2023年2月末のNFT売上チャート|順位と数値の不整合を検証

2023年2月末、NFT LABOはMAYCやAzukiなどの売上チャートを紹介しました。引用元を読み直すと、週間という見出しに24時間の数値が混在し、掲載金額の大小と順位にも不整合があります。過去のリストを現在の相場案内と誤認しないよう、確認できる記録と再現できない集計を分け、旧本文の誤訳・転記を訂正します。

2023年2月28日に紹介したチャートを再確認

元記事は2023年2月28日に公開し、InsideBitcoinsの2月24日更新記事を参考にしていました。同記事の見出しは週間の売れ筋ですが、個別の取引データには直近24時間という説明が付いています。したがって、紹介時の1週間を通じた売買額を示す統計として引用することはできません。ここでは媒体が当時掲載したリストという範囲に限定します。

取り上げられたのはMAYC、Azuki、Otherdeed、BAYC、Clone X、Opepen、Checks、Moonbirds、Cool Cats、Rektguyの10コレクションです。キャラクター画像、ゲームに関係する作品、参加型のデジタルアートなどが同じ一覧に含まれていました。順位の記録は残しますが、用途や作品の仕組みまで同じだったという意味ではありません。

また、記事の更新日とデータの締め時刻は別の情報です。更新日の表示があっても、それだけで日本時間の0時から24時までを集計したと判断することはできません。取引のタイムスタンプを揃えた元データがないため、当サイトで同じ結果を再現できたとは報告しません。

順位と掲載金額に、そのままでは説明できない不整合

参照記事ではClone Xが5位で4,780ETH、BAYCが4位で3,967ETHとされています。さらに3位のOtherdeedは4,532ETHです。表記された金額だけを大きい順に並べれば、Clone Xはこの2つより上になります。少なくとも、掲載順が本文の売買額を単純に降順にした結果だとは説明できません。

ただし、この矛盾を見つけたからといって、当サイトが数字だけを並べ替えて「正しいランキング」を発表することも適切ではありません。項目ごとの取得時刻がずれていたのか、編集上の誤りなのか、別の基準を含めたのかを参照記事から確定できないためです。金額を転記する作業と、順位の計算方法を検証する作業は分ける必要があります。

旧記事ではClone XのETH建て金額を「販売数量」と表現していましたが、これも販売点数とは異なります。順位の検討に使う列が金額なのか件数なのかを明示しないと、読者は人気の広がりと高額取引の大きさを混同します。本記事では、原文に掲載された金額という意味で売買額と記します。

こうした不整合は、表の一番上だけを抜き出す読み方では見逃しやすいものです。首位の名前が前の週と同じでも、2位以下で比較条件が崩れていれば表全体を同一基準の順位として使えません。並べ替えに使った指標と各行の値を照合することが、ニュースの表を再利用する最初の確認になります。

「5.7%で倍増」など、旧本文の表現を訂正

Azukiについて旧本文にあった「5.7%も倍増」は数学的に成立しません。5.7%の増加であれば元の値の1.057倍であり、2倍になる増加率は100%です。たとえば比較対象が100なら105.7になる変化です。参照記事の変化率を残すとしても、別の意味を持つ「倍増」を付けることはできません。

Otherdeedの点数についても、引用元は100,000と書いているのに、旧記事では10,000になっていました。桁が一つ落ちた転記ミスです。ここで訂正するのは引用内容の再現であり、現在の流通点数や将来の最大発行数をこの数字から保証するものではありません。掲載時の説明と、後の時点の供給状態には別の確認が必要です。

また、「前週9位から2位」と「前週初登場」などの説明が並んでいても、継続的な観測記録が示されなければ、登場回数まで独立して確かめられません。本記事では初登場や再登場を作品の成長実績として強調しません。順位の変化は、比較する2つの表の範囲や基準が一致して初めて意味を持つためです。

