2024年10月29日暗号資産動向|Microsoft提案と香港の新計画

2024年10月29日前後は、Microsoftへのビットコイン関連株主提案と、香港の暗号資産分野での新計画が話題になった。ただし、投資の評価を求める提案は購入決定ではなく、価格指数の発表やステーブルコインの準備もそれぞれ別の段階にある。当時の公式資料から、誰が何を発表し、どこまで決まっていたのかを整理する。

Microsoftへの提案者はNCPPR

Microsoftが2024年10月24日に提出した委任状説明書には、第5号議案としてビットコイン投資の評価に関する株主提案が載っている。提出者はNational Center for Public Policy Research(NCPPR)であり、旧記事が提案者として扱っていたBlackRockではない。

BlackRockの名前は、提案者が理由を説明する文章の中に登場する。そこで言及された企業と、議案を提出した主体を混同すると、資産運用会社がMicrosoftに購入を直接要求したという別の話になってしまう。大株主として名前が挙がることだけでは、その企業の賛否も分からない。

株主総会の予定日は米太平洋時間の2024年12月10日である。したがって、10月29日分の記事で「今週月曜日に投票」と説明するのは適切ではない。資料が公表された日、株主が事前に議決権を行使できる期間、総会が開かれる日は区別する必要がある。

企業名を含むニュースを読む際は、発言者だけでなく、その立場にも注目したい。株主からの要求、取締役会の勧告、会社の決定には異なる意味がある。公式資料に議案が掲載されたことを、会社がその内容に賛成している証拠として読むことはできない。

議案が求めたのは購入ではなく投資の評価

第5号議案は、ビットコインを組み入れて会社の資産を分散することが株主の長期的な利益にかなうか、取締役会に評価を求める内容だった。取締役会は反対を推奨し、経営陣がすでにこの問題を検討しているため、求められた評価は不要だと説明している。

この段階から「MicrosoftがBTCを購入する」「一定額の買い需要が発生する」と結論づけることはできない。議案の提出、採決、評価の実施、投資方針の決定、実際の購入はそれぞれ確認すべき出来事である。途中の一つだけを根拠に最後の売買まで進んだと扱わないことが大切だ。

また、提案を支持する文章に書かれた過去の値上がりやインフレ対策への期待は、提案者側の論拠である。会社側の評価や、将来の運用成果が保証されたという意味にはならない。価格の上昇余地だけでなく、必要なときに資金を使えるかという企業財務の視点も含めて読む必要がある。

本稿は10月末時点の提案内容を整理するもので、後日の採決結果を当時すでに分かっていた情報として扱わない。歴史的なニュースでは、現在から見た結末と、その日に公表されていた材料を分けることで、当時の判断条件を正確に振り返れる。

HKEXはBTC・ETHの価格指数を発表

香港取引所グループのHKEXは10月28日、ビットコインとイーサの価格を対象にした指数シリーズを発表した。稼働予定日は2024年11月15日であり、10月29日時点の記事では開始予定として記載する。これは価格を参照するための基準を提供する取り組みである。

公表された構成には、リアルタイムに計算するReference Indexと、香港時間の毎日午後4時に算定するReference Rateがある。前者は複数の暗号資産取引所の価格を使う、米ドル建ての24時間出来高加重現物参照価格。後者は金融商品の決済向けの基準で、同じ時点・同じ用途の数値ではない。

指数の数値を他の画面と比べる場合、まず通貨単位と時刻、計算方法をそろえたい。ある取引所の直近の約定価格と、複数市場から集計した指標では、差があっても直ちにどちらかが誤りとはいえない。比較対象が異なると、実際には存在しない割安感や割高感を読み込んでしまう。

特に「BTC価格」という短い表示だけでは、何を測っているかは十分に分からない。個別の売買注文を出せる価格なのか、評価や比較のための参照値なのかを確認することが、指数の発表を理解する出発点になる。

