2025年3月16日は、翌週の米金融政策を前に、ビットコインの持ち合い予測や政府関係者の資産整理が話題となった。州議会の暗号資産法案や、新規トークンの配分計画にも動きがあった。ただし、相場の予測、手続きの進展、資金の受け取りは別々の段階にある。日付と数字の意味を確かめながら、当時の状況を振り返る。
FOMCは米国時間3月18〜19日、日本では20日未明に注目
FRBが事前に公表した日程では、2025年3月のFOMCは18日と19日の開催だった。通常会合の声明は2日目の米東部時間午後2時、議長会見は午後2時30分に予定される。米国が夏時間に入っているため、日本では20日午前3時と午前3時30分に当たる。会合自体が20日以降に始まるわけではない。
3月16日の時点では、会合の決定はまだ出ていない。市場が据え置きを見込んでいても、それは決定済みの金利ではなく、参加者の予想である。先物から計算する確率も、その時点の価格に依存するため、取得時刻を示さずに固定値として扱うと誤解を招く。
据え置きという結果だけで、暗号資産が必ず上がるとも下がるともいえない。金利の決定に加え、その後の政策への説明や景気認識が、市場の事前予想とどれだけ違うかも関係する。予定の確認と、決定後の評価を分けておくことが、この週のニュースを追う出発点になる。
関税を巡る景気後退説は、政府が認めた計画とは限らない
関税強化によって景気を冷やし、FRBに利下げを促すという説明は、政策の狙いについての一つの解釈である。これを政府の公式な計画として紹介するには、発言者や政策文書などの根拠が必要だ。経済に起こり得る影響を述べることと、政権の意図を立証することは同じではない。
関税は輸入品のコストを通じて物価を押し上げる要因にもなる一方、企業の投資判断や家計の購買力にも影響し得る。景気が弱まる可能性だけを見て、直ちに利下げへ結び付けると、物価上昇との兼ね合いが抜け落ちる。中央銀行の判断を単一の政治的な動機で説明するのは難しい。
国債利回りの変動についても、海外投資家の売買だけでなく、将来の金利や物価への予想など複数の要因がある。金価格や株価が動いたという結果だけから、特定の政策が唯一の原因だったと断定することはできない。相場の動きと、その理由として提示された仮説を分けて読む必要がある。
なお、この時点のトランプ氏は米国の現職大統領である。過去の政権の政策を振り返る記述なのか、2025年の政策を論じる記述なのかをそろえなければ、関税を巡る出来事の時系列も曖昧になる。
BTCの長期停滞は予測であり、2万ドル台への下落を示していない
3月15日付のCointelegraphの報道では、10x ResearchのMarkus Thielen氏が、ビットコインに2024年と似た長めの持ち合いが再現する可能性を指摘した。これは将来の値動きについての見解であり、今後8か月間の停滞が確定したという観測結果ではない。
同報道が振り返った2024年の動きは、3月に高値を付けた後、11月の米大統領選までおおむね2万ドルの値幅で推移したという説明だった。「2万ドル前後の価格まで落ちて、そのまま停滞した」という意味ではない。価格の水準と、上下の差である値幅を取り違えると、市場の歴史がまったく別のものになる。
過去と似たチャートの形が見えても、その後の期間や変動幅まで同じになる保証はない。金融環境や資金流入の状況が違えば、似た形から別の展開も起こり得る。チャートの呼び名は分析の手掛かりであって、決められた結末を示すものではない。
ETFについても、値下がりした日に必ず買いが入るとは限らない。特定日の純流入・純流出を調べる場合は対象商品と日付をそろえ、アナリストが予想する需要と実際の資金フローを区別したい。価格予測を読む際には、発言時点、想定条件、予測であることの三点が欠かせない。
Sacks氏の売却は本人とCraft Venturesを合わせて2億ドル超
ホワイトハウスの法律顧問がDavid Sacks氏に宛てた3月5日付メモは、本人とCraft Venturesがデジタル資産業界に関係する持分を合計2億ドル超売却し、そのうち少なくとも8,500万ドルが本人に直接帰属すると記している。2億ドル全額を本人の暗号通貨保有額として扱うのは誤りだ。
メモはBTC、ETH、SOLなどの流動性のある暗号資産に加え、Bitwiseの指数ファンド、CoinbaseやRobinhoodの株式、投資ファンドの持分などにも触れている。つまり売却対象はトークンだけではなく、関連事業への投資を含む。複数の資産区分を一括して「コインを売った」と要約すると内訳が失われる。
