ペット愛好家向けNFT「City Frenchie」とは|香港の保護動物支援とその後

City Frenchie(シティ・フレンチー)は、ヤフー香港のオンラインマガジン「BetterMe」が2022年7月に発表したNFTプロジェクトです。フレンチブルドッグをモチーフにしたイラストをNFTにして販売し、売上の一部を香港の動物保護団体に寄付するという内容でした。暗号資産ではなくクレジットカードで買える点も、当時の特徴として紹介されています。

旧版の記事は発表直後に書かれたもので、発行数や販売日程に報道と食い違う点がありました。今回は当時の報道をもとに誤りを正し、その後どうなったかと、ペットや寄付をテーマにしたNFTを検討するときに見ておきたい点をまとめます。

City Frenchieの発表内容

報道によると、BetterMe誌は2022年7月19日に初のNFTプロジェクトとしてCity Frenchieを発表し、7月21日にプロジェクトを始めました。香港の地元イラストレーターが、フレンチブルドッグを主人公にした作品を手がけています。作品の設定は、フレンチブルドッグたちが街に出てさまざまな暮らしを体験し、それぞれが個性をもつ「シティ・フレンチー」になるというものです。

デザインには、環境への配慮、心と体の健康、文化、旅といったBetterMe誌が大切にしているテーマが込められていると説明されました。1体ごとに性格や趣味が設定されており、コレクションとして眺める楽しさも意識されていました。

ヤフー香港の営業責任者は発表のなかで、読者に独自の体験を届けながら、メタバースでの存在感を広げていきたいという考えを示しています。媒体としての読者との関係づくりに、NFTを使おうとした例といえます。

販売方法と価格

City Frenchieの販売は、香港のNFTマーケットプレイス「Artzioneer(アーツィオニア)」で行われました。報道では、2022年8月1日に先行販売が始まり、価格は1点800香港ドル(当時のレートで約100米ドル)からとされています。正式な販売開始は8月8日の午前10時でした。

支払いにはMastercardやVisaのクレジットカードが使えました。多くのNFTは暗号資産での支払いが前提ですが、Artzioneerは法定通貨で買えることを売りにしており、暗号資産のウォレットを持たない人でも参加しやすい形をとっていました。購入するには、Artzioneerに会員登録して本人確認を済ませる必要がありました。

旧版の記事は「8月1日午前10時より販売」としていましたが、報道によると8月1日は先行販売の開始日で、午前10時に始まったのは8月8日の正式販売です。先行販売の情報は、公式のInstagramやArtzioneerの会員向けに案内されていました。

発行数と保有者向けの特典

旧版の記事は「ペットをテーマにした100のNFT」と書いていましたが、報道や公式サイトの説明では、発行上限は1,105点とされています。イラストレーターが描いたデザインは100種類とも伝えられており、デザインの数と発行数を取り違えていたと考えられます。

保有者向けの特典としては、保有者だけが入れるDiscordのグループと、そこでの投票権、BetterMeと動物保護団体が共同で出す紙の証明書、ワークショップへの優先参加などが案内されていました。寄付先の保護施設を訪れる機会や、香港をイメージした仮想空間での体験も挙げられていました。

このように、City Frenchieは値上がりをうたうものではなく、ペット好きの人が作品を持ちながら保護活動を応援するという、コミュニティと寄付を中心にした設計でした。

寄付先の保護団体SAA

売上の一部の寄付先となったのは、香港の保護遺棄動物協会(Society for Abandoned Animals、SAA)です。SAAは1997年に動物保護の活動家たちが立ち上げ、1998年に香港の慈善団体として登録されました。「殺さない、捨てない」を掲げ、捨てられた動物や高齢・病気の動物を引き取り、新しい飼い主を探しています。

SAAの説明によると、保護施設には約300匹の動物がいて、その8割以上が高齢です。持病のために療法食や薬が欠かせない動物も多く、医療費が大きな負担になっています。City Frenchieの寄付は、こうした動物の世話にかかる費用にあてると説明されていました。

ただし、売上のうち何割が寄付されたのか、最終的にいくら寄付されたのかについては、公開された情報を確認できませんでした。寄付つきのNFTでは、この点がわかるかどうかが判断の分かれ目になります。

