▽ 要約
税制:2026年度、暗号資産の分離課税を検討
市況:BTCは$87,000割れ、恐怖指数16
フロー:現物ETFはBTC-$161M、ETH-$96.6M
構造:RWA$18.9B、欧州EURCが拡大
2025-12-20は、税制・マクロ・ETFフローが同時に動き、BTCは$87,000割れまで調整した。暗号資産市場の材料を、政策とオンチェーンの両面から解説します。

税制や中央銀行が動く日に、暗号資産は何を材料にどこを見ればよいのか。2025-12-20は暗号資産分離課税の検討方針と日銀の0.75%利上げが重なり、ETFフローやRWA/ステーブルコインの変化まで一度に確認する価値がある。
市況総括
日本の金融環境とデリバティブ要因が重なり、BTCはレンジ下限を意識する局面に入った。
2025-12-20の現物は、BTCがOKXで$87,000を割れ、$86,960.30まで下落した。直近は$81,000〜$93,000のレンジが意識され、下方向では$81,300近辺が重要な分岐点とされる。
マクロでは、日本銀行が政策金利を0.75%に引き上げた点が重しになり得る。利上げは1995年以来の高水準との見方もあり、グローバル流動性の潮目を意識させやすい。
同時期は、四半期のデリバティブ集中満期で約$7.1T相当のリスクが指摘され、期日要因がボラティリティを押し上げやすい。オプションは2025-12-19と2025-12-26に満期が集中し、名目で約$23.8B、2025-12-26の最大痛点は$100,000とされる。
ETHは反発が鈍く、$2,800の攻防が焦点になっている。$2,800を割れると$2,500、さらに$2,100方向が視野に入る一方、疑似Bitmine関連とされるアドレスが少なくとも$229M相当を買い増したとの指摘もある。またGarrett Jinは2025-12-19にETH/Nasdaq100比率が0.11付近で底打ちした可能性に触れ、0.16〜0.22への回帰を想定した。
センチメントは「極度の恐怖」に寄り、恐怖・強欲指数は16まで低下した。24時間の清算は$510M規模とされ、AIやNFTなど高ベータ領域の下げが目立った。
ETFフローは弱含みで、2025-12-18時点の現物ETFはBTCが-$161M、ETHが-$96.6166M(6日連続の純流出)と報告されている。対照的に、Solana ETFは+$13.16M、XRP ETFは+$30.41Mの純流入が示された。
規制・政策アップデート
税制と市場構造法案の議論が進み、コンプライアンスを前提にした資金の入り方が変わりつつある。
日本では、与党が2026年度税制改正大綱で、暗号資産取引を一定条件のもと分離課税の対象とし、損失を翌年以降3年間繰り越せる制度を新設する方針を示した。制度化には法整備や運用設計が必要で、投資家側は「適用開始時期」と「対象範囲(商品・取引類型)」の確定を待つことになる。
米国では、暗号資産の規制責任を明確化する市場構造法案《CLARITY法案》が2026-01に上院で審議に進む見通しとされる。SECとCFTCの役割分担が整理されれば、事業者の規制不確実性は低下する一方、分類ルールの厳格化が一部トークンの扱いを変える可能性もある。
ステーブルコインは、地域ごとの規制要件が価格や流動性の「地理」を作り始めた。EUのMiCAは100%準備金や月次監査などの要件で非適合の供給を押し出し、欧州ではUSDTの退場が指摘される中、CircleのEURCが台頭した。
企業・資金調達・プロジェクト動向
プロジェクト側は資本政策と事業継続性の両面で選別が進み、資金は後期・実需寄りに傾いている。
係争面では、Terraform Labsの破産管理人がJump Tradingに対し$4Bの損害賠償を請求した。訴訟は長期化しやすく、関連トークンやDeFiの信用コストに影響し得る。
事業再編では、SolanaエコシステムのDEX「Lifinity」が段階的な閉鎖を決め、財庫資産約$43.40Mをトークン保有者へ配分する方針とされた。インフラ側では、BaseがブロックGas上限を約25%引き上げた。