さらに、売却完了と売却手続きの開始も書き分けられている。一部の非上場持分やファンドを通じた利害は残っており、この文書はそれらも検討したうえで、一定の政策業務への関与を認める限定的な利益相反規定の適用除外を示したものだった。
したがって、大規模な売却を行った事実と、あらゆる経済的な利害がなくなったという説明は同じではない。メモの日付も、その内容が広く報道された日と区別する必要がある。公職に就く人の資産整理を読む際には、本人分、投資会社分、残存する間接保有をそれぞれ確認することになる。
ケンタッキー州HB701は知事送付済み、全面免税案ではない
州議会の公式記録では、HB701は2月28日に下院を91対0、3月13日に上院を37対0で通過し、3月14日に知事へ送られた。3月16日時点では、議会で可決されて知事の判断を待つ段階だった。議会通過の報道を、その日から法律が施行されたという案内に置き換えることはできない。
議会で可決された本文は、合法な商品やサービスの対価としてデジタル資産を受け取ること、ウォレットを使うこと、ノードの運営などを扱っている。ただし、事業者や個人に暗号資産での支払いを受け入れる義務を課す内容ではない。利用を認めることと、受け取りを強制することは異なる。
税に関する規定は、支払方法がデジタル資産であるという理由だけで追加の税や負担を課すことを制限するものだ。同様のドル建て取引にも適用する通常の税まで禁止していない。「暗号資産の取引ならすべて無税になる」という解釈は本文に合わない。
法案には、ノード運営などの送金業免許の扱いや、ステーキングサービスに関する州証券法上の扱いも含まれる。州の規定を改める提案であり、米国全体の法制度を一括して変更するものではない。原案と可決された版では内容が変わっているため、初期の要約だけを読むことにも注意が必要だ。
Shardeumの登録とRedStoneの配分計画は、即時の利益ではない
Shardeumの3月14日付公式告知では、Phase 1とPhase 2のエアドロップ対象として合計5,516,575SHMが示された。初期貢献者向けとインセンティブ付きテストネット向けの配分で、後者のスナップショットは3月1日だった。新しく登録するだけで誰でも同額をもらえる仕組みではない。
公式ページは、対象者が登録した後、トークン生成イベントに合わせて送付する流れを説明している。登録時点でトークンを受け取って売却できるという意味ではない。なお、現在参照できるページには3月21日と4月14日の締切説明が併存しており、更新後の記述をそのまま3月16日時点の確定日程として扱うことは避けたい。
RedStoneについては、3月15日のcrypto.newsが、REDの総供給量の4.5%をコアユーザーなどへの施策に用いるDRILL計画を報じた。プログラム全体への割り当てと、個人が受け取れる割合は別である。総供給の4.5%という数字から、参加者一人当たりの報酬や運用利回りを計算することはできない。
エアドロップや開発支援の配分には、対象者、対象期間、配布の手順という条件がある。割り当てが発表されても、価値が保証された現金収入が確定するわけではない。弱い相場で報酬に関心が集まる場合でも、過去の活動に対する選定と、これから参加できる募集を区別して読むことが大切だ。
よくある質問
Q. 2025年3月のFOMC声明は日本時間でいつの予定でしたか?
A. 会合は米国時間3月18〜19日で、声明の予定時刻は日本時間3月20日午前3時に当たります。
Q. Sacks氏個人が2億ドルの暗号通貨を売ったのですか?
A. メモの2億ドル超はCraft Venturesと合わせた業界関連持分の額で、本人への直接帰属分は少なくとも8,500万ドルとされています。
Q. HB701は暗号資産への税をすべてなくす法案ですか?
A. デジタル資産払いだけを理由に追加負担を課すことを制限する内容です。同様のドル建て取引にもかかる通常の税まで禁止するものではありません。
この記事の出典
- FRB:2025年FOMC予定
- Cointelegraph:10x Researchの持ち合い予測
- ホワイトハウス:David Sacks氏への3月5日付メモ
- ケンタッキー州議会:HB701の審議経過
- ケンタッキー州議会:HB701可決本文
- Shardeum:SHM配分対象と登録の説明
- crypto.news:RedStoneのDRILL計画
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




