LIBRA騒動とETFステーキング提案|2月16日の暗号資産動向

2025年2月16日前後は、アルゼンチン大統領が紹介したLIBRAの急変が注目を集めた。資金移動の分析を法的責任の確定と混同せず、ETFへのステーキング導入提案、流動性支援、破綻企業の分配予定といった別々の動きも、当時の発表に沿って整理する。

LIBRAを紹介した投稿と、その後の撤回

アルゼンチンのJavier Milei大統領は2月14日、国内の小規模企業などを支援する民間プロジェクトとしてLIBRAをXで紹介した。その後、投稿を削除して関係を否定したと、翌15日のThe Blockが報じている。政治家の発信をきっかけに注目が集まった一方、トークンの評価は短時間で大きく変化した。

同記事では、関係企業として取り上げられたKIP Protocol側が、トークン発行や売買を担当したわけではなく、資金配分に関わる立場だったと説明し、利益を得たとの疑惑を否定している。これは同社側の説明であり、関係者すべての役割や資金の帰属が確定したという意味ではない。

この段階の記事では、大統領の投稿、取引の変化、各当事者の説明を分けて記す必要がある。投稿があったことから政府の保証を推定することも、削除されたことだけで個人の刑事責任を断定することもできない。

民間トークンを著名人が紹介しても、その人物がどの契約に署名し、どの権限を持ち、何の責任を負うかは別の情報だ。肩書や拡散の規模を、資金の保全や事業内容の確認に代わるものとして扱わないことが重要になる。

約1億700万ドルの資金分析は何を示すか

The BlockはLookonchainの分析として、LIBRAのチームに関連するとされた8つのウォレットが約1億700万ドルを回収したと伝えた。チェーン上の記録を基にする重要な指摘だが、ウォレット同士の関連付けや、その金額をどう解釈するかには分析上の判断が含まれる。

アドレスから資産が出たという記録だけでは、その操作を実際に行った人物、資産の最終的な所有者、法的な責任まで自動的に分かるわけではない。関連ウォレットという説明を、特定個人が同額の利益を確定した証拠へ置き換えないようにしたい。

また、流動性プールから資産を取り出すこと、保有トークンを売ること、別の保管先へ移すことは異なる操作である。出入りの総額と手元に残った利益を区別しないと、同じ資金を重ねて数える可能性もある。

時価総額の減少も、投資家が入れた現金の全額や損失の合計と一致するとは限らない。時価総額は価格と数量から算出する指標であり、その価格ですべての保有者が売却できることを意味しない。大きな数字ほど、何を集計した値なのかを確認する必要がある。

ミームコインの残存率を個人の勝率と呼ばない

短期間に発行されたトークンのうち、一定期間後も一定の時価総額を維持した割合を調べることはできる。しかし、その残存率と、購入者が利益を出す確率は同じではない。購入・売却の時点、価格、数量、費用が分からなければ、個人の成績は計算できない。

例えば「1か月後に5万ドル以上」という条件なら、集計されるのはその閾値を満たす銘柄数である。途中で売った参加者の収益、売れずに残った残高、短期に急騰した後で消えた銘柄などは、それだけでは評価できない。

発行を繰り返すアドレスや複数ウォレットへの分散についても、観測期間と元の取引記録が必要になる。ウォレットの数が多いことは、多くの独立した参加者がいる証拠にはならない一方、それだけで同一人物の操作とも断定できない。

危険性を伝える場合にも、裏付けのない「勝率0.01%」のような数字を使うより、流動性の薄さ、大口保有への集中、売却が価格に与える影響を具体的に説明した方がよい。損失例の強烈さと、再現可能な統計を混ぜないことが大切だ。

ETFのステーキングは業界提案と申請の段階

SECの公開記録によると、暗号資産タスクフォースのスタッフは2月5日、Jito LabsとMulticoin Capitalの担当者と会合を開いた。添付資料は業界側が作成したもので、暗号資産の上場取引商品にステーキングを組み込む方法を提案している。

資料が示す案には、商品の保有資産の一部をステーキングする方法や、ステーキングした資産を表すトークンを商品に組み入れる方法がある。論点として、解約への対応に必要な時間、税務、証券法上の扱いが挙げられている。いずれも提案者の説明であり、SECがすべての案を認めたという記録ではない。

