Piの公開予定とWLFIの準備資産|2月13日の暗号資産動向

2025年2月13日前後には、Piの外部接続開始に向けた発表や、AIエージェントの多チェーン展開が注目された。ネットワークの公開予定、短時間の取引集計、企業の構想を分けて整理し、中国の判例については掲載時期と返金の事実関係も確認する。

Piは2月20日に外部接続を開く予定だった

Pi Networkは2月11日の公式発表で、2月20日8時UTCにOpen Networkへ移行すると案内した。日本時間では同日17時に当たる。2月13日時点では約1週間先の予定であり、既に外部接続が開放されたかのように説明すべきではない。

公式説明によれば、Piのメインネットは2021年12月にEnclosed Networkの段階へ入っていた。この段階では外部への接続を制限していたため、今回の節目はメインネットを初めて作ることではなく、外部システムと接続できる段階へ移ることにある。

また、アプリ上で表示される残高と、メインネットへ移行した残高は区別する必要がある。本人確認や移行の手続きが関係するため、アプリを使ってきた全員が同じ時点に同じ条件で資産を移せるとは限らない。開始日だけでなく、自分の手続きがどこまで済んでいるかも関わる。

知名度の高さや長い開発期間から、将来の交換価値まで確定するわけではない。逆に、強い宣伝への疑問を理由として、プロジェクト全体を一言で違法だと決め付けるのも適切ではない。ネットワークの状態、利用条件、宣伝で語られる価格をそれぞれ確認することが必要だ。

OKXのPI上場予定はネットワークの移行と別に確認

OKXは2月12日の告知で、PI/USDTの現物取引を2月20日8時UTCに始める予定だと発表した。PiのOpen Networkへの移行予定と時刻が重なっているが、取引所で注文が成立する仕組みと、ネットワークへの接続が開かれることは別の運用である。

入金の受付、取引開始、出金の開始も同じ時刻とは限らない。特に過去の告知ページには、メンテナンスに伴う後日の更新が含まれることがある。2月13日当時の予定を振り返る際に、その後変更された出金時刻を当初から確定していた予定として扱わないようにしたい。

上場前後は、同じ銘柄名を使う市場や商品が何を受け渡しの対象にしているのかも重要になる。価格だけを比較するのではなく、実際のメインネット資産を入出金できるのか、利用するサービスの条件は何かを確認する必要がある。

海外取引所の告知は、すべての国や地域で利用できることを保証しない。取扱いの発表と、自分が利用できる市場を分けて理解することが先になる。上場そのものを品質や価格の保証として受け止めず、取引の条件を示す情報として読むのが適切だ。

Virtualsの8.3%は観測時点の比率

2月12日のPANewsの記事は、Solanaへ展開したVirtuals Protocolについて、観測した時点で作成されたエージェントトークンが156件、そのうち卒業と呼ばれる段階に達したものが13件だったと報じた。13を156で割ると約8.3%になるが、終日を通じた確定値として示された数字ではない。

開始直後の集計では、作成されたばかりのトークンも母数に含まれる。観測時刻が少し変わるだけでも比率が動くため、この一つの値で多チェーン展開の成否を判定するのは早い。比較するなら、作成後に経過した時間や集計方法をそろえる必要がある。

また、この比率はAIの回答精度や実務上の有用性を測った試験結果ではない。トークンの市場での段階と、エージェントが仕事を遂行する能力は別の評価対象だ。売買が集まったことだけでは、サービスの継続利用や実際の収益性は分からない。

同記事が紹介したBase上の累計DEX取引額は約67.4億ドルで、670億ドルではない。ただし、これも売上高や利益ではなく取引額だ。流通の大きさを表す指標と、運営が受け取る収入を分けることで、事業規模を桁違いに見積もる誤りを防げる。

AOは配布設計と公開後の利用を分けて見る

AOのトークン設計は、2024年にOpen Access Supercomputing Foundationが公表している。供給上限は2,100万枚で、長期の配分はおよそ36%がAR保有者、64%が外部資産の持ち込みなどに対応する設計と説明された。これは総量を一日にまとめて配布するという意味ではない。

同資料は、発行量が月ごとに徐々に減る仕組みを説明している。BTCに似た供給上限や減少の考え方があっても、BTCとまったく同じ日に、同じ方式の半減期イベントが起こると読むべきではない。比率や上限だけでは、現在売買できる数量も分からない。

