答えは8月13日に書かれていた——NTRPY「7つの試練」完全解読ログ

NTRPYがホワイトリストを配るために出した7問は、すべて解かれた。枠は日本時間8月20日の未明に埋まった。運営側のヒント役は、解答を自分のタイムラインで公開している。

ただ、この企画の本当の仕掛けはそこではない。7つの答えは、問題が出る6日前にすでに公開されていた。それも謎の形ではなく、普通の散文のなかに置かれていた。

7つの答えと、その解き方

Trial 2「The Seven」は、7つの問題を鎖のようにつないだ構成だった。ひとつ解くと単語がひとつ出て、その単語が次の問題を開ける。最終的な提出物は、7語を空白なしでつなげた44文字である。

各問題の答えと、そこへ至る手順は次のとおり。

I. PSYCHE — IMAGINAL

蝶のASCIIアート。フッタに「8つの細胞が生き残った。1行につき1つ。下へ読め」とある。蝶の胴体に、周囲より明るい文字が8つ埋まっていた。間隔は216ピクセルで一定。上から拾うとIMAGINAL。芋虫がドロドロに溶けたなかで唯一生き残り、蝶の体を作る細胞群の名前である。「完全に溶け、内側から作り直される」という題辞がそのまま答えを指していた。

II. OUROBOROS — BLIND

2枚組。1枚目は文字がびっしり並んだ格子(FIELD)、2枚目はほぼ真っ黒な板(MASK)。重ねろ、という指示だけがある。MASKの正体は、5か所だけアルファ値がゼロの透明窓を持つ画像だった。窓の大きさは縦38×横42ピクセル。格子の1文字ぶんとぴったり同じである。見えるのはB・L・I・N・Dの5文字。「見える直前に盲になる」という題辞のとおり、視界の大半を潰さないと読めない。

III. PROTEUS — NOFORM

暗号文はOZNBUNの6文字。「鍵は、2番目のものが何になったか」とある。答えは前問で出ている。BLINDを鍵にヴィジュネル暗号を解くとNOFORMになり、ヘッダの「決まった形を持たない」と一致する。

IV. ARACHNE — ITSELF

蜘蛛の巣のASCII。巣のなかに明るい文字が6つ散っている。上から順にI・T・S・E・L・F。フッタは「巣は、それが作られている材料ぶんきっかりの値段がつく」。外から持ち込むものは何もない、という宣言そのものが答えだった。

V. GLAUX — UNSEEN

一見ただの星空。「ここには何も隠されていない。ただ照らされていないだけだ」とある。実際、画像の最大輝度は255中101しかない。露出を持ち上げると、中央に大きくUNSEENの文字が浮かぶ。

VI. KETOS — DEEPER

Entropyという単語が13回並ぶだけの画像。フッタは「13の呼び声/2つの音色/その単語はメッセージではない」。2つの状態とは、末尾のピリオドの有無だった。等幅フォントの1文字幅を実測すると20.5ピクセル。単語間の空白は、きれいに1個か3個へ分かれた。ピリオドを長音、無しを短音、空白1個を文字内、3個を文字の切れ目として読むとモールス信号になる。13symbolがD-E-E-P-E-Rの3+1+1+4+1+3にちょうど収まった。

VII. SKORPIOS — NOTHING

「この板には何もない。『まだ見つかっていない何か』ではない。何もないのだ」と書かれた蠍の絵。ただし下部に「STING RECORD」と題した点と星印の列がある。前後2個ずつは枠線で、中身は35個。星印を1、点を0として5ビットずつ区切り、A=1で文字に直すと35÷5でちょうど7文字、NOTHINGになる。何もないことを宣言する板に、何もないと書いた暗号が仕込まれていた。

つなげると IMAGINALBLINDNOFORMITSELFUNSEENDEEPERNOTHING の44文字になる。

6日前の記事に、答えの種が全部あった

Trial 2の冒頭に、読み飛ばしやすい一文がある。以前それらの周りに書いたが名前は付けなかった、それでも何人かは名付けた、という趣旨の記述だ。

これは誇張ではなかった。8月13日、Trial 2より6日早く、ヒント役の@JustJay4kが「The Opening Ritual」という記事を出している。通過儀礼について書かれた散文だ。謎解きの体裁はどこにもない。そこにこう書かれていた。

見える直前に、人は盲になる——II番の答えBLINDである。

他も同じだった。あなたは何者かになる前にバラバラにされる、という一節はI番の溶解とIMAGINALに対応する。何も入ってこない、何も助けてくれない、という記述はVII番のNOTHINGに重なる。器は求めて作られない、見られることで作られる、と結ばれる箇所はV番のUNSEENと同じ主題だ。

つまり8月13日の時点で、注意深く読んだ人はTrial 2の答えを予測できた。「もしあなたが注意深くフォローしていたら」という運営の後日の投稿は、この構造を指している。

制作陣は最初から名乗っていた

ミント直前、運営側からこういう趣旨の投稿が出た。彼らはこれをただのNFTミントだと思っている、しかし私たちが何者でなぜここにいるかは、すでに伝えてあった、と。

答えはヒント役のプロフィール欄にあった。ずっと誰でも見られる場所だ。Creative Director and Cult Leaderという肩書きの下に、@Cubhubx、@Umilabs_、@0xNTRPY、そしてUmi Animationが並んでいる。

CubHubはフォロワー3.2万を持つ既存のNFTプロジェクト。Umi Labsは2024年7月に立ち上がったクリエイティブスタジオで、KodiakやInitia、Euphoria、GTEといったプロジェクトの制作を手がけてきたと自ら記している。NTRPYの正体は、受託制作の実績を持つスタジオとアニメーション部門を抱えたチームの自社プロジェクトだった。匿名の突発ミントではない。

ミントの条件

コレクションはOpenSeaのntrpygenesis。チェーンはRobinhood Chainで、規格はSeaDrop V1、発行上限は3,333。全フェーズが無料で、負担はガス代のみとなる。

日本時間8月21日のスケジュールは4段階。3時にTreasury、3時20分にGenesis(確定枠)、4時20分にWL Standard(先着)、そして5時20分から6時20分までがPublicで、こちらはWLなしでも参加できる。いずれも1ウォレット1点。

先着枠と公開枠は文字どおり早い者勝ちのため、前段のフェーズで供給がどこまで削られるかによって難易度が変わる。自分が確定枠に入っているかどうかは、コレクションページのeligibility表示で事前に確認できる。

何が設計されていたのか

ここからは筆者の見方になる。

この企画の巧妙さは、謎の難易度そのものにはない。答えを6日前に平文で置いておきながら、それを謎の形式で出さなかった点にある。読んだ人は多かったはずだ。だが「これは後で使う」と留め置けた人だけが、6日後に有利になった。

暗号を解く力ではなく、意味がまだ与えられていない情報を保持しておける人を選別している。ふるいにかけていたのはそこだった。

7つの試練は、その選別を成立させるための装置にすぎない。難しい問題を出せば頭のいい人が集まるが、それだけなら他の手段でも代替できる。伏線を6日前に置いて回収するという手つきは、初期保有者に対して「この運営は自分たちの物語を管理できる」と示す実演でもあった。

3,333という数を動かさないと繰り返し宣言してきたことも、同じ姿勢の一部として読める。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定のNFTの購入を推奨するものではありません。NFTの取得には価格変動その他のリスクがあります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。記載の日時・条件は執筆時点(2026年8月20日)の公開情報にもとづきます。