Opepenは売買ランキングだけでは伝わらない作品

この回で取り上げられたOpepenについて、2026年9月27日に公式サイトを確認しました。サイトはEthereum上のパブリックアートの仕組みとして説明し、共通のシルエットをさまざまな作者が解釈し直す作品を掲載しています。コレクターの投票を通じて、200の最終セットからなるコレクションを形作るという紹介です。

ここでの200はセットの構成に関する数字です。NFTの発行点数、参加する人の数、投票回数とは同じ単位ではありません。旧記事に記載していた15,957という点数を、公式の設計上の固定総数として裏付けることは今回できませんでした。異なる単位の数字を使って、旧記事の供給量を逆算することも避けています。

現在の公式サイトには作品セット、提案作品、参加アーティストを辿る入口があります。これは売買額以外の観点からプロジェクトを読むための資料になります。ただし、2026年に見えるサイトの構成や参加方法が、そのまま2023年2月にも提供されていたと遡って説明することはできません。

作品を理解する目的なら、どの作者によるどのセットかを見る作業が中心になります。一方で、当時の市場活動を調べる目的なら、どのNFTがどの期間に取引されたかが中心です。同じコレクションの話でも、調べたい問いに応じて必要な資料は変わります。ランキングの順位だけでは、この2つの問いには答えられません。

供給数の比較では、最初の発行と後の移行を分ける

同じ表に載ったChecksも、点数の読み方に注意が必要です。公式資料は2023年1月の初回発行を16,031点と説明し、2月にはEditionを消費してOriginalへ移行する仕組みを導入したとしています。旧記事の「16,000個の限定版」という一行では、当初の作品数も、その後の変化も十分に伝わりません。

この例から分かるのは、あるコレクションの点数が減ったとき、すぐに需要減と結び付けてはいけないということです。別のコレクションへ移行する設計があれば、観測する対象が変わります。初回の発行数、現在残る数、特定のマーケットが表示する数を、一つの「総数」にまとめると原因を見失います。

複数作品の比較では、コレクション名とともに対象を識別できる情報を残しておくと追跡しやすくなります。同じブランドの追加作品や移行先を無条件で足すと、以前の表とは対象が違ってしまいます。数値に差が出たときは、その差を成長率と呼ぶ前に、同じ集合を見ているかを確かめる必要があります。

チャートを読み直すための記録の残し方

現在のOpenSeaのWatchlistの説明では、24時間の売買額、24時間の販売件数、所有者数、コレクションの点数などが別々の項目になっています。これは現在の表示の例ですが、「売れた」を一つの数で済ませないための参考になります。多額の取引があったことと、多くの人へ作品が広がったことは、別の情報を必要とします。

この過去記事を資料として使うなら、公開日、引用元の更新日、本文に書かれた観測期間の3つを並べて記録します。さらに、順位の根拠が売買額なのか、媒体の編集上の選定なのかを記します。不明な項目は不明のまま残した方が、後から別の表と比較するときの誤解を防げます。

今回の再検証では、期間の誤訳、単位の混同、増加率の表現、Otherdeedの転記を修正しました。一方、当時の全取引データや除外ルールは取得しておらず、独自の週間ランキングは作成していません。この記事は2023年2月の紹介記録と、その数字を読む際の限界を示すものです。2026年現在の売れ筋や将来の価格を示す表としては利用できません。

よくある質問

Q. 掲載された金額を並べ替えれば正しい順位になりますか?

A. そうとは言えません。取得時刻や順位の選定方法が不明であり、掲載金額だけの並べ替えを独立した市場ランキングとして扱うことはできません。

Q. Azukiの5.7%増は倍増ですか?

A. いいえ。5.7%増なら1.057倍です。倍増は2倍、つまり100%増を意味するため、旧本文の表現を訂正しました。

Q. Opepenの200セットはNFTが200点という意味ですか?

A. 公式サイトの200は最終的な作品セットの構成を示す数字です。NFTの発行点数や所有者数とは区別して読む必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。