AIエージェントの反発と規制動向|2025年1月17日の暗号資産ニュース

2025年1月中旬は、AIエージェント関連銘柄の急反発と、取引所やトークン販売を巡る法的な動きが重なった。技術への期待、価格の変化、当局の決定は同じ種類の情報ではない。1月17日前後の発表を振り返り、選ばれた銘柄の成績を市場全体へ広げず、将来構想と実装、報道と確定した手続きを分けて整理する。

平均131.1%という数字は、選ばれた9銘柄の最大反発率

PANewsのNancy氏による1月17日の記事は、調整局面で比較的強さを見せたAIエージェント関連の9プロジェクトを選び、安値からの最大反発率の平均を約131.1%と紹介した。ChainCatcherにも転載されている。AI関連トークンすべてを対象にした指数や、同一期間の終値を比較した市場平均ではない。

同記事はVIRTUAL、AIXBT、GRIFFAIN、arcなどを取り上げ、GMGNのデータとして価格変化を説明していた。ただし、各銘柄で安値と高値を取る時刻が違えば、その最大値を平均しても同じ売買方針で得られた成績にはならない。好成績の銘柄を後から選ぶことで、下落した銘柄が集計から外れる問題もある。

反発率は、以前の価格を回復した割合とも異なる。例えば価格が100から40へ下がった後に100%上がっても、到達点は80である。元の100へ戻るには、40を基準に150%の上昇が必要になる。大きな反発率だけを見て、過去の高値を取り戻したと解釈しないようにしたい。

取引量が薄い銘柄では、短時間だけ成立した高値で十分な数量を売却できるとも限らない。期間内の最大反発は値動きの強さを示す一つの記録であり、参加者全員の実現利益を表す数字ではない。

AIエージェント、DeAI、DeFAIは対象が重なるが同義ではない

AIエージェントは、言語モデルの応答を外部ツールの利用や操作へつなげる仕組みとして捉えられる。文章を生成するだけの用途と、ウォレットを使って取引を送信する用途では、与える権限と失敗時の影響が大きく違う。

具体例として、Coinbaseは2024年11月にAgentKitを発表し、エージェントがウォレットを利用し、送金や交換などのオンチェーン操作を行える開発基盤を紹介した。これは構成要素を提供するもので、すべてのエージェントが自律的に利益を得られるという実績ではない。

DeAIは分散型のAIを巡る広い領域を指し、計算資源、モデル、データ、エージェント間のやり取りなども論点になる。これに対してDeFAIは、AIをDeFiの操作や分析に組み合わせる文脈で使われる。金融の画面が自然言語になることと、AIの計算基盤そのものが分散することは別の変化である。

DWF Labsが1月6日に公表したHey Anonとの提携も、DeFi向けのAI活用を進める例だった。発表にはベータテストへの協力が含まれている。開発や試験への参加を、全機能が一般利用者へ提供済みになったことと取り違えない必要がある。

Solanaへの期待は、すべての用途で優位という結論ではない

Delphi Digitalの2024年10月23日付「DeAI IV: The Agentic Economy」は、AI同士が小額の支払いを頻繁に行う構想を論じた。その際に必要な処理能力を備える候補として、SolanaだけでなくMonadや拡張されたL2にも触れている。特定のチェーンがすべての用途で勝つと証明したレポートではない。

この議論は、機械同士のやり取りでは手数料や処理速度が重要になる、という設計上の見通しとして読むと分かりやすい。数円未満の処理にそれ以上の手数料がかかれば、細かな決済を毎回行う設計は成り立ちにくい。一方で、資産の安全性や障害時の復旧、利用可能なサービスも選定条件になる。

Firedancerのようなバリデーターソフトウェアの開発も、将来の性能や構成の多様化を考える材料になる。Solana Foundationは2024年のBreakpointの案内で、その開発を主要な議題に挙げていた。ただし、開発発表や試験環境での性能を、現在のネットワーク全体の実効性能として扱うことはできない。

また、共同創業者があるアプリを紹介したことだけでは、そのトークンの安全性や投資価値を保証したことにならない。開発者の評価、利用者の満足、トークン価格の期待を一つにまとめず、それぞれを支える根拠を確認したい。

Upbitの制裁は、1月17日の当局説明では未確定だった

韓国金融委員会は1月17日、前日の毎日経済によるUpbitの営業停止報道について説明を公表した。報道はKYCなどのマネーロンダリング対策上の問題と最大6カ月の新規顧客向け営業制限に触れていたが、当局は制裁に関する事項は確定していないと明記している。

したがって、当時のニュースを「Upbit全体が6カ月停止すると決定した」と紹介するのは誤りである。事前の通知や報道に出た処分の可能性と、最終的に通知された内容は分けて読む必要がある。

