▽ 要約
ETF動向 9/26にBTC4.18億$流出、全12本がマイナス
ETH動向 2.48億$流出で5日連続、ETHAが2億$
XPL “エリート型”配布後、鯨3,000万$買いで30%高
ステーブル/RWA CF社発行と香港債のCBDC入札検討
投資家が最も気にするのは資金フローだ。9月28日暗号資産ニュースでは、前日(米東部時間9月26日)のBTC・ETH現物ETFから計6.66億ドルが流出し需給が弱含む一方、Plasma(XPL)は“エリート型”配布設計を起点に鯨資金が流入した。加えて企業発行型ステーブルとRWAの制度進展が並行し、中期のファンダは二極化している。
BTC・ETHスポットETFの資金動向(9/26)
米東部時間9月26日にBTCは4.18億ドル、ETHは2.48億ドルの純流出となり、需給が短期的に悪化した。
9/26のBTC現物ETFは12本すべてがマイナスで、最大はFBTCの3億ドル流出、IBITは3,725万ドルの流出。ETFの純資産総額は1,435.63億ドル、BTC時価総額比は6.59%。ETH現物ETFは5日連続の純流出で、最大はブラックロックETHAの2億ドル流出、ETH現物ETFの純資産は260.1億ドル、ETH時価総額比は5.37%だった。これらは方向感の乏しい地合いと一致し、短期の押し目形成リスクを示唆する。
銘柄別ディテールとボラティリティの背景
純流出は高βセクターの手仕舞いと期末要因が重なったため一時的に増幅した。
BTC側は流動性の厚い大手2本(FBTC/IBIT)の反対売買圧が顕著で、ETH側はETHAの大口解約が主因。先物・オプションのロール期や金利観測の変化が、裁定やカバード戦略の資金を引き上げ、現物ETFの需給を悪化させたと解釈できる。もっとも、累計ではBTCが+568.15億ドル、ETHが+131.2億ドルの資金流入を維持しており、中期の受益基盤は残る。
Plasma(XPL)—“エリート型”配布設計が示した新潮流
公開販売比重が極端に高く、少数大口に報酬が集中したため、初期の下押し圧力が限定化した。
XPLは9/25ローンチ。公開販売で3,021アドレスに9.87億XPL(全体の98.7%)を配分し、166アドレスが100万超を取得。最大アドレスは5,408万XPLでピーク評価額7,841万ドル。別枠の「Sunshine Airdrop」は2,687アドレスに2,500万XPLを配布し、0.1ドル入金でも9,304XPLを得た例が確認された(ピーク評価額1.3万ドル)。ローンチ後は転送比率71.9%ながら、保有継続と買い増しアドレスも観測された。
鯨の行動—3,000万ドル即時配分とレバレッジの波及
鯨資金が現物とデリバティブを同時活用したため、短時間で価格弾性が高まった。
9/27朝に3,000万USDCがHyperliquidでXPLへ転換(平均1.34ドル、+30%上昇時点で1.52ドル)。同アドレスは約4,152万USDCの余力を残した。反対に2.4百万ドルのショートを一時利益確定後に買い直す動きや、著名トレーダーの5倍ロング建玉(1,732万ドル、保有1,200万枚)も相次ぎ、流動性の薄い時間帯に価格変動が増幅した。
教訓—“無差別配布”から“実資本・深い貢献”へ
シビル耐性と初期売り圧軽減のため、閾値設定とターゲット配布が有効だった。
XPLのモデルは、無料インタラクション偏重の空投に対する反省として、実資本・コア貢献者の優遇に舵を切った。結果としてコミュニティ・マーケット双方の好反応を得た一方、公平性の議論は残る。今後のTGEは“資本+貢献”指標を加味したハイブリッド配布が主流化する可能性がある。
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ステーブルコインとRWA—企業発行・公的基盤・域内制度の三層進展
企業発行型の実装、CBDC基盤の明確化、域内RWAの制度整備が同時進行した。
Cloudflareは自社エコシステムに最適化したUSD連動型「NET Dollar」を発表し、機械決済やマイクロペイメントなどB2B用途を想定。香港政府は第三弾のトークン化債で“資金側”もトークン化し、CBDCでのサブスクリプション接続を検討。中国ではデジタル人民元の国際運営センターが稼働し、ブロックチェーン基盤に長安チェーン、デジタル資産プラットフォームに上海清算所を据えた。並行して、USDTの企業価値評価が5,000億ドル規模との観測も出た。収益源は準備資産利息が中核で、発行体の収益構造は“1:1印刷権”の経済性を持つ。
トレジャリーと需給—ETH系mNAVの“厚み→希薄化”転換
ETH価格低下でSharpLink等のmNAVが1割れとなったため、“厚み”のフライホイールが反転した。
mNAV>1の間はプレミアム増資でETH保有の厚みを増せるが、1近傍〜割れでは増資インセンティブが低下し、一株当たりETHの希薄化バイアスが強まる。直近のETF資金流出と相まって、短期の下押し圧として認識される。一方でRWA制度や企業発行型ステーブルの普及は、オンチェーン資金決済と表裏で中期の実需を補強する。
▽ FAQ
Q. 9/26のBTC現物ETFのフローは?
A. 純流出4.18億ドル。最大はFBTCの3億ドル、IBITが3,725万ドルで、12本すべて流出。
Q. ETH現物ETFの連続流出日は?
A. 5日連続で、9/26は2.48億ドル。ETHAが2億ドルの流出となった。
Q. Plasma(XPL)の配布と鯨の動きは?
A. 公開販売比重が高く、9/27に3,000万ドルの買いで一時30%高。余力4,152万USDC。
Q. 企業ステーブルとRWAの最新は?
A. CloudflareがUSD型発行、香港はトークン化債のCBDC入札検討、中国はe-CNY基盤を明示。
■ ニュース解説
ETFの資金流出が9/26に再加速したため短期の需給は悪化した一方で、XPLは高閾値配布により鯨資金を呼び込み初期売り圧を回避し、企業ステーブルとCBDC・RWAの制度整備は中期の実需基盤を補強しうる。
9/26にBTC/ETH現物ETFから計6.66億ドルが流出し、XPLは鯨の3,000万ドル買いで一時30%上昇した一方、金利観測やロール期で裁定資金が後退するため短期はリスク管理が要るが、配布設計の最適化と決済インフラ再設計の進展により中期はRWA・ステーブル経由の資金循環が需給の下支えとなり得る。
投資家の視点:短期はETFフローと先物清算動向をモニターし、流動性の薄い時間帯の急変に備える。中期はRWA・企業ステーブルの採用事例と規制実装の進捗をKPI化してトレンドに追随したい。ポジションはイベント前後のデルタ調整と、ボラティリティ拡大時の分割エントリーを基本とする。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:PANews)