X APIのInfoFi禁止、暗号資産PRの転機<

▽ 要約

概要:Xが投稿報酬型アプリのAPI接続を停止。
背景:AI生成スパムと無差別リプライが問題化。
市場:KAITOなど関連トークンが短時間で2桁下落。
対応:KaitoはYaps終了、Cookie DAOはSnaps停止。

Xが「投稿すれば稼げる」外部サービスを遮断し、暗号資産プロジェクトの宣伝手法とトークン設計に再考を迫っている。

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X(旧Twitter)が2026-01-15に投稿報酬型アプリへのAPI提供停止を表明し、InfoFiを使った“投稿マイニング”が急速に成立しづらくなりました。本稿は、停止理由と市場反応、プロジェクト側の次の打ち手を解説します。

InfoFi禁止が示す「投稿報酬」の限界

Xが切り離したのはアプリ個別ではなく、報酬で会話を量産する仕組みそのものだ。

投稿に金銭的インセンティブを直結させるモデルは、短期的に投稿量を押し上げます。
一方で、量の増加が品質の向上を保証しないため、タイムラインの可読性と信頼性を毀損しやすい点が弱点です。

報酬設計が「露出の最大化」を目的化すると、テンプレ投稿や無差別リプライが増えやすくなります。
特に暗号資産領域では、トークン配布やポイント競争が可視化されるほど、行動が同質化しやすい構造があります。

今回のAPI遮断は、Xの側が“投稿量の外部買い付け”を許容しないと明言したに等しい動きです。
X依存で成立していた成長ループは、継続条件が変わったことになります。

背景:XがAPI提供停止に踏み切った理由

XはAI生成の低品質投稿と「返信スパム」が会話体験を損ねていると説明した。

プロダクト責任者ニキータ・ビアー氏は、投稿報酬型アプリが「AI slop」や返信スパムを増幅したと述べました。
ボットが稼げないと認識すれば体験が改善する、というロジックで即時遮断を選んでいます。

今回のポイントは、APIの利用可否を“開発者ポリシー”で統制した点です。
単なる課金強化ではなく、行動誘導の設計そのものを禁止対象にしたため、回避策が限られます。

暗号資産界隈で問題になりやすいのは、短文の定型投稿や同一文面の大量返信です。
アルゴリズムの穴を突く行為が増えるほど、情報流通の質が落ち、結果的に投資判断のノイズが増えます。

市場への影響:関連トークンは短期ショック

API停止の発表直後、KaitoやCookie DAOなどの関連トークンは急落した。

トークン価格と流動性の変化

価格は将来キャッシュフローだけでなく“配布と拡散の仕組み”にも織り込まれる。

報道ベースでは、KAITOは発表前後でおよそ$0.70近辺から$0.56〜$0.58へ下落し、短時間で約-15%〜-20%の値動きが観測されました。
同時にCOOKIEやLOUDも2桁の下落が伝えられており、セクター全体がリスクオフに傾いた形です。

トークン価格の反応は、X上の“関与指標”が収益化・配布設計に直結していたことを示します。
外部プラットフォームの規約変更は、オンチェーンで完結しない収益モデルに直接のダメージとなります。

NFTなど周辺資産にも波及が見られ、Kaito関連NFTのフロアが50%超下落したとの報道もあります。
プロダクトの継続性が不透明になると、周辺資産の流動性が先に縮む点は注意が必要です。

プロジェクト運営への影響:マーケ手法は「量」から「質」へ

短期的な“見せかけの盛り上がり”は作りにくくなり、発信の品質が相対的に重要になる。

従来は、ポイントやトークン報酬を介して大量投稿を誘発し、トレンドを演出する手法が使われてきました。
しかしAPI遮断で計測・検証・配布の前提が崩れるため、同じ設計をX上で再現するのは困難です。

Kaitoは2026-01-16の発信で、Yapsとインセンティブ型リーダーボードを段階的に終了し「Kaito Studio」へ移行するとしました。
Cookie DAOもSnapsの停止を公表しており、両社とも“報酬で投稿を買う”領域からの撤退を急いでいます。

関連:InfoFi激変とBTC10万攻防

今後は、①公式ブログやレポートなど一次情報の発信、②コミュニティの自発的拡散、③クリエイターとの選別型提携が中心になりやすいでしょう。
特に「誰でも参加できる報酬競争」から「選抜・審査・条件付き」への移行は、短期の熱量より長期のブランド毀損回避を優先する動きです。

論点とリスク:プラットフォーム依存と“指標”の信頼性

今回の事例は、中央集権SNSに依存したトークン設計が一段と評価されにくくなる可能性を示す。

最大の論点は、プロジェクトの価値が“外部の規約”で急変する点です。
APIが遮断されると、投稿計測や本人性、キャンペーン運用が一気に止まり、ロードマップ全体を組み替える必要が生じます。

次に、マーケ指標の信頼性です。
報酬で作られたエンゲージメントは、実需と混ざりやすく、投資家にとっては「数字の意味」を見誤りやすい領域でした。

さらに、トークン配布を伴うキャンペーンは、国や状況によっては規制上の論点になり得ます。
現時点で一律の結論は出せないものの、プロモーションと金融商品の境界は継続的に監視対象になりやすい点は押さえる必要があります。

今後の注目点:代替SNSとクロスプラットフォーム化

移行先はThreadsやBlueskyなどが挙がる一方で、同じ問題が再発しない設計が求められる。

X側は、影響を受ける開発者に対し他SNSへの移行支援に言及しています。
ただし、どのプラットフォームでもスパム対策は強化方向にあり、無秩序な投稿報酬モデルが長期的に許容される保証はありません。

プロジェクト側の現実的な方向性は、①複数SNSへの分散、②オンチェーンや自社プロダクト内での貢献計測、③有料会員・SaaS型への収益転換です。
“投稿で稼ぐ”から“分析・制作の対価を得る”へ寄せるほど、規約変更の耐性は上がります。

投資家は、トークン需要が「一時的な拡散施策」に依存していないかを点検する局面です。
短期の価格変動より、利用者が何に支払うのか、誰が継続収益を負担するのかを確認したいところです。

▽ FAQ

Q. XのAPI提供停止はいつ発表された?
A. 2026-01-15にXのNikita Bier氏が開発者ポリシー改訂を告げ、投稿報酬型アプリをAPI遮断すると表明しました。

Q. KAITOの価格はどの程度動いた?
A. 2026-01-15の発表後、KAITOは$0.70前後→$0.56〜$0.58へ急落し、短時間で約-15%〜-20%が報じられました。

Q. KaitoとCookie DAOは何を止めた?
A. KaitoはYapsとインセンティブ型リーダーボードを終了し、Cookie DAOはSnapsを2026-01-16までに停止しました。

Q. 代替プラットフォームは何が候補?
A. 移行先としてThreadsやBlueskyが挙がり、X側もAPI遮断対象の開発者へ移行支援に言及(2026-01-15)しました。

■ ニュース解説

Xは会話品質の悪化を理由に外部の投稿報酬モデルを遮断したので、暗号資産プロジェクトの拡散設計が再検証局面に入った。
一方で短期の値動きは大きいものの、各社は分析・選別型マーケなど別収益へ転換を急いでいる。

投資家の視点:トークン価値の源泉が「X上の指標」に偏っていないか、2026-01-15以降の運用方針と収益モデルの変化を確認したい。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:X|Nikita Bier