【要約】
2024年の暗号資産市場はビットコインが10万ドルを突破し、イーサリアムやソラナなど主要パブリックチェーンの盛り上がりや、AIエージェントを活用した「ai16z」の台頭などが話題を呼びました。米国大統領選やETFの動向、ステーブルコインやRWA(トークン化資産)といった「PayFi」領域の急伸、そしてIRSによるDeFiブローカー規制強化など、暗号資産業界は規制面でも市場面でも大きく揺れ動きました。さらにKaito Yapsをはじめとしたコミュニティ参加報酬の新潮流や、Do Kwon(Terraform Labs創業者)への米国送還決定なども重要なトピックです。本記事では、これらの2024年の出来事と2025年に向けた展望を一挙に整理します。
1. ai16z創業者Shawの狙い:AIエージェントと投資機会
2024年の年末、AIエージェント開発で注目を浴びる「ai16z」の創業者Shaw氏が、中国など世界各地でコミュニティと交流し、大きな話題を呼びました。Shaw氏によると「普通の人でも真に投資機会を得られるようにしたい」というのがai16zの原点とのこと。TypeScriptベースのマルチエージェントフレームワーク「ElizaOS」によって多様なAIエージェントを自律的に運用し、DeFiやLaunchpadなどのトークン投資機能を拡張中です。1月1日前後には新たな代替トークン経済モデルを公開し、パートナーリストも発表予定とのことで、AIエージェントと投資のさらなる融合が期待されます。
2. 2024年振り返り:ビットコイン10万ドル突破と主要アルトの動向
ビットコインは2024年、ETF承認や主要企業の参入によって10万ドルを超える大きな節目を達成したと報じられました。特に国の準備資産化の動きやMicroStrategyのモデルケースが功を奏し、ビットコインが「インフレ防止資産」の地位を強固にしています。一方イーサリアムはリステイキングやDencunアップグレード、さらにはLayer 2の成長こそあれど、ETH価格やユーザーアクティブ数が伸び悩んだ局面も見られました。
その一方で、ソラナ(Solana)はMEME中心のトークンやDegen文化を背景にTVLシェアを拡大し、時価総額200ドル近辺まで上昇して大きな注目を集めています。こうした「パブリックチェーン競争」は2025年も激化が予想されます。
3. MEMEと「Pump.fun」:コミュニティ主導で台頭する新潮流
2024年はMEMEトークンが市場を大きく動かす原動力となり、Pump.funのような新しい“フェアローンチ”プラットフォームが人気を集めました。短期間で莫大な収益を狙える一方で、参加者の一部しか利益を得られない現実も指摘されています。とはいえ、このようなMEME周辺のインフラ進化やNFT化の取り組みは引き続き拡大し、多数のユーザーを呼び込んでいます。
4. Kaito Yaps:コミュニティ参加型報酬の大型エアドロに注目
AI暗号検索エンジン「Kaito」は、コミュニティ参加者に「Yaps」というポイント(将来的なトークンエアドロ候補)を付与し、活発な議論を生んでいます。SNS上で有益な暗号資産情報を提供したり、他の「Smart follower」と呼ばれる影響力あるアカウントからのリアクションを得ることでYapsを積み上げられる仕組みがユニークです。小規模アカウントでも戦略次第で多くのYapsを稼げるとして注目を集めています。
5. 規制強化の動き:米国IRSのDeFiブローカー報告義務とDo Kwon送還
米国ではIRS(内国歳入庁)が「DeFiブローカー」を対象に、2027年以降はユーザーの取引情報(氏名・住所など)とデジタル資産の売却所得を報告するよう義務付ける最終規則を発表しました。さらに米財務省は、フロントエンドで顧客と直接やり取りするサービス提供者を“ブローカー”と見なす方針です。一方、モンテネグロ当局はTerraform Labs創業者Do Kwon氏の米国への引き渡しを承認。TerraUSDの崩壊による損害は約400億ドルともされ、訴訟の行方は業界全体に影響しそうです。
6. RWA・ステーブルコイン・PayFiの台頭と価格予測
Galaxy Researchのレポートによれば、2025年の前半にビットコインが15万ドルを超え、ETHは5500ドルを上回るとの予測が出ています。米国大手投資機関もビットコイン現物ETFの流入を見込み、ソラナ先物ETFの申請も相次ぐなど、投資商品化が活発化。RWA(Real World Asset)やステーブルコインの存在感も一段と強まり、トークン化国債やトラディショナル金融のオンチェーン化が進むことで、DeFiとの連携(=PayFi)が新たな主戦場になると見られています。
7. OpenAIの展開とAI×ブロックチェーン
OpenAIは構造見直しの一環として「公益目的法人(PBC)」への移行を検討し、ChatGPTの週次アクティブユーザーが3億人を超えるなど急成長を続けています。暗号資産業界でもAIエージェントとブロックチェーンの融合が進み、ai16zやBittensorなどが「AI×DeFi」や「AI×MEME」のユースケースを模索中。今後、AIエージェントによる自律投資や自動化されたDAO運営などが普及すれば、イノベーションはさらに加速すると期待されています。
2025年への展望:市場楽観と規制強化のせめぎ合い
ビットコインが主要リスク資産を上回るリターンをもたらすとの楽観的シナリオがある一方、米国の規制強化や世界各国の方針が投資家心理を揺るがす要因となり得ます。Shaw氏率いるai16zのように「AIエージェントと投資機会の民主化」を掲げる勢力が躍進するのか、あるいは従来型の中央集権的プレイヤーが新たなサービスを提案し市場を制するのか。2025年の暗号資産の行方は、ビットコインの15万ドル超えやステーブルコイン規制通過の成否、またMEMEやKaito Yapsなどコミュニティ主導型モデルの動向に大きく左右されるでしょう。