2024年11月2日暗号資産動向|米雇用統計とMicroStrategy計画

2024年11月2日前後の市場では、米国の雇用・物価統計と、MicroStrategyのビットコイン取得に向けた資金調達計画が注目された。雇用統計の下方修正は新たな雇用喪失と同じではなく、調達目標はすでに確保した現金でもない。発表時点と数字の意味をそろえ、当時の材料を確認する。

米10月雇用統計は速報で1万2,000人増

米労働統計局(BLS)が11月1日に公表した2024年10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比1万2,000人増、失業率は4.1%だった。これは当日の速報値であり、後日の改定を反映した現在のデータ系列と一致するとは限らない。

同じ発表では、8月の増加数を15万9,000人から7万8,000人へ、9月を25万4,000人から22万3,000人へ修正した。合計11万2,000人の下方修正は、以前の推計より増加幅が小さかったという意味である。8~9月に11万2,000人の純減が起きたと読み替えると、数字の意味が変わる。

また、BLSは製造業の雇用減少にストライキが影響したと説明した。ハリケーンも一部産業の雇用推計に影響した可能性がある一方、全国の前月比変化への純影響は数量化できないとしている。小さな増加幅を、そのまま景気の基調だけに帰するのは慎重であるべきだ。

速報を読む際は、対象月、発表日、前月までの改定を一緒に確認するとよい。今回の統計は「10月分を11月に発表したもの」であり、11月の雇用状態を直接測った数字ではない。過去記事を検証するときにも、当時の公表値と後から改定された値を混ぜないことが重要になる。

PCE物価指数は総合とコアを分けて読む

米経済分析局(BEA)が10月31日に公表した9月のPCE物価指数は、総合が前月比0.2%、前年同月比2.1%上昇した。食品とエネルギーを除くコアは前月比0.3%、前年同月比2.7%だった。どの系列と期間を指すかによって、見える物価動向は異なる。

旧記事はコアPCEの上昇をBTC下落の主因としていた。しかし、この統計発表だけでは、特定の時間帯の価格変動を何がどれだけ引き起こしたかは分からない。物価の結果と金利見通しが関係することと、個別の下落の原因を特定できることは区別する必要がある。

前月比は直近の変化を、前年同月比はより長い期間の変化を示す。例えば、総合の前年比が低くてもコアの前月比が相対的に高ければ、異なる側面を伝えていることになる。一方だけを選んで「インフレ問題は解消した」「利下げが不可能になった」と結論づけない方がよい。

さらに、市場の反応には発表前に何が予想されていたかも関わる。予想との差を論じるには、予想の集計元と時点を示す必要がある。本稿では出所のない市場予想や恐怖・貪欲指数を補わず、公式に公表された物価と雇用の数字を基礎として整理する。

MicroStrategyの420億ドルは3年間の調達目標

MicroStrategyは10月30日の第3四半期決算発表で、今後3年間に420億ドルの資本を調達する「21/21 Plan」を公表した。株式による210億ドルと、債券などの固定利付証券による210億ドルを組み合わせ、追加のBTC取得を目指す計画である。

これは発表日に420億ドルが入金され、同額のBTC購入が完了したという意味ではない。調達枠や目標の設定、実際の証券発行、資金の受領、暗号資産の購入は別々の段階にある。市場への買い需要を考える際も、計画額を一日の購入額に置き換えることはできない。

9月30日時点の現金・現金同等物は4,630万ドルで、旧記事の8億3,600万ドルという現金残高とは一致しない。BTC保有量は同日時点で約25万2,220BTCと説明されている。保有BTCの価値、現金残高、将来の調達余地を同じ資金として合算しないことが必要だ。

企業の購入計画は、資金調達条件や執行時期に左右される。株式発行と借入れでは、既存株主への影響や返済上の条件も異なる。計画の規模だけを見るより、どの手段で、どこまで実行したかを後続の開示で確認することで、実際の進捗を追いやすくなる。

BTC Yieldは株主が受け取る利回りではない

同社が使うBTC Yieldは、BTC保有量と想定希薄化後の株式数との比率の変化を測る独自の業績指標である。第3四半期は5.1%と公表されたが、BTCを保有して利息を5.1%受け取ったという意味でも、株主の投資収益率が5.1%だったという意味でもない。

