米国市場と暗号資産:過熱と備蓄の10月

▽ 要約

バリュエーション バフェット指数220%超で過熱。
ドル・ゴールド DXY98台、金は初の$4,000。
政策 インテル・トリロジーに政府出資。
備蓄 3/6の大統領令でBTCを売らず蓄える。

株式は史上高圏だが、ドル安・インフレ再燃懸念の下で金とビットコインに資金が逃避し、政策面では政府の出資と「売らない」戦略備蓄が進む。米国市場 暗号資産 2025年10月の要点を、数値と日付で整理し投資家の判断材料を解説する。

株式—過熱指標と足元の調整

バフェット指数は220%超で過熱だが、政府閉鎖や利益確定で主要指数は10月7日に反落した。
米株の割高感は顕著で、TMC/GDPは10月上旬に約220%(史上高水準)。一方、7日はダウが46,602.98(-91.99)と続落し、ナスダックも反落した。ハイテクではオラクルが一時7%安(引けは約2%安)となり、過熱感の調整がにわかに進んだ。

バフェット指数221%の含意

過去ピークを上回るため、先行き平均リターンは歴史的に低下しやすい。
市場規模が実体経済の2倍超に拡大した局面では、過去データ上、期待リターンの低下が示唆される。2000年ドットコム期(約150%)より高い比率は、金利低下やAI期待で押し上げられた面が大きい。

足元の反落—利益確定とイベント不確実性

過熱感と政府閉鎖が投資家心理を冷やし、主力株に売りが出た。
史上高直後の利益確定に加え、連邦政府の一部閉鎖が7日で1週間に及び、マクロ指標の遅延と政策不透明感が短期の重しとなった。

関連:Polymarket(ポリマーケット)予測市場総覧:ICE出資と米再参入

マクロ—ドル安と金$4,000

ドルは年初来で弱含みの一方、金先物は史上初の$4,000を突破した。
DXYは98台で年初の109前後から下落、米金利の低下観測と財政不安が背景。安全資産選好が強まり、金は年初来+50%超で4,000ドル到達、銀も高止まりした。

ドル指数98台—年初来▲9〜11%

利下げ観測と政治リスクがドルを圧迫し、ヘッジ需要も拡大した。
米金融緩和方向と政府閉鎖に伴うデータ遅延で、機関投資家の為替ヘッジ比率は上昇。ドル安は外貨建てのコモディティ価格を押し上げやすい。

金4,000ドル—ハードアセットへの逃避

中央銀行買いとETF流入が重なり、資金は金・ビットコインに向かった。
「通貨価値の希薄化」懸念の下、金はスポットも4,000ドルに迫り、先物は初の大台を上抜け。ビットコインも12万ドル超の史上高圏で推移し、インフレ耐性資産の需要が広がる。

政策—政府の出資とビットコイン備蓄

政府は戦略分野へ直接出資を進め、暗号資産は「売らない」備蓄へ転換した。
8月にインテルへの約10%出資を決め、10月にはカナダのトリロジー・メタルズ株10%取得を発表。3月の大統領令では、押収BTCを原資とする戦略ビットコイン予備を創設し不売方針を明示した。

政府の直接出資—インテル10%、トリロジー10%

半導体と重要鉱物で国益確保を狙い、出資と権益取得を組み合わせた。
インテルでは補助金の一部を転用し株式を取得、トリロジーでは約3,560万ドルで10%取得と追加ワラントを確保。DPA等の産業政策と並行し供給網の戦略性を高めた。

戦略ビットコイン予備—「売らない」原則

3月6日の大統領令で設置され、押収BTCを備蓄し政府保有分は売却しない。
連邦政府が保有する最終没収済みBTCを原資に口座を創設、予算中立での追加取得手段の検討も付した。ホワイトハウスの場で「ビットコインは決して売るな」との方針が示された。

立法サイドの動き—「いつでも始められる」発言

ルミス上院議員は資金調達と購入は「いつでも開始可能」と言及した。
法制面の整備に課題を残しつつも、執行面の準備は整ったとされ、備蓄政策の実装が射程に入る。

伝統金融×暗号資産—指数と予測市場

インデックスとデータの両輪で、暗号資産が金融の基盤インフラへ組み込まれる。
S&Pは暗号資産15+上場株35の「S&Pデジタル・マーケッツ50」を導入、DinariのdShareとしてトークン化提供予定。ICEはPolymarketに最大20億ドル出資し、イベントデータ配信とトークン化協業を進める。

S&P「デジタル・マーケッツ50」—横断ベンチマーク

暗号資産と関連株を単一指数で捉え、上限5%の分散設計を採用した。
機関投資家の「コア+サテライト」配分に適合するよう、時価総額とルールベースを組み合わせ、四半期リバランスを実施。オンチェーン追跡の導入も予告された。

ICE×Polymarket—イベントデータの金融商品化

予測市場の確率データを配信し、センチメント指標として展開する。
NYSE親会社のICEは最大20億ドルの出資でデータ配信権も獲得。イベント確率は金利・クレジットに並ぶ新たなリスク因子として活用余地が広がる。

企業—Strategy(旧マイクロストラテジー)

BTC保有は約64万枚で、週次買いは高値圏で一時停止した。
同社は平均$73,983で約640,031BTCを保有し、Q3の評価益は約39億ドル。株式ATM等の資本政策を見据え、購入ペースを調整している。

保有・取得単価・評価益

BTC相場が12万ドル超で推移し、含み益は300億ドル超に拡大した。
高値圏での買い控えにより財務余力を温存しつつ、上昇相場のレバレッジ効果を享受。時価は800億ドル規模に達し、同社は「ビットコイン・トレジャリー企業」としての色合いを強める。

▽ FAQ

Q. バフェット指数は何%で、いつ更新?
A. 2025年10月7日時点で約220%(過去最高圏)で、日次更新が継続されています。

Q. DXYはどの水準で、年初来の変動は?
A. 98台で年初の109前後から低下し、2025年は約9〜11%の下落レンジです。

Q. 金が$4,000に乗せた背景は?
A. 政府閉鎖や利下げ観測、ドル安、中央銀行買いとETF流入が重なりました。

Q. 戦略ビットコイン予備とは?
A. 2025年3月6日の大統領令で創設し、押収BTC約20万枚を売らず備蓄します。

■ ニュース解説

株式はTMC/GDPが220%超で過熱な一方、政府閉鎖と利益確定で10月7日に主要指数が反落し、ドル安のため金は$4,000を突破しBTCも史上高圏となった。
投資家の視点:短期は政府閉鎖解消・FOMC・主要決算のイベントリスク管理を優先し、為替と金利のトレンドに応じて株式と実物資産の比率を機動調整、暗号資産はボラティリティ前提のサイズ管理を徹底するのが一般的です。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

(参考:ホワイトハウス,ICE,S&P Dow Jones Indices,インテル