2025年1月13日から19日にかけては、新規上場、既存トークンの置き換え、供給制限の解除などが重なる週だった。ただし、取引開始と出金開始、予定と実施済みの出来事を同じ日程として扱うと誤解が生じる。主要な公式告知を日本時間にそろえ、後日明らかになった変更や結果は補足として分けて整理する。
主要な取引所イベントを日本時間で確認
Binance、Bitget、OKXの告知にあるUTC時刻を、日本時間へ換算すると次のようになる。各行はその取引所が案内した機能の開始・停止時刻であり、世界中の取引所に共通する時間ではない。利用可能な地域や商品も、事業者ごとの条件に従う。
| 日本時間 | 対象 | 告知された内容 |
|---|---|---|
| 1月13日12時 | BinanceのFTM | 現物取引ペアの終了 |
| 1月13日12時30分 | BinanceのFTM | 入出金の停止 |
| 1月14日20時 | BitgetのTREAT | TREAT/USDTの取引開始 |
| 1月16日17時 | BinanceのS | Sonicへの置き換え後の現物取引開始 |
| 1月16日19時 | OKXのDUCK | DUCK/USDTの現物取引開始 |
| 1月17日19時 | BinanceのSOLV | 現物取引開始 |
FTMからSへの置き換え比率は1対1と告知された。BinanceでのSの入金受付は、取引開始より1時間早い1月16日16時の予定だった。銘柄が切り替わる時刻と、すべての機能が利用可能になる時刻は必ずしも一致しない。
同様に、OKXのDUCKでは取引前の注文を集める時間が設けられ、出金開始は1月16日23時と案内された。BitgetのTREAT出金開始は翌15日21時だった。上場日の見出しだけでは、購入した資産をいつ外部へ移せるかまでは分からない。
これらは当時の告知を振り返る日程である。過去の入出金停止予定を、現在の障害や今から対応すべき期限として読むことは避けたい。時刻を引用するときは、元のタイムゾーンと対象機能を一緒に確認する必要がある。
UsualのRevenue SwitchはUSUALxへの条件付き分配
Usualの公式説明では、Revenue Switchの起動時刻は1月13日0時UTC、日本時間9時とされた。対象はUSUALをステーキングしたUSUALxの保有者で、プロトコル収益を基にUSD0で週次の追加報酬を分配する仕組みだった。
1月7日付の説明には、週単位の対象期間を通じて保有したポジションが報酬対象になること、途中の追加分は次の期間から扱うこと、期間中の引き出しで資格を失うことが記載されていた。また、利用者が直接アクセスできる非集約の保有分を対象とし、MorphoやPendleを経由したものなどを同じ条件では扱わないと説明していた。
したがって、USD0++を持つ全員に一定の年利を保証する仕組みとして読むのは誤りである。USD0、USD0++、USUAL、USUALxは名称が似ていても役割が違う。USD0で報酬を受け取ることと、USD0++の市場価格が一定になることも別の話だ。
公式記事に掲載された月間収益やAPYは、その時点の予測や条件を示したものだった。年間を通して同じ金額が支払われる契約上の保証とはいえない。報酬の原資、対象となる保有方法、評価に用いた価格を確認しないまま、異なる商品の利回りを比較しないようにしたい。
CeloのL2移行は、実際には3月26日に行われた
Celoについては、2024年11月の報道で、翌1月16日の移行予定とCoinbaseの非対応方針、1月13日までの出金案内が紹介されていた。しかし、その予定を実際に行われた移行日として残すことはできない。
【後日の公式情報による補足】Celo側は2025年3月26日、ブロック高31,056,500からEthereumのL2として動作していると発表した。Coinbaseの移行案内も、3月25日から一時的に送受信を停止して移行を実施し、その後再開したと説明している。
Coinbaseは対象のCGLDを自動的に変換し、利用者側の操作は不要だったとしている。初期の非対応方針だけを基に、Coinbaseに残した資産は現在も使用不能だと断定するのは適切でない。この例は、ネットワーク側の日程変更と、取引所側の対応変更を別々に追う必要があることを示している。
ネットワーク移行の記事を読む際には、告知された予定日、実際の移行日、取引所のサービス停止期間を区別したい。昔の期限を根拠に慌てて送金するのではなく、利用しているサービスの案内がどの時点のものかを確かめることが重要になる。
ONDOの大規模解除は、総供給と流通量を分けて読む
この週に注目された大型の供給解除の一つがONDOだった。Ondo Foundationが2023年12月に示した配分案では、最大供給は100億枚で、当初は85%超をロックし、初回解除から12、24、36、48、60カ月後に段階的に解除する設計を説明していた。
【解除当日の報道による補足】TheStreetは2025年1月18日、約19億4,000万ONDOが予定に沿って解除されたと報じ、総供給に対する割合を約19.41%と記載している。これは総供給を分母にした数字であり、解除直前の流通量に対する増加率と同じではない。
例えば、流通している数量が10で、新しく利用可能になる数量が15なら、既存流通量に対する割合は150%になる。これは総供給の150%を発行したという意味ではない。解除比率が100%を超える表示を見た場合は、分母が何かを確認すると理解しやすい。
また、制限が外れた数量がすべて同日に市場で売られるわけではない。受取先が運営、投資家、エコシステム支援などのどれかによって、利用目的も異なる。解除数量に一時点の価格を掛けた金額は、売却代金や実際の資金流出額ではない。
