MEXC資金凍結、CSO謝罪と全額解放の波紋

▽ 要約

経緯 … 2025-07の口座凍結から10-31の公式謝罪・解放へ
要求 … 渡航KYC要請に当人が拒否、#FreeTheWhiteWhale拡散
影響 … 出金件数が1,200〜1,450件に急増し信頼不安が拡大
対策 … CSOがfast‑track新設とリスク管理刷新を表明

MEXC資金凍結を巡りCSOが2025-10-31に謝罪と全額解放を表明したため、出金急増と透明性要求が広がり再発防止策の実効性が問われている。

MEXCの資金凍結とCSO謝罪

7月の凍結と10-31の謝罪が重なったため、透明性と権利保護を巡る論点が一気に噴出した。
ホワイトホエールは7月に約$3.1Mの口座凍結を受けたとし、規約違反や自動売買の疑いを否定した。MEXCは「同一秒内の複数注文」等を高リスク挙動と見なし、リスク管理に基づく措置だと説明。8月末に当人がSNSで公開抗議とハッシュタグ運動を開始し、支援者向けNFTや最大$2.0Mの懸賞金を伴うキャンペーンが拡大した。10-31、MEXCのCSOセシリア・シュエ氏が「We fucked up.」と謝罪し、資金は解放済みで引き出し可能と表明した。当人は返還資金の全額を支援者還元と慈善寄付に充てる意向を示している。

要点(時系列)

時系列を整理したため、凍結→公開抗議→仲裁提案報道→謝罪・解放の流れと各当事者の主張の差異が明確になる。
7月:凍結発生。
8月下旬:初の公開抗議(X)。マレーシアでの対面KYC要請を拒否、#FreeTheWhiteWhale を展開。9月〜10月:他ユーザーの同様の告発が相次ぎ、出金行動が強まる。
10-31:CSOがXで全面的に非を認め、資金解放と体制改善を宣言。当人は謝意とともに「勝利はしたが戦いは続く」と述べ、透明性向上を訴えた。

背景

CEXのリスク管理とKYC運用が拡張する一方で、規約明記の範囲外対応が信頼を損なったため、制度的課題が露呈した。
MEXCは「市場操作・不正送金の兆候検知時は凍結・審査」とする一方、重度案件では最長365日の審査を告知してきた。もっとも、今回の対面KYC要求は当人の主張によれば規約外であり、ルールと運用の乖離が批判を招いた。急拡大した取引高に対し、リスク・オペレーション・広報の整備が追いつかなかったというCSOの自己分析は、ガバナンスの未整備を示す。

市場への影響

撤退行動が加速したため、7月以降のBTC引出件数が平常の数十件から1,200超へ急増し、10-31も高水準が続いた。
オンチェーン/所内データの報道集計では、7月中旬に日次BTC出金件数が約40件から1,237件へ跳ね上がり、10-31時点でも1,200〜1,450件が観測されたとの指摘がある。SNSでも「365日以上の放置」「出金遅延」などの投稿が続き、信頼低下のサインが積み上がった。他方、MEXCは準備金・リスク管理の強化を強調しており、数値の継続開示が今後の鍵となる。

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論点とリスク

高速注文の規約解釈とボット疑義、365日審査の妥当性、アカウント解放の基準の不透明さが残るため、再発懸念は消えない。
主な論点は①「同一秒内の複数注文=自動売買」認定の可否、②対面KYC要求の規約適合性、③長期凍結と説明責任、④著名ユーザーと一般ユーザーの差別的取扱い疑念、⑤取締役会・実オーナー構造の透明性。賛成側は不正対策の必要性を、批判側は恣意的凍結リスクとユーザー保護欠如を指摘する。

今後の注目点

fast‑track新設と四半期リスク報告の実効性が検証されるため、11月以降の解決スピードと公開指標に注目したい。
CSOは「資金アクセスに支障のある案件を迅速に扱う専用窓口」を11月上旬に設置予定とし、内部フローも刷新すると表明した。加えて、リスク管理レポートの定期公開、法執行要請件数の開示、凍結・解除基準の明文化が予告されている。短期的には未解決案件の処理件数と平均処理日数、長期的には出金件数の平常化と苦情件数の推移が評価指標となる。

▽ FAQ

Q. 凍結額と当事者は?
A. 当事者は「The White Whale」で、凍結額は約$3.1M(数億円)。凍結は2025-07に発生し、10-31に解放が確認された。

Q. 渡航KYC要求は規約にあった?
A. 本人はオンラインKYC済で、規約にない対面確認(マレーシア渡航)を要求されたと主張。当該要請が批判の焦点となった。

Q. 出金動向に変化は?
A. 報道ではBTC日次出金が7月中旬に約40件→1,237件、10-31も1,200〜1,450件と急増。信頼不安が可視化された。

Q. MEXCの再発防止は?
A. CSOがfast‑track窓口新設、リスク管理・CSの刷新、四半期リスク報告の公開強化など透明性向上策を掲げている。

Q. 365日審査の扱いは?
A. 重度案件で最長365日の審査を告知。誤検知時は解除・説明とされるが、基準の明確化と運用の一貫性が課題。

■ ニュース解説

謝罪と資金解放で表面上の対立は収束した一方で、凍結プロセスと説明責任の不透明さが残るため、ユーザー保護設計の再構築が必要だ。
投資家の視点:取引所リスクは分散即時出金テストで可視化し、①規約の凍結条項と審査最長期間、②KYC/EDDの要件、③苦情・エスカレーション経路、④準備金・流出入指標の定点観測を運用に組み込む。

※本稿は一般的情報であり投資助言ではありません。

(参考:X(@cecilia_hsueh),X(@TheWhiteWhaleV2,MEXC Announcements