2024年10月31日暗号資産動向|MVB採択とTether投資戦略

2024年10月31日前後は、BNB Chainの開発者支援と、Tetherの技術分野への事業拡大が注目された。ただし、育成プログラムへの採択は出資の確定ではなく、過去に発表した投資が再び話題になっても新たな投資額には数えられない。公式資料で確かめられる内容を中心に、当時のニュースを整理する。

MVB第8期は35プロジェクトを採択

BNB Chainは2024年10月30日、Most Valuable Builder(MVB)アクセラレータープログラムの第8期に、初期段階の35プロジェクトを採択したと発表した。共同運営者はBNB Chain、Binance Labs、CMC Labsで、500件を超える応募から選ばれたとしている。

公式の採択一覧は、DeFi、インフラ、アプリケーションの三つに分かれている。DeFiにはAllo.xyz、インフラにはAlaya AI、アプリケーションにはFour.memeなどが掲載された。金融用途だけでなく、データやAI、利用者向けサービスまで含む幅のある構成である。

支援内容には、トークン設計、資金調達、チームづくりなど、初期の事業運営に関する学習が含まれる。採択企業の一覧を読む際は、すでに成熟したサービスの一覧というより、今後の開発や事業化に向けて支援を受けるチームとして見る方が、発表の性格に合っている。

プロジェクト名を知った後は、何を開発し、どの段階まで利用できるのかを個別に調べる必要がある。同じ期の採択でも、金融サービスとデータ基盤では必要な機能も利用者も異なる。35件という数だけで、すべてが同じ成熟度や成果に達しているとは判断できない。

採択、投資判断、上場は別の出来事

公式発表の注意書きは、MVBへの参加がプロジェクトへの投資を意味しないと明記している。Binance Labsが最終的な投資判断を行う仕組みであり、選考を通過した35チームすべてへの出資が確定したという発表ではない。採択と資金提供を分けて記載する必要がある。

日程にも注意点がある。発表には10月28日の開始、4週間のプログラムという説明と、11月7日のDemo Day配信予定が併記され、別の箇所では終了時の発表会と説明されている。これらを一つの確定日程としてつなぐには不整合があるため、本稿では11月7日を全過程の完了日とは扱わない。

また、育成支援や投資判断と、取引所でのトークン取扱いは別に確認すべき事項である。採択リストに載ったことを理由に、Binanceでの上場や配布が決まったと読み替えることはできない。売買に関わる情報は、そのサービスの正式な取扱開始告知で確認したい。

参加者にとっては学習や面談の機会にも価値があるが、それは投資家の収益を保証するものではない。支援のニュースを見るときは、受けられる支援の内容と、まだ決まっていない事項を分けると、発表を過大にも過小にも評価せずに済む。

TetherのAI拡大は春から進めていた方針

Tetherは2024年3月26日、AI分野への取り組みを拡大すると発表していた。オープンソースのマルチモーダルAIモデルの開発、製品へのAIの統合、開発コミュニティへの貢献を掲げ、専門人材の採用も案内している。10月に突然始まった新規事業として説明するのは正確ではない。

さらに4月18日には、Data、Finance、Power、Eduという四つの事業部門を紹介した。DataはAIやP2P技術への開発・投資、Financeはステーブルコインなどの金融サービス、Powerは採掘やエネルギー、Eduはデジタル教育を扱うという整理だった。

この区分は、Tetherという企業グループの事業をUSDTの発行だけで捉えないために役立つ。一方、事業分野を広げたことと、個々の製品が利用可能になったことは別である。AIの研究方針、開発者向けツールの公開、利用者が使えるサービスの開始には、それぞれの告知が必要になる。

旧記事ではLocal AI開発キットや約20億ドルの投資を一続きに説明していた。しかし、本稿で確認した春の公式発表からは、その金額の対象期間や内訳、開発キットの提供状況まで確定できない。総額を再掲するより、確認できた事業方針と個別の投資案件を分けて紹介する。

Blackrock Neurotechへの2億ドル投資は4月の発表

神経技術企業Blackrock Neurotechは4月29日、Tether Evoから2億ドルの投資を受けたと発表した。投資先自身による説明で確認できる案件であり、10月31日に新たに発表された出資として数えない。投資先は脳とコンピューターをつなぐBCI技術を手がける企業である。