予定表を比べるときには、同じ銘柄でも集計日や流通量の定義が違う可能性がある。細かなドル評価額を並べるだけでなく、数量、配分先、継続的な解除か一度の解除かを確認する方が、供給の変化を把握しやすい。
DRVはDeriveのトークンで、Ethenaとは提携関係
DRVをEthena自身の新しいトークンとして紹介すると、プロジェクトの関係を取り違える。DRVはDeriveのトークンであり、Ethenaとの提携や、sENA保有者に関係する配分が話題となっていた。
【公開後の公式ガイドによる確認】Deriveが1月21日に掲載した案内は、DRVが1月15日0時UTC、日本時間9時から利用・請求可能になったと説明している。これはローンチ後の振り返り資料であり、1月13日時点で既に配布が終わっていたという意味ではない。
Ethenaのガバナンスフォーラムに掲載された提携説明では、sENAのステーキング参加者に関わるDerive Pointsの配分が、DRV供給の5%に相当すると記されていた。5%は対象者全体に関係する配分の規模で、一人が総供給の5%を受け取るわけではない。個別の受取額は対象期間やポイントなどの条件を確認する必要がある。
トークンの生成、請求の受付、ステーキング、取引所での売買開始は別々の出来事である。エアドロップの対象になったとしても、全数量を直ちに自由に売却できるとは限らない。どの段階の予定を見ているのかを明確にしたい。
裁判の提出期限は、結論が出る日とは異なる
SECとRippleを巡る1月15日の注目事項は、控訴審におけるSEC側の主張書面だった。実際に提出された文書には、事件番号24-2648、提出日2025年1月15日が記されている。書面の提出は当事者が主張を示す手続きであり、その日に裁判所がXRPの扱いについて新しい最終判断を下したという意味ではない。
【後日の進展】SECは2025年8月7日、双方の控訴を取り下げる共同の合意書を提出したと発表した。1月の予定は、この後に起きた手続きと分けて読む必要があり、今も同じ提出期限を待っているかのように扱うべきではない。
OpenAIの組織再編を巡るEncodeの関与も、文書の種類を確認すると理解しやすい。2024年12月27日付の裁判資料では、EncodeはMusk氏らが起こした事件で、再編の差し止めを求める主張を支援する法廷助言書の提出許可を申請している。Encodeが独自の訴訟を新たに始めた、という説明とは異なる。
原告の請求、第三者の意見提出、審理予定、判決はそれぞれ役割が違う。提出書面に書かれた批判や懸念を、裁判所が認めた事実として引用しないことも重要である。日付と一緒に、誰が何を行う手続きなのかを確認したい。
一週間の予定から値動きを断定しない
上場や供給解除の日程は、何を確認するかを決める材料になる。一方、その予定が広く知られている場合には、事前の売買に織り込まれている可能性もある。イベントの規模が大きいことだけを根拠に、当日の上昇や下落を決めつけることはできない。
大口アドレスの取引所への入金も、売却完了や実現利益の証拠ではない。保管先の移動、担保への利用、売買の準備などを区別するには、追加の情報が必要になる。保有期間の短いコインが増えた場合も、それがすべて新しい個人投資家の購入を意味するとは限らない。
この週の情報を整理する際は、まず予定の日時と対象機能を確かめ、次に実際の実施結果を追う。数量や比率は定義をそろえ、予測や示唆は公表済みの事実と分けて扱う。そうすることで、過去の予定表を現在の取引案内として読み違えることも避けやすくなる。
よくある質問
Q. BinanceでSonicのSが取引開始となる予定時刻は?
A. 2025年1月16日8時UTC、日本時間17時でした。FTMの現物取引停止は1月13日12時、入出金停止は同日12時30分の日本時間で案内されていました。
Q. Celoは2025年1月16日にL2へ移行しましたか?
A. 実際のL2移行は3月26日です。Coinbaseも後に移行に対応し、自動変換と一時的な送受信停止、その後の再開を案内しました。
Q. UsualのRevenue SwitchはUSD0++保有者全員に報酬を保証しますか?
A. いいえ。当時の説明では、所定の期間を通じて保有したUSUALxの対象ポジションへUSD0を分配する仕組みでした。USD0++の価格や固定の年利を保証するものではありません。
Q. トークン解除の割合が100%を超えるのはなぜですか?
A. 既存の流通量を分母にしている場合があるためです。総供給に対する割合とは別で、解除分がすべて直ちに売却されるという意味でもありません。
この記事の出典
- Binance:FTMからSへの置き換えと機能別日程
- Bitget:TREATの取引・出金開始予定
- OKX:DuckChainの現物取引開始予定
- Binance:SOLVのMegadropと上場日程
- Usual:Revenue Switchの対象と保有条件(2025年1月7日)
- PANews:当初のCoinbaseのCelo移行方針に関する報道
- Celo:L2移行完了の公式発表(2025年3月26日)
- Coinbase:Celo移行と自動変換の案内
- Ondo Foundation:ONDO配分と段階的解除の提案
- TheStreet:1月18日のONDO解除についての報道
- Derive:DRVローンチ後のガイド(2025年1月21日)
- Ethenaガバナンス:Deriveとの提携・配分説明
- SECの控訴審冒頭書面(2025年1月15日提出)
- SEC:Rippleとの双方控訴の取り下げ(2025年8月7日)
- Encode:法廷助言書の提出許可申立て(2024年12月27日)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