指数の整備を新しい売買商品の開始と混同しない

HKEXは、このシリーズの管理と計算を英国のベンチマーク管理者CCDataが担うと説明した。指数の提供主体と計算を担う主体が示されていることは、数値の出所を確認するうえで重要である。一方、この発表だけで新たな売買商品や購入窓口が開いたとは判断できない。

価格情報、金融商品、取引サービスは別々に確認する必要がある。例えば、指数を公表する仕組みがあっても、その指数に連動する商品を誰が提供し、どこで取引できるかは別の資料に依存する。指数の開始日を、そのまま投資家が新商品を購入できる日と読み替えてはいけない。

指数が実際の投資判断に役立つかは、目的によっても変わる。日々の評価基準を統一したい場合と、今すぐ注文する際の価格を知りたい場合では、必要な情報が異なる。後者では自分の取引先の注文状況や費用も関係するため、参照価格だけで約定条件は確定しない。

今回の発表の意義は、複数市場に分かれる価格を比較する基準の整備として捉えられる。ただし、共通の物差しができることと、対象資産の価格が安定することは別問題だ。指数が整備されても、BTCやETHそのものの値動きがなくなるわけではない。

HKDRはHashKeyとの将来の展開計画

同じ10月28日、RD Technologies傘下のRD InnoTechは、香港ドルに連動するステーブルコインHKDRの将来の展開に向け、HashKey Exchangeとの協力を発表した。Ethereum上での展開を計画し、国際送金や国境を越える決済を用途として挙げている。

このHashKey Exchangeは、前節のHKEXとは別の組織である。旧記事のように「香港取引所HashKey」と続けて書くと、株式市場などを運営するHKEXと同一の主体に見えてしまう。価格指数の発表とHKDRの計画は、発表日や地域が近くても別々のニュースとして扱う必要がある。

発表文は将来の提供に向けた計画を説明しており、この時点ですべての利用者が購入・送金できたことを示すものではない。事業者が実現したい用途と、実際に提供を開始したサービスを分けて読むことが重要だ。対応チェーンの計画だけから、稼働中の正式なトークンの存在も断定できない。

決済用の資産を評価するときは、名前や価格の連動先に加え、発行主体、償還の条件、対応する利用者、利用開始の告知を確認する必要がある。特に計画段階の記事を後日読む場合は、当時の見通しを現在の利用条件として使わず、正式な更新を確認したい。

HKMAのサンドボックス参加は免許取得と別

香港金融管理局(HKMA)は2024年7月18日、ステーブルコイン発行者向けサンドボックスの参加者としてRD InnoTechなどを公表していた。これは、限定した範囲で事業計画を試し、監督上の要件について当局と対話する枠組みである。

HKMAの説明では、参加が当局による推奨や、将来の規制上の資格を意味するわけではない。免許を求める参加者は、制度の実施後に別途申請する必要がある。また7月の発表は、初期段階では一般公衆の資金を扱わず、サンドボックス関連の商品提供や公衆からの資金募集も行わないと説明していた。

そのため、「サンドボックス入りした」「提携先が決まった」「発行の免許を得た」「利用を開始できる」は同じ状態を表す言葉ではない。今回のHKDR発表を理解するには、提携計画に加えて、当時の実験制度の範囲も合わせて見る必要がある。

Microsoftの議案、HKEXの指数、HKDRの発行準備に共通するのは、ニュースの見出しだけでは到達した段階を取り違えやすい点である。主体、発表日、実施予定日、確定した内容を分けて確認すれば、将来の期待を実績として数える誤りを避けやすくなる。

よくある質問

Q. MicrosoftにBTC投資の評価を求めたのはBlackRockですか?

A. いいえ。委任状説明書の第5号議案に記載された提案者はNCPPRです。BlackRockへの言及と議案の提出者を分けて読む必要があります。

Q. HKEXの指数発表はBTCの購入決定ですか?

A. いいえ。BTCとETHの参照価格を提供する指数の発表です。購入や新商品の取扱開始を示すものとは区別します。

Q. HKDRのサンドボックス参加は発行免許の取得ですか?

A. いいえ。HKMAは参加と免許取得を区別しています。2024年10月の提携発表も将来の展開計画として読む必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。