X(旧Twitter)投資機能が始動、金融スーパーアプリへ

▽ 要約

サービス概要:Xが株式取引と送金を統合し投資機能を年内開始
対象ユーザー:米国X利用者から順次、クリエイターと若年層を中心に拡大
主要提携:Visaと連携したウォレット「X Money」で即時決済を実現
規制対応:39州送金ライセンス取得済み、順次他州も申請
将来展望:暗号資産やカード発行も視野、“西洋版WeChat”を目指す

X 投資機能は、SNS上のタイムラインとウォレットを直結し、株式売買・送金・決済をワンストップで行える画期的な仕組みだ。――「銀行口座は不要になる」。イーロン・マスク氏が掲げるスーパーアプリ構想は、リンダ・ヤッカリーノCEOの「Xで金融生活が完結する」という宣言で次の段階へ進む。本稿では、Financial Times報道と公式発言を基にサービスの全貌と市場インパクトを解説する。読めばXの金融戦略を俯瞰し、ユーザー・投資家双方のメリットとリスクが把握できるだろう。

X投資機能の概要

2025年後半、米国ユーザーはXアプリ内で株式取引を開始できる。詳細はVisa提携のX Moneyウォレットと連携し、デビットカードから即時入金が可能だ。

サービス開始までのロードマップ

当初は限定ベータで送金・投げ銭を検証し、同年Q4に取引機能を一般公開。既に39州で送金ライセンスを取得済みで、残州・国際ライセンスを並行取得中。

機能の詳細

ウォレット「X Money」

Visa Directによりカード→ウォレットへのリアルタイムチャージを実現。ウォレット残高は銀行口座へ即時出金できる。

取引プラットフォーム

アプリ画面から銘柄検索→注文→約定まで数タップ。取引明細はチャット感覚で共有でき、SNS機能と投資が融合。

ターゲットユーザーと提供価値

クリエイターの収益化

投げ銭と取引収益を同じウォレットで管理でき、資金回転が高速化。NFTや有料動画など既存のマネタイズ機能とも統合予定

若年層の投資参入

口座開設不要・チャージ即取引はハードルを大幅に下げ、従来の証券口座未保有層へのリーチを期待。

競合比較

WeChat Payとの違い

結論:決済起点のWeChatに対し、XはSNSと投資を核とする逆アプローチ。米国特有の規制とユーザー行動への適応が鍵。

PayPal・Venmoとの差別化

Xはタイムライン上で完結するリアルタイム投資を強みとし、既存P2P決済より金融商品ラインナップが広い。

リスクと課題

規制・信頼性

証券取引委員会(SEC)の認可やサイバーセキュリティ対策が必須。利用者調査では「従来銀行の方が安全」との声も多い。

収益モデルの持続性

手数料依存では大手証券と競合。広告減収を補えるかは取扱資産拡大とクロスセル次第。

今後の展望

クレジットカードと暗号資産

Xブランドカード発行と暗号資産取引の統合を計画。“西洋版WeChat”超えを狙い、決済から投資までを単一UIに収める。

▽ FAQ

Q. Xの投資機能はいつ開始?
A. 米国で2025年後半の一般公開を予定し、ベータ版は夏から順次招待。

Q. 取扱う資産クラスは?
A. 初期は米国株中心、暗号資産・ETFは段階的に追加予定。

Q. 手数料はいくら?
A. 詳細は未定だが、取引・出金・送金に小口手数料が設定される見込み。

Q. 規制面の対応は?
A. SEC登録と州送金ライセンス取得を進行中、金融犯罪対策を重視。

■ ニュース解説

Xの投資機能は、米国株個人売買の裾野を広げ、市場流動性を押し上げる可能性がある。一方、手数料モデルと規制コストが利益を圧迫する懸念も。注目銘柄はXの決済提携先Visa、競合のPayPal、決済端末を持つBlock。スーパーアプリ化が進めば広告に依存しない新収益源が確立され、SNS業界の収益構造を揺さぶるだろう。

(出典:ヤッカリーノ発言,FT,Visaリリース)