▽ 要約
テザー評価:5,000億ドル観測が浮上
マクロ:米がアルゼンチンへ200億ドル支援
ルール:上院が10/1に課税公聴会
市況:BTC続落・ETF資金流出も確認
投資家の関心は「テザー5,000億ドル評価」観測の真偽と市場波及だが、交渉は初期段階で不確実性が大きい一方、米国の対アルゼンチン支援や上院公聴会の時期がリスク選好を左右する。テザー 5000億ドル評価を軸に、9月25日時点の事実と実務的含意を簡潔に解説する。
テザー「5,000億ドル評価」観測の実像
新規資金調達で約3%の売出を検討との報道を受け総額評価が5,000億ドル水準と解釈されたため、同社の収益性と米国参入戦略が市場の主要論点となった。
テザー(USDT発行体)は2024年末の取引では約120億ドル評価とされたが、9月24日の報道ではCantor主導で150〜200億ドルの資金調達(約3%)を協議とされ、暗示的バリュエーションは5,000億ドルに跳ね上がる。USDT時価総額は約1,720億ドル、2025年第2四半期は準備資産1625億ドルに対し負債1571億ドル、利益率は「99%」との言及もある。もっとも協議は初期段階で、条件・最終額は変動し得る。
収益構造と規制対応(USAT構想)
米国債利息に依存する高収益は金利低下局面で縮小し得るため、同社はAI・エネルギー等の新規投資と米国市場向けネイティブ安定通貨「USAT」構想で能動的収益化とコンプライアンス補強を狙う。
同社は既に120超の投資案件に出資、米国ではAnchorage Digitalと連携したUSATで規制準拠を図るとされる。他方、競合安定通貨や金利低下、法制度(米GENIUS法やEU MiCA)の厳格化は事業リスクとなる。
SNSで拡散した数値の取り扱い
X上では「会長の純資産2,240億ドル=世界5位級」との解釈が話題化したが、企業評価と個人純資産は同義ではないため、一次情報の確認が不可欠である。
マクロ要因—米国の対アルゼンチン支援と金融条件
米財務省がアルゼンチン中銀との200億ドルスワップ交渉とドル建て国債購入の用意を表明したため、新興国資産の流動性懸念が緩和し、短期的にリスク資産のセンチメントを支えた。
スワップ枠とESF(為替安定化基金)によるスタンバイクレジットの示唆は、選挙期のボラティリティ管理を狙う政策対応で、アルゼンチン債は9月24日に急伸した。米側の支援は条件付きであり、構造改革の継続が前提となる。
上院の暗号資産課税公聴会(10月1日)
上院財政委は「デジタル資産の課税」を10月1日に審議するため、マイニング・ステーキングの課税時点や二重課税の是正、事業者区分(ブローカー定義)などが焦点となる。
証言者にはCoinbaseの税務担当副社長やCoin Centerの政策責任者が含まれる見込み。手当の方向性は、米国での個人・事業者の税務実務に直結する。
市況—BTC/ETHの押し目、フローとテクニカル
パウエル議長発言後の利益確定でBTCは6日続落し11.1万ドル台、106,700ドルに約11.5億ドルのロング清算が集中したため、短期は下押し圧力が残る一方、ETHの4,073ドルは健全な押し目との見方もある。
ETFフローは9月23日時点でBTC▲1.04億ドル、ETH▲1.41億ドル。21週移動平均(10万9,900ドル)は強弱分岐の目安とされ、割れは調整深堀りのシグナルになり得る。
センチメント—要人発言と政策期待
「いずれビットコインは金を凌ぐ」との発言や、10月利下げ確率94%といった見出しは短期の心理を左右するが、実際の需給・政策実行とのギャップに留意すべきである。
個別トピック—Aster/Plasma、UXLINKの動き
Asterはチェーン立上げ準備(サブ秒最終性、ネイティブパーペチュアル等)と高収益化でKPIが伸長したため、循環的な資金流入が続く一方、Plasmaは9月25日のTGEとBinanceでの配布が供給日程の焦点となる。
UXLINKは連続インシデントで被害総額が拡大しており、コントラクト監査・キー管理・ミグレーション計画の総点検が急務である。
▽ FAQ
Q. テザーの「5,000億ドル評価」は確定か?
A. 9月24日時点は協議初期で未確定。3%売出で5,000億ドル水準と推計され、USDTは1,720億ドル規模。
Q. 米国のアルゼンチン支援の規模・手段は?
A. 200億ドルのスワップ交渉とドル債買入の用意、ESFのスタンバイ与信を示唆。24日に債券が上昇。
Q. 上院の公聴会は誰が出る?
A. 上院財政委で10月1日開催。Coinbase税務VPとCoin Center幹部らが証言予定。
Q. 9/25時点のテクニカル重要水準は?
A. BTCの21週MA=10万9,900ドル、106,700ドルに清算集中、ETFフローはBTC/ETHとも純流出。
Q. 9/25の個別イベントは?
A. PlasmaのTGE/配布、AltLayer2.4億ALTなど複数のトークン解禁が予定。供給圧力に留意。
■ ニュース解説
テザーの高評価観測が資本政策と米国進出のシグナルとなった一方で、米財務省の200億ドル支援はリスク資産の短期センチメントを下支えし、上院公聴会が税制の不確実性縮小へ布石となる。
投資家の視点:評価観測は未確定ゆえ織り込み過ぎを避け、21週MAやETFフローといった需給指標、イベント供給(TGE・アンロック)を重ねてリスク管理を行う。新興国支援や利下げ確率などマクロの追い風が出ても、ポジションサイズ・ストップの厳格化と分散で対応。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Reuters,Financial Times,Bloomberg Tax)