MakerDAOの大胆なブランド刷新と新たな挑戦:USDSとSKYの導入とその背後に潜む意図

要約
DeFiの老舗プロジェクトであるMakerDAOは、長期にわたる準備期間を経て、Endgame計画に基づいた新たな段階に進むことを決定しました。2024年8月27日、MakerDAOはSky Protocolへとブランドを変更し、新しいステーブルコインUSDSとガバナンストークンSKYを発表しました。このアップグレードには期待とともに、規制対応や分散化の方向性についての議論を巻き起こしています。

1. Sky Protocolへのブランド変更と新トークンの導入

MakerDAOは、新しいユーザー体験を提供するために、ブランド名をSky Protocolに変更しました。2024年9月18日には、新たなステーブルコインUSDSとガバナンストークンSKYが導入される予定です。既存のDAIとMKRトークンも引き続き利用可能であり、ユーザーは自分の意志で新トークンに変換することができます。

USDSへの交換は1:1の比率で行われ、MKRトークンは24,000:1の比率でSKYトークンに交換可能です。また、SKYトークンの報酬は、USDS保有者に対して年間6億枚のペースで配布される予定です。これに加えて、早期の参加者には二重の報酬が与えられる「早鳥」キャンペーンも実施されます。

新たなDeFiアプリとWebサイトSky.moneyも発表され、Skyのエコシステム内での主要な機能を提供することになります。これにより、主要なレイヤー2(L2)ネットワークへのトークンの移行が可能となるSkylinkという多チェーンソリューションも提供されます。

2. 冷凍機能の導入とコミュニティの反応

USDSの導入に際して、冷凍機能の追加が検討されています。この機能は、既存の中央集権的なステーブルコインであるUSDTやUSDCのものに類似しています。この変更に対して、一部のコミュニティメンバーは、分散化というDeFiの基本的な原則に反していると懸念を表明しています。

さらに、Skyの新しいWebサイトでは、特定の地域からのアクセスをブロックする措置が取られる予定であり、VPNの使用も禁止される可能性があります。これにより、従来のDAIの検閲耐性が弱まる可能性が指摘されています。

これらの変更について、MakerDAOの共同創設者であるルーン・クリステンセンは、USDSは当初冷凍機能を持たないと説明し、将来的にガバナンスの決定に基づいて導入される可能性があると述べています。なお、DAIとUSDCは共存し続けるため、ユーザーは選択肢を持つことになります。

3. 成長の停滞と新しい戦略の必要性

DAIの成長は2022年2月以降、停滞しており、その時価総額はピークから45.5%以上減少しています。一方で、中心的なステーブルコインであるUSDTとUSDCは急成長を続けており、その市場シェアは89.7%を超えています。これに対し、DAIや他の分散型ステーブルコインは成長が制限されています。これは主に、規制対応の不足が主流の金融機関の使用を妨げているためです。

DAIの市場シェアの低迷を背景に、MakerDAOはUSDSを導入し、今後中央集権的なステーブルコインと競争する計画です。特に、最近の金利引き下げが収益に悪影響を与える可能性があるため、この新しい戦略は必要不可欠と考えられます。

4. 今後の展望

Sky Protocolへの転換とUSDSの導入は、DeFi市場におけるMakerDAOの新たな挑戦です。規制の厳格化や市場の変化に対応しながらも、同プロジェクトが掲げる「分散化」の理念をどのように維持していくかが問われています。Sky Protocolは、これまでの経験を基に、より広範なユーザー層にリーチし、革新的な金融商品を提供することを目指しています。

これからのMakerDAO、もといSky Protocolの動向には、引き続き注目が集まるでしょう。

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