【5月24日】仮想通貨の最新動向:米国・香港の規制競争から大手ゲームの閉鎖、そして新たなWeb3の波へ

【要約】
・米国と香港でのステーブルコイン規制が急速に進展
・大手ゲーム「Ember Sword」が資金難で閉鎖
・BinanceがSophon(SOPH)上場へ
・Bitwiseは2026年までに各国と機関投資家が426.9万BTCを保有と予測
・Animocaが米国IPOを検討、GameFi復活の可能性は?
・Web3企業の「株式+トークン」両輪モデルが拡大
・AIとDeFiを融合する「DeFAI」にも注目
・SEC委員が「ステーキングは証券法の管轄外」と言及

Ember Sword閉鎖が示すGameFi市場の変化

イーサリアム系ブロックチェーンゲーム「Ember Sword」は、かつてNFT土地販売で2.03億ドルの収益を上げ注目を集めました。しかし2024年のテスト時に低迷し、以降も巻き返しが叶わず開発資金が枯渇。最終的にサーバーの閉鎖とDiscord制限措置に至りました。MMORPGジャンルがNFTと融合する事例として期待されたものの、運営コストや継続的なユーザー獲得の難しさが浮き彫りとなった事例です。

Binance、Sophon(SOPH)を上場予定

Binanceが5月28日より仮想通貨Sophon(SOPH)の現物取引と先物(最大50倍レバレッジ)を開始すると発表。特定のユーザーには空投(エアドロップ)が予定されており、同取引所のエコシステムを活用した拡大が予想されます。これによりSOPHの流動性確保が期待され、アルトコイン全体の活性化にも注目が集まっています。

Bitwise「2026年末までに426.9万BTCを各国・機関が保有」

運用資産120億ドルを誇るBitwiseによれば、2026年末には各国政府や機関投資家が合計426.9万BTC(4,269億ドル相当)を保有すると予測しています。機関投資が今後も進めば、仮想通貨の根強い需要と価値裏付けとなる可能性が高いでしょう。

米国と香港のステーブルコイン規制競争

米国では連邦レベルの初法案「GENIUS法案」が動き出し、香港でも「安定幣(ステーブルコイン)条例草案」が可決。両国で同時期に規制が整備される動きは、ステーブルコインへの世界的な関心の高まりを示しています。

  • 米国: 銀行版ライセンス、非銀行型ライセンスなど複数形態を認める内容
  • 香港: 金管局主導のライセンスに一本化、将来的なドル以外の法定通貨ペッグにも柔軟に対応

Animocaの米国IPO計画とGameFiの展望

NFTやブロックチェーンゲーム、投資プラットフォームを広く手掛けるAnimoca Brandsが米国IPOを模索。GameFiは「未達成の期待」と評されがちですが、同社の2024年利益は前年比185%増の9,700万ドルと好調。米国上場に向け、より多くの投資家を呼び込む可能性があります。
しかし、GameFi全体がすぐに復調するかは不透明。メインストリームのゲーマーを取り込む仕組みや、トークン価格頼みではないビジネスモデルの確立が鍵となりそうです。

Web3企業は「株式+トークン」の両輪へ

今後のWeb3企業は「株式での資金調達」と「トークンでのユーザー参画」を同時に行う、いわゆる“二重帳簿”モデルが加速する見込みです。株式は所有権や議決権、配当などを担保し、トークンはコミュニティ形成・エコシステム内インセンティブとして機能する形。
ステーブルコイン規制など各国法整備が進めば、セキュリティトークン(証券的トークン)の合法な発行ルートも増え、今後さらに選択肢が広がるでしょう。

DeFAI:次の万億ドル市場候補

AIとDeFiを融合させた「DeFAI」は、既存のDeFiが抱える操作難易度をAIの支援で解消する試みです。例えば投資判断や資産管理をAIが自動化し、ユーザーは「〇〇銘柄を買いたい」といった指示を出すだけ。
すでにAIトレーディングやエージェントフレームワークなど複数のプロトコルが台頭しており、DeFiの裾野をさらに広げる可能性があります。

SEC委員:「ステーキングは証券法の管轄外」

米国証券取引委員会(SEC)のPeirce委員が、PoSやDPoSのステーキング行為は証券法管轄外にあると明言。合規性の不透明さに悩む事業者にとって追い風となる発言であり、機関投資家のステーキング参加も促進される可能性があります。

ニュースの解説

ステーブルコインをめぐる世界規模の法整備が急展開を迎える中、Binanceなど大手取引所の上場や各国機関投資家の仮想通貨流入が進み、資金調達やユーザー誘導面でも新しいビジネスモデルが台頭しつつあります。一方で「Ember Sword」の閉鎖が示すように、安易にNFT土地販売で初動は稼げても、長期的には投資・運営資金の確保とユーザー維持戦略が不可欠です。
今後は、法的整備が進むステーブルコインとGameFi、さらにはDeFAIなど新潮流が複雑に絡み合い、市場全体の再編がさらに活発化するでしょう。事業者・投資家ともに慎重かつ柔軟に戦略を立てることが求められています。そこに「仮想通貨」というキーワードを軸とした金融とテクノロジーの融合が、ますます大きなインパクトを与えていくと考えられます。