NYSE Arcaは2月14日、Grayscaleの二つのETH商品でステーキングを認めるための規則変更案を提出した。提出日は後日のSEC通知でも確認できるが、その通知の判断内容を2月16日に既に決まっていたものとして扱ってはいけない。

報酬が得られるという期待だけでは、商品の運用条件は定まらない。解約時に資産を戻せるか、手数料控除後の報酬をどう扱うかなども関わるため、会合の開催、申請の提出、最終的な承認、運用開始を順に追う必要がある。

BNB Chainの440万ドル支援は購入者への保証ではない

BNB Chainは、2月18日から始めるミームコイン向け流動性支援プログラムを案内した。総額440万ドルの枠で、日次・週次の競争で選ばれた銘柄のプールに流動性を提供するという内容だった。2月16日の基準日では、これから始まる施策である。

公式説明では、BNBと市場で購入するミームコインを半分ずつ組み合わせて提供し、この支援分は引き出さずに残す方針が示されている。すべての銘柄へ一律に資金が入るわけでも、全額が既に配られたという報告でもない。

支援者が自分の流動性を残すことと、他の保有者が売却しないことは別である。プールへの資金供給があっても、価格の下落や大口売却の影響を消すことはできない。支援対象になった銘柄についても、購入額が返ってくる保証と読むべきではない。

現行の案内ページには更新された条件も含まれるため、過去の参加条件を説明する際には注意が要る。開催時点の要項、対象期間、実際の選定結果を分ければ、告知の規模と、個別銘柄が受け取る支援を混同せずに済む。

FTXの初回分配は対象債権と事前手続きが限定

FTXは2月7日、再建計画上のConvenience Classesに属する認められた債権について、初回分配を2月18日に始めると発表した。事前の要件を満たした対象者に限られ、全顧客へ一斉に支払いが完了するという内容ではない。

対象者は開始日から1〜3営業日で受け取る見込みとされ、分配サービスにはBitGoとKrakenが挙げられた。他のクラスについては、その発表時点では別途日程を案内するとしていた。後日に公表された追加分配の日付を、この時点の既知情報へ混ぜないようにしたい。

必要な対応には、本人確認、税務書類の提出、分配先サービスへの登録などが含まれる。口座が存在するだけでは、認められた債権かどうかや手続きの完了を確認できない。自分の手続きがどの区分で進んでいるかを確かめる必要がある。

分配される資金がそのまま暗号資産の買いに回るとも限らない。債権者は受け取り後に異なる判断をするため、分配総額を市場への確定した買い需要として計算することはできない。支払いの進捗と、その後の投資行動は別々に捉えたい。

Tetherの株式取得と米国の金評価を整理

Tetherは2月14日、Juventus Football Clubの少数株式を取得したと発表した。クラブの株式への投資であり、ファントークンを買ったという内容ではない。また、少数持分の取得をクラブ全体の買収や経営支配の獲得と同じ意味で扱うべきではない。

スポーツ分野での協業への期待があっても、この発表だけで新しい決済サービスやファン向け機能が提供開始されたとは分からない。株式保有、協業の構想、実際の商品やサービスを区別して見る必要がある。

一方、米国の金保有を市場価格で再評価するという観測には、帳簿価額と市場価値の区別が欠かせない。米財務省の説明では、政府保有金の帳簿価額には法定の1ファイントロイオンス当たり42.2222ドルが使われる。市場での金価格が上がっても、同じ割合で帳簿が自動更新されるわけではない。

この違いがあることと、政権が再評価を正式に決定したことは別の話だ。2月16日時点のトランプ氏は既に現職大統領で、「復職した場合」の仮定は当時の状況と合わない。政策の観測を記事にする際も、実施根拠や正式発表を確認し、金やBTCの値上がりを確定事項として語らないようにしたい。

よくある質問

Q. LIBRAの約1億700万ドルは大統領個人の利益ですか?

A. 報道で紹介されたのは、分析者が関連付けた8つのウォレットに関する推計です。その金額だけで大統領個人への帰属や責任が確定したとは言えません。

Q. SECの会合でステーキング付きETFが承認されたのですか?

A. 会合資料は業界側の提案を含む記録で、承認通知ではありません。個別の規則変更申請と、その審査結果を別途追う必要があります。

Q. FTXの全債権者が2月18日に返金される予定でしたか?

A. 初回は所定のクラスの認められた債権を持ち、事前要件を満たした対象者に限る予定でした。全員へ同時に支払いが完了するという発表ではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。