商品化の動きとしては、BitwiseがSUIトークンを追跡するETFの登録声明をSECへ提出した。出口面では、2025年の振り返りとしてETFやIPO(Circleなど)が資金流入ルートとして機能し始めた点も指摘されている。
投融資の地合いは「金額は増え、件数は減る」方向で、Panteraのパートナーは2025年の総調達額が$34Bと過去最高になる一方、取引件数は2021〜2022年比で約半減したと整理した。テーマは長期のトークン化、ZK-TLS、予測市場(Polymarketのような領域)などに寄っている。
セクター別トレンドとリスク
RWAと株式トークン化の拡大は機会を作る一方、流動性の移動と市場操作リスクも可視化している。
RWA/ステーブルコイン統計では、2025-12-12〜2025-12-19の週次でRWAのオンチェーン総時価総額が$18.9B(+3.54%)、保有者が約577,000(+6.87%)とされた。ステーブルコインは総時価総額が$300Bを突破した一方、月間送金量は-14.34%とされ、「保有者は増えるが回転は落ちる」局面が示唆される。
大手の動きはRWAを後押しし、JPMorganはEthereum上でトークン化MMF(マネーマーケットファンド)、VisaはSolanaベースのUSDC清算、Coinbaseは予測市場とトークン化株式を掲げた。新規では、United Stablesのドル建てステーブルコイン「U」がBNB Smart ChainとEthereumで展開し、DeFi統合を進めている。
米株のオンチェーン化については、暗号資産の資金が一部吸収される懸念がある一方、資産そのものがチェーン上に乗ることで、DEX・永続先物・予測市場などの組み合わせ可能なプロダクトが伸びる、という見方が示されている。
欧州では、ユーロ建てステーブルコインの総時価総額が$400Mを突破し年初来+170%超とされ、MiCA施行後18カ月で主要ユーロ建ての月間取引量が$197Mから$3.1Bへ増えた。EURCはシェア約70%とされるが、銀行系(例:ソシエテ・ジェネラルのEURCV)やデジタルユーロ(CBDC)が中長期の競合になり得る。
一方でアルトの短期熱狂も続き、低時価総額銘柄がニュースや上場を材料に急騰急落する例が目立つ。PIPPINは約$0.05から$0.5近辺まで急伸し供給の約80%が集中したとの指摘があるほか、FOLKSは約$2から$47近辺(約24倍)まで上げた後に80%超の反落が示された。BEATの時価総額は約$25Mから約$440Mへ、AIAは上場廃止を挟んで-90%後に+160%、RAVEは24時間で+410%といった極端例も挙げられた。
▽ FAQ
Q. 暗号資産の分離課税はいつ導入される?
A. 与党は2026年度税制改正大綱で暗号資産の分離課税を一定条件で検討し、損失3年繰越も新設する方針で、制度化は今後の法整備次第。
Q. 2025-12-20のBTC水準は?
A. 2025-12-20のOKXではBTCが$87,000を割り込み、$86,960.30(-1.13%)と日内安値を示した。
Q. 現物ETFの資金フローは?
A. 2025-12-18時点で現物BTC ETFは-$161M、ETH ETFは-$96.6166Mで6日連続流出、SOLは+$13.16M。
Q. EURCが伸びた要因は?
A. MiCAの100%準備金などで再編が進み、EURCは年初来+170%超・シェア約70%、総時価総額は$400M超とされる。
Q. RWAの規模感は?
A. 2025-12-12〜2025-12-19にRWAは$18.9B(+3.54%)、保有者は約577,000(+6.87%)まで拡大。
■ ニュース解説
税制の見直し議論が進むため、暗号資産は短期の値動きより「制度と流動性の設計」が価格形成に影響しやすくなる。日銀利上げやETFフローが重なる局面では、レンジ下抜けの連鎖に注意が要る一方で、RWAや株式トークン化は中期のユースケース拡大を示唆する。
投資家の視点:制度変更は確定日と適用範囲が最重要で、マクロと満期要因は短期変動を増幅するため、ポジションサイズ管理と流動性指標(ETF、清算、オンチェーン統計)の定点観測が有効。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:PANews)





