【6月20日】流動性バブル相場(放水牛)から価値重視相場(価値牛)へ―機関資金・RWAが開く暗号資産新時代

▽ 要約

マーケット転換:現物ETF流入と減半で「価値牛」定着
実需拡大:RWA・ICM・DeFi安定利回りが躍進
注目チェーン:SolanaとEigenCloudが開発者を吸引
セキュリティ警鐘:Nobitex攻撃などリスク顕在化
規制最前線:米・韓で手数料と安定コイン法案が進展

「なぜ上がらないのか?」が合言葉だった 2024 年を経て、暗号資産市場は 6 月 20 日、新たな「価値牛」ステージへ移行した。本稿では、個人投資家が今後 12 か月を生き抜くための結論と根拠を先出しし、読むメリットを具体的に提示する。

機関資金が牽引する「価値牛」相場

ETF 累計流入 1,274 億ドルと4度目の減半が流動性の土台を強化し、投機より価値重視の相場が定着した。現在ベライド IBIT と富達 FBTC が2強となり、日次 3.9 億ドルが安定的に吸収されている。

現物 ETF と減半が作る希少性

ETF は 24 時間取引できないが、機関のパイプラインとして現物を継続吸収。供給は 4 月の減半で日に 450 BTC に縮小し、需給ギャップが拡大。市場は「放水牛」期の量的緩和ではなく、リアルな買い手と数学的希少性で支えられる。

イノベーションの焦点:RWA と ICM が示す実需

トークン化国債 TVL は年初比 +75% の 70 億ドル超、PayPal・BlackRock も参入しオンチェーン利回りが国債を上回り始めた。

国債トークン化と安定利回り

Vaults.fyi の集計では USDC 貸付 30 日平均 4〜9%。3か月米国債 4.3% を上抜くケースが増え、金融フィンテックが「埋蔵コストゼロの預金収益化」を競う。

ICM 構想が拓く資本市場 24/7

Solana 財団 Lily Liu は ICM=Internet Capital Markets を「ビットコイン白書の願景」と表現。IPO を待たずにグローバル流動性を得る仕組みが進む。

エコシステム別注目チェーン:Solana と EigenCloud

開発者リテンションが課題となる中、トランザクション性能と新開発者体験を両立する2チェーンが躍進。

Solana の ICM と PayFi

Memecoin は「性能テスト」と語る Lily 氏。実験的トラフィックを吸収しつつ、Superteam などローカル DAO が開発者を底上げ。

EigenCloud が拓く可証明クラウド

EigenLayer は a16z 7,000 万ドルを調達し、EigenCompute・EigenDA・EigenVerify の三本柱で「可証明」クラウドを発表。AI・ゲームの計算をチェーン外に逃がしつつ結果を再ステーキングで保証する。

リスクと課題:セキュリティ事件と規制の動き

投資機会の裏面で攻撃ベクトルも多様化。個人は「二要素・コールド+分散保管」を常態化すべきだ。

Nobitex 攻撃と個人対策

Predatory Sparrow はイラン最大所を攻撃し、9,000 万ドル相当をバーンアドレスへ送付。6時間後にソースコード公開を示唆。ユーザーはクラウドバックアップ型ウォレットのリカバリー句保存を再点検したい。

各国規制強化の潮流

韓国金融委は Upbit など手数料調査を表明し、英イングランド銀行は BTC 敷居 1% を提案。中国では人民法院報が「黒洞アドレス消却」を推奨。規制が収益源や KYC を変質させる可能性がある。

▽ FAQ

Q. ビットコイン ETF 流入はいつまで続く?
A. フェデラルファンド金利が 5% 超で維持される限り、機関のリバランス需要が高く、四半期ごとに累積流入更新が見込まれる。

Q. 「価値牛」相場で個人は何を買うべき?
A. コアに BTC・ETH、サテライトで RWA・AI・DePIN といった実需系へ小口分散が推奨される。

Q. RWA トークンは利回り保証か?
A. いいえ。米国債連動でもスマートコントラクト・法域リスクが残るため、スマコン監査と発行者ライセンスを確認する必要がある。

Q. Solana は Memecoin だけのチェーン?
A. ICM・PayFi・DePIN 開発が進んでおり、Memecoin は性能を示す副産物にすぎない

Q. Nobitex 類似攻撃を防ぐ方法は?
A. 公式アプリ以外の更新を拒否し、物理デバイスで二段階認証・ハードウェアウォレット分離を徹底する。

■ ニュース解説

ビットコイン ETF 8 日連続流入は、米国債利回りと肩を並べるオンチェーン利回りへの分散投資を示唆する。一方、Nobitex 焼却や Hypersphere ハッキングが示すようにセキュリティ・規制は急進中。個人は「高利回りと高リスクは同居する」原則を忘れず、RWA や ICM の法的フレームとスマコン監査を精査したい。

(Lily,Luke,PA,BTC 現物 ETF データ)