
【要約】
・2025年の仮想通貨市場で、DOGE(ドージコイン)が再び注目度を高める重要要因が浮上
・トランプ政権の暗号資産関連施策や、イーロン・マスク率いるX(旧Twitter)の支払い導入構想などが価格の方向性を左右
・DOGEの原型「柴犬」飼い主が新たにBaseチェーンで「Cocoro」を発行し、ミームコイン分野が活発化
・ビットコイン(BTC)は8.2万ドルがサポートラインになる可能性が取り沙汰され、米国のインフレ動向と金融政策への関心が高まる
・グレイスケールやBitwiseのETF動き、さらには安定通貨(ステーブルコイン)関連ニュースが交錯し、今後の市場揺れ幅が拡大する見通し
DOGEの「終局」と機関投資進出の転換点
ドージコイン(DOGE)は誕生当初、いわゆる“迷因(ミーム)コイン”としてコミュニティ主導で盛り上がってきました。2013年に「ジョーク」から生まれたにもかかわらず、世界的な時価総額トップのミーム銘柄に躍進した背景には、イーロン・マスク氏によるSNS上での発言や、2024年の米大統領選(トランプ氏当選)をめぐる“話題性”が大きく影響しています。
しかし、2025年に入り、DOGEをめぐる地合いは単なる投機から「機関投資家にとっての投資資産」へと変化する転機を迎えています。
- グレイスケール(Grayscale)は2025年1月、「DOGE信託」を発表(運用資産額は約200万ドル)
- BitwiseもDOGEのETF(上場投資信託)申請を進めており、SEC(米証券取引委員会)の判断次第でさらなる流動性拡大が期待
米国の暗号資産規制は厳格化が進む一方、トランプ政権下での方針変更(暗号資産市場を活性化させる政策)も取り沙汰され、DOGEへの機関資金流入の可能性が浮上しています。
DOGEと支払い応用:X Money、テスラ決済の真価
DOGEが投資対象から実用性のある決済手段へと向かう重要シナリオのひとつとして、イーロン・マスク氏が買収したX(旧Twitter)の支払いシステム計画「X Money」が挙げられます。すでにテスラ公式サイトでは一部グッズ購入にDOGEが使用でき、今後は車両購入や充電ステーションでの決済対応にも拡大する可能性が取り沙汰されてきました。
さらに、X Moneyが米国各州で必要な免許を取得し、暗号資産を組み込む余地があると報じられています。DOGEが正式に採用される場合、その“ミームコイン”という枠を超えた本格的な世界規模の決済手段へステップアップするかもしれません。
DOGE原型の“柴犬”が新トークン「Cocoro」をBase上で発行
一方、ミームコイン界隈を再び熱くしたのが、DOGEアイコンとして有名な柴犬“KABOSU”の飼い主による新トークン「Cocoro(COCO)」です。CocoroはBaseチェーンで展開されており、柴犬“KABOSU”の肖像を無許可で使われた経験を踏まえ、今度は公式にコミュニティ向けにトークンをローンチしたとのことです。
- 発行後すぐに大口投資家が大量購入し大きな含み益を得るケースも確認され、市場の投機熱を象徴
- ただし、高値掴みによる短期損失も発生しており、ミームトークンらしい極端な値動きが顕在化
DOGEの元祖“柴犬”が新たに参入したことで、ミームコインに再度スポットライトが当たり、「DOGE以外のミーム銘柄にも注目が集まりやすい局面」が生まれています。
BTCの重要水準「8.2万ドル」とマクロ経済の相関
DOGEのほか、ビットコイン(BTC)も米国の金融政策やインフレ率の変化に振り回される展開が続いています。一部の分析では、「8.2万ドル付近がBTC価格の主要サポートになりうる」と指摘されました。これは市場全体のリスクオン・オフが変動するタイミングでの下値メドとして論じられており、来週発表予定の米国消費者物価指数(CPI)の結果や、FOMC前の静寂期を経たパウエル議長の態度いかんで、市場は大きく揺れる可能性があります。
さらに、これまで期待されていた「米国政府によるビットコイン戦略備蓄」が思ったほどのインパクトをもたらさないとの見方も出ており、一時的な失望売りが入るリスクも懸念されています。
トランプ政権の加速:暗号資産を戦略備蓄へ
2024年の大統領選挙で再び政権を握ったトランプ氏は、「暗号資産を国家戦略備蓄とする」との大統領令を発し、米国内の連邦機関は保有するビットコインを財務省へ直接報告するよう義務づけました。
- これにより、連邦機関が押収したBTCは公的に売却されるのではなく、戦略的に保有される方針へ転換
- ただし、他の暗号資産は“米国デジタル資産備蓄”として別枠で管理されるとの情報もあり、政策全容はまだ流動的
ホワイトハウスが暗号資産とAI分野の責任者を新たに配し、積極的に取り組む方針を示している点も注目されます。さらに、トランプ家族が関わるプロジェクト「WLFI」はSui Networkとの連携を表明するなど、対外的に“米国主体の暗号プロジェクト支援”を強調している状況です。
グレイスケールとETH基金の表記変更、そしてステーブルコイン動向
機関投資の代表的プレイヤーであるグレイスケール(Grayscale)は、公式サイト上でイーサリアム(ETH)信託に対して長らく使っていた「世界最大のイーサリアム・ファンド(The world’s largest Ethereum Fund)」というフレーズを削除しました。
- 背景には、ベライド(BlackRock)など他社のETHファンド残高がグレイスケールを上回り始めたとの指摘がある
- グレイスケールの戦略にはDOGE、SOL、LTCなどのETFも含まれ、SECへの申請ラッシュが進行中
他方、ステーブルコイン全体では2月に約77億ドル規模の時価総額増加がみられ、特にUSDSが64%増という大幅な伸びを示しています。一方でUSDeやDAIは微減傾向となり、ステーブルコイン市場内での勢力図に変動が起きています。
直近の注目カレンダー:主な予定と相場の見通し
今後1週間ほどの主な予定として、以下の点が市場の焦点になりそうです。
- 3月10日〜
- モジュール型ブロックチェーン「Movement」メインネットローンチ
- PancakeSwapでのシンプルステーキング退役(ユーザーは資金引き出し必須)
- 3月11日
- Bubblemapsが独自トークン「BMT」をローンチ予定
- 3月12日
- SBI VC Tradeが米国発ステーブルコインUSDCのサービスを提供開始
- Hemi Networkがメインネットリリースし、比特コインとイーサリアムを統合するネットワークを提供
- 3月13日
- Aptos(APT)が大規模トークン解锁(約1,131万APT)を実施
- 3月15日-16日
- CPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)など米国経済指標の発表
- イーゲンレイヤーやSei、Starknetなど複数プロジェクトで代替トークンのロック解除
これら一連のイベントが重なることで、仮想通貨市場は短期的に大きなボラティリティに見舞われる可能性があります。特に米国市場の金融政策やインフレ関連データは、DOGEやBTCを含む主要コインの値動きに直結しやすいため、注意深い観察が必要といえるでしょう。