【3月8日】トランプ大統領が行政命令に署名:「戦略的ビットコイン備蓄」と「デジタル資産備蓄」の創設

【要約】
・トランプ大統領が「戦略的ビットコイン備蓄」を確立する行政命令に署名
・米政府は刑事・民事で没収した暗号資産を活用しつつ、追加購入は慎重姿勢
・SEC(米証券取引委員会)がCoinbaseやRobinhoodへの訴訟を取り下げ、規制方針に変化の兆し
・Solanaチェーン上のDeFiは「DEX取引量が全体の半分超」と高い評価も、質押(ステーキング)利回りの高さが他のプロトコル成長を抑制する懸念
・ホワイトハウスの暗号資産関連サミットは税制改正ではなく規制緩和とビットコイン備蓄に焦点
・米政府は保有する暗号資産の精査(監査)に着手、ビットコイン以外は「デジタル資産備蓄」に分類

2025年3月7日、ホワイトハウスのデイヴィッド・サックス(David Sacks)氏はSNS上で、トランプ大統領が「戦略的ビットコイン備蓄」および「デジタル資産備蓄」を設立する行政命令に正式署名したと発表しました。これは主に刑事・民事訴訟により米政府が没収したビットコインや暗号資産を活用し、国として長期保有する枠組みです。

ただし、今回の行政命令は**「追加でビットコインを購入しない」**という方針を明確化したため、市場は一時的に落胆しビットコイン価格は8.5万ドルを下回りました。アナリストの一部には「今後、米議会レベルでビットコインの本格的な買い増しに向けた法案が検討される可能性が残る」との指摘があります。

二つの備蓄制度

今回の行政命令では、ビットコインのみを保管する「戦略的ビットコイン備蓄(Strategic Reserve)」と、ETHやSOL、XRPなど他の暗号資産を含む「デジタル資産備蓄(Digital Asset Stockpile)」の二つを設立。前者には約20万BTC(刑事・民事没収による保有分)が含まれ、後者にはETHやSOL、XRPなどが含まれます。いずれも追加購入には納税者への新たな負担が生じないことが基本方針とされています。

さらに米政府保有の暗号資産総量の監査も義務づけられ、透明性を高める狙いがある模様です。なお、過去の捜査で押収したBTCのうち11万枚超はBitfinexに返還手続きが進んでいるとの分析もあり、実際に戦略的備蓄としてすぐに使えるBTCは8.8万枚ほどという見方が出ています。

SECの訴訟取り下げとトランプ政権下での規制姿勢

一方、トランプ大統領が就任して以降、2023年にSECがCoinbaseやRobinhoodに対して行っていた訴訟を撤回したほか、Uniswap Labsへの調査も終了したことが明らかになりました。

加えて、バイデン前政権時代に推進されていた「Operation Chokepoint 2.0」(暗号資産関連企業の銀行口座を封鎖するような動き)を中止するという方針も打ち出されています。これらの動きを受け、多くの投資家は新政権が暗号資産にやや寛容な姿勢を示し始めたと評価しています。

ただし、依然として米国内では**「暗号資産のほとんどを証券とみなすかどうか」**という問題や、安定したステーブルコインの法的位置づけなどが未解決のままです。トランプ大統領が議会を通じてどのような規制を整備するのかが注目されます。

ホワイトハウスが保有暗号資産を大規模監査へ

さらに、3月8日深夜に開催されるホワイトハウス主催の「暗号資産サミット」では税制優遇や新たな税率の導入といった具体的な税務に関する議題は含まれない見通しです。
むしろ、トランプ大統領自身が掲げた**「ビットコインを政府資産負債表に計上する」**という計画をいかに実行するかが主題とされ、これに伴いホワイトハウスは現状の暗号資産保有量と実際の利用状況を全面的に監査・精査するといいます。

なお、米政府が実際に保有しているビットコインは20万枚近いと推定されており、その他にETHやUSDTなども合わせて数億ドル相当の暗号資産が存在します。監査の目的はこれらの**用途や扱いを透明化し、納税者の追加負担なく「最大価値を引き出す」**ことにある模様です。

「過小評価」されるSolana DeFi:高利回りステーキングとDex取引量の現状

暗号資産市場では、Solanaチェーン上のDeFiエコシステムに対する評価が注目を浴びています。米大手投資会社の調査によると、Solana上位の分散型取引所(DEX)は、過去一年で一時的に全体の過半数となる53%のシェアを獲得した期間もありました。

しかし、急速に盛り上がったMEMEトークンブームが落ち着いたことで、DEX取引量が大幅に減少。さらにSolanaのノード検証者(バリデーター)ステーキング利回り(7~8%)が高止まりしているため、投資家資金がステーキングに集中しやすく、DeFiの貸借やその他プロトコルへの流入が進みにくいという構造的な課題が浮上しています。

SIMD-0228提案と通貨供給量の調整

Solanaコミュニティでは、通貨供給量(インフレ率)を引き下げ、ステーキング報酬を下げることで流動性を他のDeFiプロトコルにも向けようとする「SIMD-0228提案」が議論されています。もし実行されれば、ステーキング報酬が1~2%台まで落ち込む可能性があり、大規模な資金移動が起きるとの見方もあります。
ただ、リスクとしてはステーキングから抜けた資金がSolanaチェーン上に残るとは限らず、他チェーンや従来型の金融資産へ流出する懸念も指摘されています。

3月8日「暗号資産サミット」の焦点:政策緩和とビットコイン長期保有

米国東部時間3月7日(日本時間8日)の深夜から開催されるホワイトハウス主催の暗号資産サミットは、税制改正は扱わず、むしろ既存の規制緩和やビットコイン長期保有方針が焦点となります。バイデン前政権が整備していた規制の一部は撤廃される可能性があり、これが業界にとっては「追い風」となるか注目されています。

特に、**「米国政府がビットコインを売らず、かつ適切に保管・拡大する方策を探る」**という点が大きなトピックです。今後、追加購入には議会立法などのハードルがあるものの、米国がビットコインを実質的に「国家資産」として扱い始めた事実は各国の暗号資産規制にも影響を与える可能性があります。

業界内では、米国政府がビットコイン保有を公式に認め、今後禁止の可能性がさらに低下したと見る向きもあります。一方、米政府が「罰則の強化」により追加のビットコインや暗号資産を没収しようとする動きを警戒する声も存在しており、楽観視はできない状況です。

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