのか、取得するのが全体なのか少数持分なのかを取り違えやすい。ゲーム会社の買収と、特定の事業をまとめた会社への出資では、経営権や対象となる事業が異なる。

2024年10月の噂が後日の特定の取引と同じだったと決めつけることも避けたい。その後に公式な契約が発表された場合は、新たな発表の日付と内容を示して比較する必要がある。過去の観測報道を、後から成立済みの事実へ書き換えることはしない。

後日の公式発表は新子会社への少数出資だった

Ubisoftは2025年3月27日、Assassin’s Creed、Far Cry、Tom Clancy’s Rainbow Sixを軸とする専用子会社の設立と、Tencentによる11億6,000万ユーロの出資契約を発表した。対象はUbisoft全体の買収ではなく、新子会社への少数出資だった。

公表された条件では、Tencentが得る経済的持分は約25%で、取引後もUbisoftが新子会社を単独で支配し、連結対象とする予定だった。約25%という割合を、Ubisoft本体の全株式に対する比率と読み替えることはできない。

また、3月の発表は契約と予定を説明するもので、必要な規制上の承認や新子会社の切り出しなどを条件としていた。ここで確認している資料だけをもって、発表日に出資金の受領まで完了したとすることはできない。契約の公表と取引実行は分けて記載する。

Visaの試験基盤、Telegramの段階的な機能追加、Ubisoftの資本取引には、それぞれ異なる時間軸がある。10月6日分では当時の情報を出発点に、後日確認できた内容を追記として示した。現在のサービス利用や投資判断に直結させる前に、どの時点の何を説明した発表なのかを確かめたい。

よくある質問

Q. VTAPは2024年10月に一般消費者向けに稼働したのですか?

A. 当初は参加金融機関がトークンの発行などを試す環境として案内されました。BBVAの一部顧客向け本番試行は2025年の目標でした。

Q. Telegram Giftsは登場時からTONへ移せましたか?

A. 10月5日の発表は贈答・表示などの機能です。コレクティブル化は2025年1月1日、TONへの移転機能は同月24日の更新として区別しています。

Q. 2025年3月の発表はTencentによるUbisoft全体の買収ですか?

A. 新子会社への少数出資契約です。約25%の経済的持分は新子会社に関する数字であり、Ubisoft全体の買収を意味しません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。