8月15日:イーサリアム1万ドル到達は現実か

▽ 要約

バリュエーション:ETH/BTC比とNVTで6000–12000ドル示唆
ETFフロー:現物ETFと機関の保有拡大で需給逼迫
チェーン活性:DAA増で8000ドル水準の可能性
テクニカル:ASR上抜けなら5600ドル試す局面

投資家の関心は「イーサリアム1万ドル到達は現実か」に尽きるため、本稿は相対評価・需給・ネットワーク・NVT・収益・テクニカルの6手法で妥当性を検証し、足元の市況と機関見解も整理することで、価格目線の拠り所を提供する。

相対評価と需給が描く“6000–8000ドル”の土台

現在のETH/BTC回帰余地とETF・機関の現物吸収が並行するため、年内6000–8000ドルの現実味が増し、1万ドルも視野に入る。
ETH/BTC比率は長期的に安定的に推移してきたが、足元0.0372は過去5年の中下域にある。過去5年平均0.0518への回帰を前提にBTCが12万ドルなら、対応するETHは約6,214ドル、前回サイクルの0.06–0.08帯なら7,200–9,600ドルの試算となる。相対価値の観点では依然「割安」の含意が残る。

一方で現物ETFと機関保有は需給面の継続的な追い風である。ETH現物ETFの純資産は約257.12億ドル、約600万ETHで流通の4.96%。70の実体保有が約349万ETH(2.89%)を抱え、両者合計で総供給の7.85%を吸収する。ステーキング約3,617万ETHを差し引けば自由流通は約7,510万ETHに縮小しており、10%・15%・20%への拡大シナリオでは自由流通が約7,252万→さらに縮小とともに、価格は機械的に約4,647→5,070→6,000ドル方向へ押し上がる目安となる。需給は瞬間風速ではなく“中長期の底上げ”として効きやすい。

ETH/BTC比率の回帰余地

現比率0.0372は過去平均0.0518を下回るため、BTC12万ドル前提なら6,214〜9,600ドルの回帰シナリオが立つ。
比率回帰は“割高化”ではなく、ネットワーク利用や資本ストックの差分解消を通じた正常化として説明できる。2021年サイクルの0.06–0.08帯は極端値ではなく、DAO・L2・DeFiの構造的普及を背景に再現可能性はある。

ETFと機関保有が自由流通を圧縮

ETFと実体保有が総供給の7.85%に達したため、自由流通の目減りが価格を機械的に押し上げる。
ETF純資産は約257.12億ドル、約600万ETH(4.96%)、実体側は約349万ETH(2.89%)。ステーキング3,617万ETHを控除すると自由流通は約7,510万ETH。吸収率が10%→15%→20%と段階的に高まれば、同割合で価格中枢が切り上がる。需給主導の上昇はディップを作りにくく、時間分散の積み上げが機能しやすい。

関連:サムソン・モウ「ETH短期ポンプ→BTC回帰」検証

ネットワーク指標が示す“内生的上値”

DAAの増勢と手数料・NVTの改善が続くため、利用拡大だけでも8千〜1.2万ドル帯を説明し得る。
メトカーフの法則を適用すると、ネットワーク価値は日次アクティブアドレス(DAA)の2乗に比例する。2025年8月13日のDAAは約971,486、ETH価格は約4,500ドル、時価総額は約5,431億ドル、流通は約1.207億ETH。この時の係数kは概算で約0.576(USD/アドレス²)。DAA100万で約4,768ドル、110万で約5,769ドル、130万(過去高水準の9割近辺)で約8,058ドルが示唆される。

NVT(時価総額÷日次送金額)は“暗号版P/E”と捉えられる。現在は約37と歴史レンジ60–110の下側に位置する。6か月はNVT70/80/90と日次7/9/12Bドルで約4,059/5,965/8,947ドル、12か月はNVT75/90/100と8/10/14Bドルで約4,971/7,456/11,598ドルがレンジ目安となる。単位はいずれも“十億(B)ドル”である点に留意したい。
さらに、手数料・MEV等の“プロトコル収益”で評価するモデルでは、2025年に約6,000ドル、2030年に約11,800ドルとの外部推計がある。これはステーキング収益やアプリ層拡大を通じたキャッシュフロー仮定に依拠する。

