9月4日 暗号資産ニュース:ETH資金流出とRWA

▽ 要約

マーケット 金は史上高、BTCは11万3600ドルが分岐点。
ETH 現物ETFが1日で1.35億ドル流出。
RWA ERC‑3643と1万ETH購入で前進。
プロジェクト WLFIは4700万枚焼却も懸念続く。

投資家の関心は、足元の価格調整と資金フロー、そしてRWAの制度・実装進展だ。9月4日 暗号資産ニュースでは、BTCのテクニカル分岐点、ETHのETF資金流出、ERC‑3643や企業のETH取得といった実需面の動きを整理し、短期の注意点と中期の見通しを一枚で把握できるように解説する。

市場総況(BTCの節目とETHの資金動向)

価格は金の史上高騰でリスク選好が揺れる一方、BTCは11万3600ドルが上値分岐となり、ETHは現物ETF資金流出で重さが残った。
日中の「取引時刻」では、BTCは11万2千ドル近辺での調整が続き、11万3600ドルの突破可否が短期の方向感を左右する一方、ETHは出来高低下とETFの資金流出でモメンタムが鈍化した。金は先物3,600ドル、現物3,510ドル超で史上高を更新。BTC現物ETFは+3.33億ドルの資金流入、ETHは−1.35億ドルの資金流出が報告された。

ビットコインとイーサリアムのテクニカルとフロー

短期は−12%程度の押し目で健全性が保たれる一方、BTCは11万3600ドル超えで11万6千〜12万ドルが視野、ETHはETFフローと出来高鈍化が重しとなった。
BTCは押し目の範囲内で、節目を超えれば上値余地が開く。ETHはETFの単日−1.35億ドル流出に加え、財団が1万ETHの売却準備(Kraken入金)が確認され、短期の需給は慎重姿勢が妥当だ。

マクロ環境と機関投資家の見方

利下げ期待が金を押し上げる一方で、ドルの弱含みと債務懸念が資産分散を促し、BTCの長期ヘッジ需要は根強い。
Morgan Stanleyの貴金属見通しやRay Dalioの債務・統治リスク示唆に加え、BlackRockのラリー・フィンクが「不確実な将来へのヘッジ」としてのBTCを評価する発言を行っており、構造的な需要は継続しやすい。

規制・インフラ・RWA(制度整備と実装の前進)

規制はSECとCFTCの協調でスポット取引制度の道筋が示され、実装面はERC‑3643がRWAの準拠性を担保する基盤として台頭した。
米SEC/CFTCは登録市場でのスポット暗号資産取引の枠組み協議を明確化。RWAではERC‑3643がオンチェーンIDと条件付き転送でKYC/AMLをコード化し、1400系列より広い資産クラスと動的コンプライアンスを実現する。

企業のRWA/トークン化とトレジャリー戦略

香港の雲鋒金融は1万ETH(約4,400万ドル)を準備資産に組み入れ、Ant GroupやPharosとRWAで連携強化した。
同時に、KrakenとBackedはxStocksをEthereumへ展開し、トークン化証券の入出庫を可能にした。制度×実装の両輪で、RWAの流通基盤は着実に拡張している。

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個別プロジェクトとネットワーク動向

WLFIは買い戻し・焼却を進める一方で集中度や説明責任が問われ、Starknetの障害やLineaのエアドロップ日程などイベントも重なった。
WLFIは約4,700万枚の焼却とオンチェーン買い戻しを実施したが、チーム構成・供給集中・権利制限など多数の懸念が指摘される。Starknetは一時停止後にブロック1962681へロールバックし復旧。Lineaはエアドロップ請求を9/10〜12/9に設定、配布は全量アンロックで、総供給の85%をエコシステムへ割当てる。pump.funはDynamic Fees V1でクリエイター報酬最適化を試みた。

市場構造の変化(DAT・取引所トークン・予測市場)

DATの供給過多示唆や取引所トークンの再評価、予測市場の台頭が資金の滞留先を変えつつある。
GrayscaleはDAT(上場企業の暗号資産保有車)のmNAV収斂を指摘。取引所トークンはBNBがユーティリティと時価で先行、OKB/BGBがエコ接続で追随、MNTやGTは構造面の課題を残す。予測市場はPolymarketやUMAなどインフラ拡充が進むが、プレマーケットや大口主体の影響には注意が必要だ。

資金調達・開発者・エアドロップ

カストディやAI×ブロックチェーンに資金が入り、開発者向け助成・インキュベーション枠や実利的なエアドロップ機会が拡充している。
独TanganyはシリーズAで1,000万ユーロ、AI×ブロックチェーンのKiteは1,800万ドルを調達。開発者向けには36の資金・育成プログラムが整理され、2025年に育成価値が高い10のエアドロップ候補(Hyperliquid系、Solana系DEX、Base系など)も紹介された。

イーサリアム需給とステーブルコイン

ステーク比率上昇とCEX残高低下でフロートは細り、USDeなどクリプトネイティブの高利回り系が存在感を増す一方、短期は売り手イベントも重なった。
ETHは約31%がステークされ、CEX残高は低下傾向。現物ETFは単日−1.35億ドルの流出、Ethereum Foundationは1万ETHの売却準備を進めた。USDeは時価総額125億ドルへ急拡大し、手数料スイッチや再ステーク需要で存在感を強めるが、資金調達先・資産連鎖のリスク評価は不可欠だ。

▽ FAQ

Q. BTCの当面の分岐点は?
A. 11万3600ドルが注目。上抜けなら11万6千〜12万ドルの戻り余地が見込まれる。

Q. Lineaのエアドロップ請求期間は?
A. 2025年9月10日〜12月9日。全量アンロックで、10%は初期参加者・開発者、75%はエコ基金配分。

Q. 雲鋒金融の動きは?
A. 1万ETHを約4,400万ドルで取得し準備資産化。Ant GroupやPharosとRWAを共同推進。

Q. WLFIの最新は?
A. 約4,700万WLFIを焼却・買い戻し。一方で供給集中や権利制限などのリスクが指摘。

Q. ETH需給の要点は?
A. 現物ETF−1.35億ドル流出、財団1万ETH売却準備、ステークは供給の約31%。

■ ニュース解説

ETF資金がBTCへ流入・ETHから流出したため、短期モメンタムはBTC優位となる一方で、RWAはERC‑3643と企業のETH準備資産化で制度・実装が加速した。
投資家の視点:短期はBTCの11万3600ドルとETHのETFフローを監視し、イベント(Lineaの請求開始、Starknetの運用状況、WLFI関連ボラ)に合わせたエクスポージャー管理を徹底。中期はRWAやトークン化の制度整備と企業のトレジャリー需要を継続フォローし、分散と流動性確保を重視したポジション設計を。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews