【5月27日】急拡大するRWA市場とWeb3最新動向:KTAやBUILDon、Web3ゲーム危機など注目ニュースを総括

【要約】
・RWA(実世界資産トークン化)分野が急速に拡大し、合計7つの新興プロジェクトが話題を集めている
・トランプ家族が関与するUSD1や、注目を浴びるMEMEトークン$Bも絡み、安定通貨(ステーブルコイン)市場は活性化
・一方、Web3ゲームセクターでは大型プロジェクトの閉鎖が相次ぎ、「ゲーム性の欠如」や資金不足が深刻化
・企業のビットコイン大量購入をめぐり「毒性のあるレバレッジ」という否定的見方も浮上
・BinanceによるHUMAトークンエアドロップなど、取引所も新規銘柄を活発に取り扱う

RWAブームの背景

RWA(Real World Assets)とは、株式や債券、不動産など現実の金融資産をトークン化し、ブロックチェーン上で管理・取引する概念です。近年、米国を中心とする規制整備が進み、RWAが「次なるDeFiの成長エンジン」として注目を浴びています。実際、従来の伝統金融が仮想通貨領域へ参入し始めたこと、政策面で合規性が明確化してきたことなどが追い風となり、RWAの活用が急拡大しました。

7つの注目RWAプロジェクト

最近、BaseやBNB Chain、Solanaなど複数のブロックチェーンを舞台に、RWAを掲げる新プロジェクトが次々と台頭しています。代表的なものは以下の7つです。

  1. Keeta(KTA)
    • 概要:Baseネットワーク上の新型L1プロジェクト。KYCやデジタルID機能を備え、グローバル金融と結びつく合規性に注力。
    • 市況:市値が一時9.1億ドル超に到達し、話題を呼んでいる。
  2. BUILDon(B)
    • 概要:BNB Chain上の人気MEMEトークンで、トランプ家族が推進する安定通貨USD1の主要取引ペア。
    • 特徴:USD1の大半がBNB Chain上で流通しており、$Bはその基軸通貨として高い存在感を持つ。
  3. ALLO(RWA)
    • 概要:世界初のトークン化証券取引所を目指すプロジェクト。BNB Chainの加速プログラムに参加し、22億ドル相当のRWAをトークン化した実績を持つ。
  4. Collaterize(COLLAT)
    • 概要:Solana上でインターネット版の「資本市場」を構築しようとしている。RWA代替資産プールの拡大やソラナ創設者との協業が特色。
  5. Paraverse(PVS)
    • 概要:XR/3D資産の分散型クラウドレンダリング「ParaLab」やWeb3取引所「ParaHere」を展開。Solana上でのユースケース拡大を狙う。
  6. GitFish(Linux)
    • 概要:GitHubのオープンソースコードをトークン化し取引可能にする構想。Alliance DAOから支援を受けるが、上場後のトークン価格は下落気味。
  7. Convergent(CVGT)
    • 概要:Solana上のLSDFiプロトコル。SOLを担保にステーブルコインを発行し、利子0%でDeFiに参加可能。ガバナンストークン$CVGTを発行。

安定通貨USD1と$B:規制整備と生まれる新たなエコシステム

米国では「GENIUS(天才)安定通貨法案」が上院を通過し、今後さらに法整備が進む可能性が高まっています。この法案は、安定通貨の準備資産やレバレッジなどを厳格化することで、ステーブルコイン市場をより合規かつ巨大に拡張し得る内容です。
こうした動きと連動する形で、トランプ家族が支持するUSD1はBNB Chain上の流通量が急増。主要取引ペアである$Bの市値は一時4.6億ドルを超えました。大手取引所Binanceもこのエコシステムを支援しており、手数料免除や合約取引板への上場などを実施。
安定通貨が合規化されれば、米国のドル覇権を裏付ける重要インフラとしてのRWAマーケットがさらに活況を呈する見込みです。

Web3ゲームセクターの危機:大量のプロジェクト閉鎖

一方、2025年に入りWeb3ゲームの大規模な開発停止が相次いでいます。

  • Nyan Heroes:Solanaを代表するゲームが資金繰り難で終了。
  • Tatsumeeko:Discord連動型RPGとして注目されたがチームが開発を凍結。
  • Ember Sword:2億ドル規模を調達したMMORPGが突然開発停止を宣言。

原因としては、

  • ゲームそのものの面白さに課題がありユーザー離れが加速
  • 資金調達モデルの破綻や投資環境の悪化
  • ゲーム内NFTとトークンの需要蒸発
    などが挙げられています。結果として、多くのプロジェクトが「高いゲーム開発コスト」「継続的アクティブユーザー不足」などの壁に直面し、撤退を余儀なくされました。

企業によるビットコイン大量購入:「毒性レバレッジ」の視点

一部の上場企業が新株発行や社債による資金調達でビットコインを購入する動きに対し、「毒性のあるレバレッジ活用」との批判が高まっています。

  • 発行した株式や社債を担保にBTCを買い増し→BTC価格が上がると株価も上がる、という“飛輪効果”を狙う
  • しかしBTC相場が逆行すると返済不能リスクが大きく膨らむ
    このように、一見すると革新的な資金戦略にも見えますが、リスク許容度と株主利益のバランスが崩れれば大きな問題に発展しかねないとの声があります。

BinanceでのHUMAエアドロップなど、新規トークン熱

取引所の動きとしては、BinanceがAlphaプラットフォームにてHuma Finance(HUMA)の先行エアドロップを発表し話題を呼びました。Alphaポイントを一定数保有していれば対象となるため、活発なユーザーには魅力的なキャンペーンです。また、Puffverse(PFVS)の新規上場やTGE参加企画なども相まって、Binance発の新銘柄には引き続き資金が集まりやすい環境です。

ニュースの解説

一連のRWAブームと安定通貨の法整備、さらにはWeb3ゲーム停滞や企業のBTC大量購入などは、ブロックチェーン業界がまさに「現実社会との融合期」に突入している証左と言えます。合規化されたステーブルコインとRWAが資本市場の新たな土台となり、ユーザーにはより幅広い投資手段や金融サービスが提供されるでしょう。
同時に、Web3ゲームのように「市場環境が悪化すると脆いプロジェクトは一気に崩壊する」実例も表面化し、技術革新だけでは乗り越えられない課題が浮き彫りとなりました。一部企業の投機的なレバレッジ戦略が金融リスクを高める懸念も残っています。
結局は、技術・規制・ユーザー価値の三位一体で持続可能なエコシステムを築けるかが今後の成否を分けるでしょう。米国の「天才法案」をはじめ、世界各国の新たな法整備と融合の行方に注目が集まります。ここからさらにRWAの波が広がるのか、それとも別の領域がクローズアップされるのか――いずれにせよ、ブロックチェーン産業の真価が問われる“進化の岐路”に立っていることは間違いありません。