BCIはBrain-Computer Interfaceの略で、脳活動と外部機器との間で情報をやり取りする技術を指す。この案件はTetherが幅広い技術分野へ事業を広げていた背景として理解できる。ただし、生成AIのサービスと神経技術の研究開発は同じ事業ではなく、用途や実用化までの課題も分けて考える必要がある。

また、Blackrock Neurotechという投資先の名称を省略しすぎると、資産運用会社BlackRockへの投資と混同しやすい。企業名を確認する際は、正式名称と事業内容を合わせて見ることが重要だ。同じような名前がニュースに出てきても、同一の法人や事業とは限らない。

金額についても、投資先の評価額、持分の取得額、会社全体の投資総額は異なる。複数の記事に同じ案件が登場したときは、日付と対象企業を照合して二重計上を避けたい。資金提供が発表されたこと自体は、将来の技術的成功や事業収益が確定したという意味ではない。

Binanceの当時のCEOはRichard Teng

Binance Blockchain Week Dubai 2024の公式事前案内は、開催日を10月30~31日とし、初日の開会挨拶をBinance CEOのRichard Tengが行う予定と記載していた。この資料で当時の役職を確認できる。創業者のChangpeng Zhao(CZ)と現職CEOを混同してはいけない。

旧記事はCZを前CEOと紹介する一方、末尾では彼のリーダーシップの下でBinanceが成長を続けるという書き方になっていた。これでは、現在も経営を指揮しているかのような意味が加わる。登壇者として話題になること、創業者であること、業務を執行する役職にあることは別である。

公式の事前案内には、Web3の普及、機関投資家の市場、生成AIなどの議論が予定されていた。ただし、議題に掲載されたことと、具体的な新サービスや取引条件が発表されたことは同義ではない。登壇前の記事で、発言内容や会社の新方針を予測して事実のように書かないことも大切だ。

イベントの内容を後から確認する場合は、登壇前の予告、当日の発言記録、企業としての正式発表を順に照合するとよい。個人の見通しを会社全体の決定と解釈したり、予定された話題を実際の発表内容に置き換えたりすると、ニュースの意味が変わってしまう。

TONの利用指標とETH売却情報で残る確認事項

旧記事はTON関連ゲームの動向を、保有アドレス数、アクティブアドレス数、アプリの人気を組み合わせて説明していた。しかし、期間や集計元がそろっていない数字から、エコシステム全体の衰退を断定することはできない。本稿では、根拠の範囲が不明な数値を確定した推移として再掲しない。

アドレス数は、そのまま利用者の人数を意味するとは限らない。また、累積の保有アドレスと一定期間内に活動したアドレスは異なる指標である。ゲームへの登録、報酬の受取資格、チェーン上での取引も別の行動なので、同じ母集団として増減を比較するには定義の確認が欠かせない。

Ethereum Foundationについても、旧記事は100ETHの交換と、その資金用途を続けて説明していた。だが、省略されたアドレスと金額だけでは、対象取引を一意に確認できない。取引ハッシュ、完全なアドレス、帰属の根拠をそろえることと、当事者が説明した売却理由を確認することは別の作業になる。

資産の交換が確認できても、その目的が活動資金の確保だったかどうかは取引記録だけでは分からない。市場全体の方向を予告する行動とみなすのも飛躍がある。今回のニュースでは、確認済みの発表と、追加の根拠が必要な推測を区別して読むことが重要である。

よくある質問

Q. MVB第8期の35件はすべて出資が確定していましたか?

A. いいえ。公式発表は、プログラムへの参加が投資を意味しないと明記しています。採択と最終的な投資判断は別です。

Q. TetherのBlackrock Neurotechへの投資は10月の新規案件ですか?

A. 投資先の発表日は2024年4月29日で、金額は2億ドルです。10月の動向を説明する背景として扱い、新しい案件として重ねて数えません。

Q. 2024年10月のBinance CEOは誰ですか?

A. 公式イベント案内ではRichard TengがCEOと記載されています。CZの創業者・前CEOとしての立場と区別します。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。