メトカーフの法則(DAA×DAA)

DAA97.1万と時価総額からk≈0.576が得られるため、DAA130万なら理論価格は約8,058ドルに達する。
この手法は外部資金流入に依存せず、利用増加の複利で価値が積み上がる点が強みで、ETF需給と“共振”すれば価格の逓増を促す。

NVTモデル(6–12か月)

歴史的NVT60–110帯と日次送金7–14Bドルを仮定するため、6か月で4,059–8,947ドル、12か月で4,971–11,598ドルが射程に入る。
ボラティリティは大きいが、NVTが過熱帯へ張り付く局面では1万ドル接近も数値上は不自然ではない。

プロトコル収益モデルと外部推計

手数料・MEV・ステーキング等の“収益”拡大を前提とするため、2025年約6,000ドル、2030年約11,800ドルの推計が提示されている。
現物ETF導入や企業財務の参入が資本コストを下げうる点も長期評価の追い風となる。

テクニカルとセンチメント、8月15日の市況

ASR通道の上抜けが続く一方で2021年高値帯の供給が重いため、まずは5,600ドル試しと押し目再確認の両にらみとなる。
短期は4時間足で高安切り上げを維持し、日足は平均圧力帯の上抜け兆候。上抜けが確定すれば日足の“超買い線”付近である約5,600ドルが最初のターゲットとなる。一方で2021年高値近辺の供給は依然重く、ブレイク失敗時はオレンジ帯上限での再調整も想定される。

マクロ・フロー面では、8月11日にETH現物ETFが単日+10.19億ドルの純流入を記録し、資金面の追い風が確認できた。さらに渣打銀行は年末目標を7,500ドルへ上方修正し、2026年1.2万、2027年1.8万、2028–29年2.5万ドルの長期パスを提示している。ビットコインは8月14日に12.4万ドルで最高値を更新し、暗号資産全体のリスク選好も維持されている。

▽ FAQ

Q. ETH/BTC比はどの水準が妥当?
A. 5年平均0.0518、直近0.0372。BTC12万ドルなら6,214〜9,600ドルが相対評価の目安(2025-08-14)。

Q. ETFと機関保有の規模は?
A. ETF約600万ETH(4.96%)、実体約349万ETH(2.89%)で合計7.85%。自由流通は約7,510万ETHに縮小。

Q. メトカーフ則での強気シナリオは?
A. 2025-08-13のDAA97.1万から、DAA130万で約8,058ドル。需要主導で1万ドルも視野。

Q. NVTでの12か月レンジは?
A. NVT75/90/100×日次8/10/14Bドルで、約4,971/7,456/11,598ドル。1万ドル接近も数値整合。

Q. 機関見解の最新レンジは?
A. 渣打銀行は年末7,500ドル、2026年1.2万、2027年1.8万、2028–29年2.5万ドルを提示。

■ ニュース解説

ETHは相対評価の割安とETF・機関の吸収で需給が締まり、DAA・NVT・手数料などネットワーク指標も改善しているため、6000–8000ドルの基礎体力が整いつつある。
ETH/BTC比0.0372が過去平均を下回り、ETF純資産257億ドルで約600万ETH保有、DAA97.1万・NVT37の下方水準で、BTC最高値とETF定着・ステーキングで自由流通が縮むため、テクニカルと需給が重なればまず5,600ドル、次いで1万ドル接近が意識される。
投資家の視点:時間分散、想定ボラ対応のポジション設計、イベント前後の流動性偏り(ETFフロー・マクロ指標)に注意し、ネットワーク指標(DAA・手数料・燃焼量)を定点観測する。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:Biteye,PA一线