The Blockは2月8日付でAOのメインネット始動を報じた。一方、SNSで目立ったかどうかだけを根拠に「最初の配布が失敗した」「エコシステムが停滞している」と断定するには材料が足りない。配布の時期、移転可能になる時期、取引市場での流通を分けて確認したい。

公開後の評価では、動いているアプリ、継続して使う参加者、処理の安定性などの観測が必要になる。技術への期待と、現時点で確認できる利用は別である。短期のトークン価格だけで、基盤としての進歩や欠点をすべて説明することはできない。

江蘇省の事例は前年から紹介されていた契約紛争

金融法務研究網には、江蘇法院を著者とする同事例の紹介が2024年10月9日付で掲載されている。したがって、2月のニュースで再び取り上げられたことをもって、2025年2月12日に初めて下された判決と位置付けるのは不正確だ。

紹介された事実関係では、潘氏から田氏らへの送金は1,574万元で、田氏から潘氏へ1,060万元の返金があった。潘氏が求めたのは残る金額の返還と利息である。最初の送金額を丸ごと失い、一切返金されなかったという説明とは異なる。

両当事者は中国法の適用を選択していた。裁判所は、この仮想通貨投資を目的とする合作契約を公序良俗に反するものとして無効と判断し、請求を退けた。控訴審でも結論が維持されたとされる。これは特定の契約紛争の紹介として読む必要がある。

国をまたぐ取引では、当事者の国籍、契約で選んだ法律、取引の内容、訴えた先の裁判所が関わる。海外取引所を使ったという一点だけで保護の範囲を判断することはできない。事例の見出しを、その国に関係するあらゆる暗号資産紛争の結論へ広げないようにしたい。

BitGoのIPOは当時の検討報道

Bloombergは2月11日、事情に詳しい関係者の話として、BitGoが早ければ2025年下半期のIPOを検討し、候補となるアドバイザーと協議していると報じた。上場を完了したという報道でも、取引開始日が確定したという会社発表でもない。

企業の上場では、検討、申請、条件決定、取引開始という節目がある。暗号資産企業への市場の関心が高まっていても、報道された見通しどおりに進むとは限らない。資金調達環境や事業の開示内容によって、予定や条件が変わる可能性がある。

また、カストディ企業が預かる資産の金額と、その企業自身が保有する資産や企業価値は同じではない。利用者の預かり残高が大きいことを、そのまま会社の利益や株式の評価額と読むと、ビジネスの実態を取り違える。

機関向けサービスの成長を評価するには、預かる規模に加えて、契約内容、手数料収入、費用、運用上の責任などを見る必要がある。IPOへの期待だけで暗号資産の需要全体が増えると結論付けず、何を提供して対価を得る事業なのかを確認したい。

WLFIのMacro Strategyは民間の準備資産

Reutersは2月11日、World Liberty Financialが、BTCやETHなどを念頭に戦略的なトークン準備資産を設けると発表したことを報じた。Macro Strategyと呼ばれる取り組みは、同事業の資産運用や安定性に関する説明として捉えるべきものだ。

トランプ氏やその家族が関わっていても、民間事業の保有資産が米国政府の準備資産になるわけではない。政府が予算や公的な権限に基づいて保有する仕組みとは区別する必要がある。なお、この時点のトランプ氏は現職の大統領であり、前大統領という記述は時系列に合わない。

準備資産を設けるという発表だけでは、一般の投資家が購入できる投資信託の募集が始まったことも意味しない。どの主体が保有し、何の目的で使い、外部の参加者にどんな権利があるのかは、それぞれの契約や開示によって決まる。

伝統的な金融機関との連携を目指す方針も、行政サービスへの導入が決定した証拠にはならない。今回のニュースを追う際は、政治との関係による注目、企業としての構想、実際に確認できる資産やサービスを切り分けて見ることが重要になる。

よくある質問

Q. Piは2月20日に初めてメインネットを作ったのですか?

A. 公式説明ではEnclosed Mainnetが2021年12月から稼働していました。2月20日は外部接続を可能にするOpen Networkへ移行する予定日でした。

Q. Virtualsの8.3%はAIの性能評価ですか?

A. いいえ。報道時点に作成されたトークンのうち、卒業と呼ばれる段階へ達した件数の比率で、AIの正答率や作業能力を示すものではありません。

Q. WLFIの準備資産は米国政府の基金ですか?

A. 民間事業による取り組みです。関係者の政治的立場だけで、政府の資産保有や行政による採用を意味するものにはなりません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。