会社自身も、この指標が株価や投資成果を予測するものではなく、債務などを十分に反映しない点を説明している。「Yield」という語だけから、預金や債券の利息に相当する確定収入として受け取らないことが大切だ。指標の名称と計算対象をセットで確認する必要がある。

一般に、保有する資産の総量が増えても、株式数も増えれば一株あたりの見方は変わる。一方、比率が改善しても、借入れの負担や資金繰りの条件まで良くなったとは限らない。一つの比率だけで企業全体の財務状態や株式の適正価格を評価するのは難しい。

BTCの現物保有と、その保有企業の株式への投資も同じではない。株式には会社の事業、負債、資本政策などが関わるためだ。保有数量の増加を追う場合でも、実際の株価の変化や投資家自身の取得価格とは分け、会社が指標に込めた意味の範囲で使いたい。

大口購入の勝率や価格下落の説明には根拠が必要

旧記事は、特定アドレスのWETH購入を「勝率85%」と紹介し、市場を安定させるための行動と説明していた。しかし、取引履歴から確認できる資産の移動と、所有者の目的は異なる。市場安定を意図したとするには、当事者の説明など追加の根拠が必要である。

勝率についても、何回の取引を対象にしたのか、含み益と確定利益をどう扱ったのか、どの時点まで追ったのかで数字は変わる。別のアドレスや取引所で相殺する取引があれば、一つのアドレスの履歴だけで投資全体の成績を再現することもできない。

BTCが特定の価格を下回ったという情報も、取引所、通貨建て、観測時刻が必要になる。「24時間で何%下落」という値は、比較する始点と終点が動くためだ。本稿では出所と時刻を確認できない下落率や市場総額を、当日の市場全体を代表する固定値として再掲しない。

大口投資家の動き、経済統計、企業の資金調達は、それぞれ異なる情報である。同じ日に話題になったからといって、一つが他を引き起こしたと決めつけないことが重要だ。特に匿名アドレスの取引を追随売買の根拠にする場合、外から見えない取引や保有条件がある点を考慮したい。

AllianceのALL13はPump.fun運営の育成事業ではない

TechFlowの10月31日付の現地参加記事は、AllianceのALL13 Demo Dayで11のプロジェクトが紹介されたと報じている。Pump.funはAllianceが育成した過去の事例として挙げられており、旧記事の「Pump.fun孵化プログラム」という表現では両者の関係が分かりにくい。

同記事には、Offramp、Starpower、Farm Frens、DataHive、Wav Leaks、Whalefare、Qiro、Kiss or Rug、Force Prime、P2P.me、RPS.liveが掲載された。決済、エネルギー、ゲーム、データなど、紹介された領域は幅広い。ただし、この一覧は発表会の報道に基づくもので、すべての事業成果を独立に検証した一覧ではない。

旧記事はOfframpについて銀行口座を保護すると説明したが、サービスの目標や仕組みの紹介から、口座凍結の可能性がなくなると保証することはできない。実際に使える機能、対象地域、利用条件は各サービスで確認する必要があり、発表会への参加だけでは確定しない。

今回のニュースを整理すると、公式統計は公表時点の値、企業の資金調達は計画と実績、スタートアップ紹介は発表内容と利用条件を分けて読むことが要点になる。大きな金額や著名な支援者の名前だけでは、実現時期や利用者が得られる結果までは分からない。

よくある質問

Q. 11万2,000人の下方修正は雇用の純減ですか?

A. いいえ。8月と9月の増加数を従来の推計から合計11万2,000人引き下げたという意味です。修正後も両月の前月比は増加でした。

Q. 420億ドルはMicroStrategyが保有していた現金ですか?

A. いいえ。今後3年間の資金調達目標です。決算発表が示した9月30日時点の現金・現金同等物は4,630万ドルでした。

Q. BTC YieldはBTCから得られる利息ですか?

A. いいえ。会社のBTC保有量と想定希薄化後の株式数との比率の変化を示す独自指標で、利息や株主の投資収益率ではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。