【後日の通知内容】FIUは2月25日、運営会社Dunamuに対し、新規顧客による暗号資産の入出庫を制限する3カ月の一部営業停止を通知したと発表した。案内された期間は3月7日から6月6日だった。これは2月時点の通知内容であり、後続の手続きも含めて実際の執行期間を確認した記述ではない。

その発表では、既存顧客の取引は制限しないこと、新規顧客でも暗号資産の売買・交換やウォンの入出金は対象外であることが説明されていた。処分の対象機能を省いて単に「取引停止」と書くと、利用者ができることを大きく誤解させてしまう。

Rippleの控訴書面とPump.funへの法的措置を区別する

SECが1月15日に提出したのは、Rippleを巡る控訴審の冒頭書面である。裁判所へ自らの主張を示した手続きであって、この日に新たな最終判決が出たわけではない。控訴手続きの中で書面を提出したことを、同じ事件について新しく訴え直したと説明するのも正確ではない。

【後日の進展】SECの8月7日の発表によると、同委員会の控訴とRippleの反対控訴を取り下げる書面が共同で提出された。その際、地方裁判所が命じた制裁金と差し止め命令は残ると説明している。控訴の取り下げを、過去の判断がすべて消滅したことと読み替えることはできない。

Pump.funについては、1月16日のDailyCoinが、Burwick Lawによる投資家のための法的措置の方針と情報提供の呼びかけを報じた。法律事務所が批判や請求方針を示す段階と、裁判所が被告の責任を認める段階には隔たりがある。

【後日の提訴】Wolf PopperとBurwick Lawは、1月30日にニューヨーク南部地区連邦地裁へ訴状を提出したと発表した。対象トークンを未登録証券として扱うべきだという内容は原告側の主張であり、発表だけで法的評価が確定するものではない。集団訴訟としての請求、裁判所の判断、実際の賠償もそれぞれ別の手続きとなる。

TEEが守る実行環境と、AIの判断の正しさは別の問題

TEEは、他の処理から隔離された環境で機密情報やプログラムを扱うための技術である。実装例のAWS Nitro Enclavesでは、親となるサーバーからメモリーやCPUを分離し、外部との直接のネットワーク接続を持たない環境を作る。外部との通信には親側を経由する仕組みが必要になる。

また、実行するコードや設定に関する署名付きの証明情報を使い、想定した環境かどうかを確認できる。鍵を利用できる条件にこの確認を組み込むことで、どの処理へ機密情報を渡すかを制限する設計が可能になる。

ただし、隔離された環境で動いたAIでも、誤った市場情報を入力されれば誤った判断をする可能性がある。計算する場所を保護することと、その売買が利用者の意図に合っていることは別問題だ。外部データの出所や、送金先・金額の確認まで自動的に保証されるわけではない。

運用設計では、扱える金額、許可する送金先、承認が必要な操作、停止方法を明確にすることが重要になる。TEEを採用したという名前だけでなく、何を内部で処理し、どの情報や判断を外部へ委ねるのかを確認したい。

zkVMは計算の検証に役立つが、将来の利益は証明しない

zkVMは、プログラムの実行結果について暗号学的な証明を作る仕組みである。RISC Zeroの説明では、指定されたプログラムを実行して出力を得たことをreceiptと呼ぶ証明で検証する。TEEのような実行環境の隔離とは、信頼を確かめる方法が異なる。

ここで証明されるのは、定めた計算を実行したという関係である。入力した価格データが現実を正しく表していることや、採用した投資戦略が将来利益を出すことまで証明するものではない。公開する出力に機密情報を含めれば、ゼロ知識技術を使っていてもその情報は見える。

エージェント、TEE、zkVMを組み合わせる場合も、技術名を並べるだけで安全性や速度が決まるわけではない。どの部分を保護・検証するか、証明を作る時間や費用、例外が起きたときの扱いを設計する必要がある。

1月中旬の動きを評価するには、価格面では集計対象、製品面では利用可能な機能、法的なニュースでは手続きの段階を見ると整理しやすい。技術の可能性を、収益や規制上の結論が保証されたことへ置き換えないことが重要である。

よくある質問

Q. AI関連銘柄の平均131.1%反発は、市場全体の成績ですか?

A. いいえ。当時の記事が選んだ9プロジェクトの最大反発率の平均です。同じ期間の市場全体のリターンや、実際に得られた利益とは異なります。

Q. DeAIとDeFAIは同じ意味ですか?

A. DeAIは分散型AIの広い領域を指し、DeFAIはAIをDeFiの操作や分析に組み合わせる文脈で使われます。対象は重なりますが同義ではありません。

Q. Upbitは1月17日に全面営業停止が決まっていましたか?

A. 韓国金融委員会は同日の説明で制裁事項は未確定としています。後日の2月通知も、新規顧客の暗号資産の入出庫を対象とする一部制限でした。

Q. TEEやzkVMがあればAIの投資判断は安全ですか?

A. 実行環境の保護や計算の検証に役立ちますが、入力データの正確性、取引の妥当性、将来の利益まで保証するものではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。