【要約】
・米国の一季度GDPと非農雇用統計が相次いで公表予定で、市場は変動に備える局面
・多くの機関投資家がBTCに強気予測を提示、スタンダード・チャータードは今期12万ドルに到達する可能性を示唆
・4月のアルトコイン市場では7割以上が上昇、小型時価総額通貨のパフォーマンスが目立つ
・PayFiサービスのHuma Financeが短期決済融資で注目され、Solana財団から支援を受ける
・ALPACAは下架前の乱高下で24時間精算が5000万ドル超
・トランプ政権再任100日目を迎え、暗号資産政策では比特コイン備蓄や関税政策が市場に影響
米GDPと非農雇用統計に注目、BTC12万ドル予測も浮上
米国は2025年第一四半期GDPの公表を控え、さらに5月2日には非農雇用統計が予定されています。特にGDP指標は、トランプ政権の再任直後における経済状況を測る意味で重要視され、実際の数字によって金融政策の変更や市場のセンチメントに影響が及ぶ可能性があります。また非農雇用統計は雇用の伸びや失業率を示し、米国経済の先行きを判断するうえで欠かせない要素です。
こうした景気指標が不安定な中でも、ビットコイン(BTC)は9万4,000~9万5,000ドル付近を推移しており、機関投資家からは「第二四半期中に12万ドル」という強気の予測も見られます。スタンダード・チャータードのデジタル資産担当責任者は「BTCが今期12万ドルまで上昇し得る」とする一方、MicroStrategyによる14.2億ドル相当のBTC追加購入など、上場企業の保有拡大も楽観視の材料になっています。
アルトコイン市場:4月の回復と小型銘柄の急伸
4月に入り、山寨コイン(アルトコイン)の市場では「約7割の通貨が上昇した」という分析結果があります。上昇幅は平均13.11%と緩やかながらも、多くの銘柄がプラスに転じました。一方で、時価総額の小さいプロジェクトほど急騰するケースが目立ち、一部では100%以上の伸びも確認されています。
特にDeFi領域の一部銘柄やAI、Memeコイン、DEX関連などがランキング上位に入ったことが特徴です。反対に、2021年前後の“古い”銘柄は相対的に伸び悩む傾向があります。また、SuiやBase、Solanaなど特定のエコシステムで関連トークンが顕著に上昇するなど、エコシステムごとのバラつきも見られました。
PayFiへの関心拡大:Huma Financeの取り組み
最近注目されるPayFi(支払・決済ファイナンス)領域では、Huma Financeが「実世界の短期資金需要をブロックチェーンで効率化」する取り組みを進めています。
- 短期決済の垫資:たとえばクロスボーダー送金を行う決済企業が、わずか数日から一週間程度の資金を必要とするケースに対応
- Solana財団の支援:高頻度の取引処理を可能にするSolana上でHuma Financeがプラットフォームを整備
- 伝統金融との架け橋:Fintech企業への融資をDeFiの資金と結び付け、ユーザにも適正な利回りを提供
Huma Financeは自社の融資リスクを最小限に抑える設計を組み込み、合規(コンプライアンス)重視で事業を拡大中です。こうしたPayFi事例は、いわゆる「ガチホ型」の暗号資産活用とは異なる新たな潮流を示しています。
ALPACA精算急増と市場の反応
取引所でのレバレッジ取引が活発化している中、ALPACAは5月2日に主要取引所からの下架が予定される前後で激しい価格変動を見せています。24時間精算総額は5,000万ドルを超え、これは同期間内のBTCの精算額を上回る水準でした。特に空売りポジションが大きく清算され、多数のトレーダーが大きな損失を被ったようです。
市場では「下架直前の駆け込み売買」や「短期投機筋の仕掛け」が原因と指摘されており、同時にNFTやMeme関連銘柄の乱高下も一部で見受けられます。投資家の間では「流動性が極端に低いコインへの高レバレッジ取引」は改めてリスクが大きいとの声が強まっています。
トランプ政権再任100日と暗号資産政策の進捗
トランプ大統領が再任から100日を迎え、これまでに新たな暗号資産政策がいくつか打ち出されました。たとえば米国政府による「ビットコイン戦略備蓄の創設」や、Ross Ulbricht(シルクロード事件)への恩赦など、注目の動きもありました。
しかし、一部に期待された「XRPやSOLを含む大規模な米国備蓄」などは明確な進展が見られず、ホワイトハウス内の方針転換も頻発。関税政策の変動、FRBへの介入、通商問題などマクロ要因による混乱も相まって、市場は方向感を失いつつあります。ビットコイン価格も一時10万ドル近辺を付けたあと大きく下落し、足下では9万ドル台で推移。依然として政権発のアナウンス次第でボラティリティが高まる状況です。
ニュースの解説
今回注目される米GDPや非農雇用統計は、暗号資産市場にとって“金融政策転換の目安”になり得る重要指標です。特に米国の景気低迷が鮮明になれば、早期利下げへの思惑が再燃し、ビットコインを中心としたリスク資産への資金流入が加速する可能性があります。
一方で、アルトコイン市場では4月に一定の回復傾向が見られましたが、大型資金がすぐに入るわけではなく、小型銘柄の急騰・急落も顕著です。高ボラティリティを利用したレバレッジ取引の増加は、ALPACAの精算事例に象徴されるようにリスク管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。
また、PayFiという新領域が台頭し、Huma Financeなど実需型のプロジェクトが台本格化しています。これは「単なるトークン売買にとどまらず、実世界の金融ソリューションを提供する」という新たな局面を示唆するものです。
さらにトランプ政権再任100日での米国発信は、政策の突然の変更リスクや保護主義的な関税措置などを通じ、暗号資産相場を左右し続けています。今後も政治要因と経済指標、そしてDeFiやPayFiの進展が複合的に絡み合い、市場の先行きを決定していくと考えられます。