FBIの「フィッシング法執行」で仮想通貨市場に衝撃:Gotbitを含む複数のマーケットメーカーが告発され、2,500万ドル以上の暗号資産が押収

要約
2024年10月、アメリカの規制機関であるSEC、FBI、司法省(DOJ)が共同で、仮想通貨市場における大規模な詐欺および市場操作行為に関与したとして、Gotbit Consultingを含む複数のマーケットメーカーおよび関連個人18名を告発しました。この取り組みは初のケースであり、FBIが「フィッシング法執行」を用いてGotbitなどを捕捉し、2,500万ドル以上の暗号資産が押収されました。本記事では、この事件の詳細とその影響について詳しく解説します。

1. マーケットメーカーの役割と影響力

マーケットメーカーは、仮想通貨市場における重要な流動性提供者として認識されており、市場価格に大きな影響力を持っています。特にアルトコインの取引においては、マーケットメーカーが価格の安定や変動に直接的な影響を与える存在です。今回の事件では、Gotbitをはじめとする複数のマーケットメーカーが市場操作と詐欺の疑いで告発されました。

2. 告発の詳細と関与企業

2024年10月9日、SEC、FBI、DOJは、Gotbit Consulting、ZM Quant Investment、CLS Global、Saitamaなどを含む複数の企業および個人18名に対し、仮想通貨市場における大規模な詐欺および市場操作行為で告発状を提出しました。法廷文書によれば、これらの企業は秘密裏に仮想通貨プロジェクトに対し、ウォッシュトレード(洗售取引)サービスを提供し、取引量を水増しして投資家を引き付け、虚偽の高値でトークンを販売していたとされています。

3. Gotbitの関与と創業者の発言

Gotbitは、MEME分野で活発に活動していたマーケットメーカーであり、BONK、ANALOS、DUKO、PENG、SOLAMAなどのプロジェクトに参加していました。しかし、複数の協力プロジェクトがラグプル(詐欺的なプロジェクト終了)となったため、Gotbitの信頼性が疑問視されました。Gotbitの創業者、Alexey AndryuninはCoindeskのインタビューで、同社が市場操作を生計手段としていることを認め、取引量を人為的に増やすためのコード開発について述べています。現在、Andryuninは電信詐欺、共謀市場操作、洗錬行為で起訴されています。

4. 他の企業の関与と手法

ZM Quant Investmentは、「取引量を創出する」取引ロボットを提供し、SaitamaやNexFundAIなどに市場操作サービスを提供していました。法廷文書によれば、ZM QuantはTelegramやビデオ会議を通じて顧客と非法サービスについて議論し、取引量を増やすための具体的な手法を提供していました。

CLS Globalも同様に、電信詐欺および市場操作の共謀で告発されており、顧客の仮想通貨を日々数百万ドル規模で虚偽取引し、取引所の上場費用を回避しつつ価格を引き上げていました。

Saitamaは、最高時点で75億ドルの時価総額に達していたとされ、リーダーシップは虚偽の声明を公開しながら秘密裏にトークンを販売し、数千万ドルの利益を得ていました。Saitamaの市場操作は2021年に始まり、複数のウォレットを操作して購入と新規保有者の幻覚を作り出し、投資家を刺激する手法が取られていました。

5. 押収された暗号資産と停止された取引ロボット

今回の捜査により、2,500万ドル以上の暗号資産が押収されました。また、約60種類の異なる仮想通貨に対して数百万ドル規模のウォッシュトレードを行っていた複数の取引ロボットも停止されました。これにより、市場における不正な取引活動が一時的に抑制される見込みです。

6. FBIの「フィッシング法執行」とその課題

この捜査は、FBIが「フィッシング法執行」を用いて行った初のケースであり、FBIはNexFundAIという名称のトークンと仮想通貨企業をイーサリアム上に作成し、マーケットメーカーとの協力を誘導しました。しかし、NexFundAIの発行に際して、FBIはOpenZeppelinのライブラリを許可なしに使用し、MITライセンスに違反したとして批判を受けています。

7. 今後の規制動向と業界への影響

米国の代理検察官Joshua Levyは、本件が仮想通貨業界における多数の詐欺師を特定する初の事例であると述べています。彼は、金融市場で禁止されているウォッシュトレードが仮想通貨市場でも行われており、今後も積極的に詐欺行為を追及していくと強調しました。CryptoQuantの創設者Ki Young Juも、「仮想通貨は間もなく規制される。規制はその賭博的なイメージを払拭する助けとなる」とコメントしています。

8. 仮想通貨市場への信頼回復の必要性

今回の事件は、仮想通貨市場における不正行為がいかに広範で深刻であるかを浮き彫りにしました。市場の信頼性を回復するためには、透明性の向上と規制の強化が不可欠です。規制当局の積極的な取り組みが、仮想通貨市場の健全な発展に寄与することが期待されます。

関連記事

ページ上部へ戻る