その後どうなったか

2026年9月時点で、City Frenchieの公式サイトとして案内されていたcityfrenchie.ioには接続できませんでした。販売後の売れ行きや、特典として予定されていた活動がどこまで実施されたかも、信頼できる情報では確認できませんでした。

販売を担ったArtzioneerのウェブサイトは、2026年時点では会社紹介の静的なページになっており、会員登録や取引の機能は案内されていません。表示されている著作権表記は2022年のままで、マーケットプレイスとして現在も運営されているかは確認できませんでした。

香港では同じ時期に、飲食チェーンや企業がArtzioneerなどを通じて寄付つきのNFTを出す例がいくつもありました。当サイトでも香港の企業がNFTでチャリティ資金を集めた例を取り上げています。

当時の香港のNFT規制

City Frenchieが発表される直前の2022年6月6日、香港の証券先物委員会(SFC)はNFTへの投資に関する注意喚起を出しています。SFCは、NFTは二次市場での流動性が低く、価格の変動が大きく、価格の決まり方が不透明で、ハッキングや詐欺の危険もあると指摘しました。そのうえで、リスクを理解できず損失に耐えられない場合は投資すべきでないと呼びかけています。

同じ声明でSFCは、多くのNFTは画像や音楽などのデジタル資産の唯一の写しを表すもので、収集品の性格が強いと整理しました。一方で、分割されたNFTなど金融商品に近い設計のものは、証券や集団投資スキームとして規制の対象になりうるとしています。

City Frenchieのように、作品と特典、寄付を組み合わせたNFTは収集品に近い位置づけです。ただ、収集品であっても売りたいときに買い手が見つかる保証はない点は、SFCの指摘どおりです。

寄付つきNFTを選ぶときのチェックポイント

ペットや動物保護をテーマにしたNFTは、その後も世界各地で企画されています。支援の気持ちで購入を考えるなら、まず寄付先の団体名と、売上のうち何パーセントを寄付するのかが明記されているかを確認しましょう。寄付の実績を後から報告する仕組みがあるかどうかも大切です。

次に、販売する事業者とマーケットプレイスが続くかどうかを見ておきます。City Frenchieのように、公式サイトや販売の場がなくなると、特典を受けられなくなったり、作品を売買する場所がなくなったりすることがあります。クレジットカードで買える仕組みでは、NFTを事業者が預かる形になっている場合もあるため、自分のウォレットに移せるかも確かめておくと安心です。

寄付だけが目的であれば、団体に直接寄付するほうが確実に届く場合もあります。環境保護をテーマにした例はチャリティーNFT「Green NFT」の紹介記事も参考になります。

日本から参加する場合の注意点

City Frenchieは香港の読者を主な対象にした企画で、日本語での案内はありませんでした。海外のNFTを買うときは、利用規約や特典の条件が現地の言語でしか示されていないことが多いため、内容を理解したうえで判断することが大切です。

日本の税金の面では、NFTの購入代金の一部が寄付にあてられても、購入者が団体に寄付したことにはならないと考えられます。そのため、寄附金控除の対象になると期待するのは避けたほうがよいでしょう。一方、NFTを売って利益が出た場合は、所得税の申告が必要になることがあります。

判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。この記事は特定のNFTの購入を勧めるものではなく、寄付やコレクションとして参加する場合も、無理のない金額にとどめることをおすすめします。

よくある質問

Q. City Frenchieは何点発行されたのですか?

A. 報道や公式サイトの説明では、発行上限は1,105点です。旧版の記事は「100のNFT」としていましたが、100はイラストのデザイン数とみられます。

Q. 暗号資産を持っていなくても買えたのですか?

A. 販売を担ったArtzioneerはMastercardやVisaでの支払いに対応しており、会員登録と本人確認をすればクレジットカードで購入できる仕組みでした。

Q. 寄付はいくら集まったのですか?

A. 売上の一部を香港の保護遺棄動物協会(SAA)に寄付すると発表されていましたが、寄付の割合や最終的な金額は公開情報で確認できませんでした。

Q. 今もCity Frenchieを買ったり特典を受けたりできますか?

A. 2026年9月時点で公式サイトには接続できず、販売したArtzioneerも静的なページになっていました。現在も取引や特典が続いているかは確認できませんでした。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。