▽ 要約
ステーキング追加:ETFのETHをロックし年3%前後の報酬を投資家へ
規制焦点:SECは「証券」該当性と投資家保護を精査し判断延期
市場影響:ETH流通量減と機関資金流入で価格へ上昇圧力
今後見通し:2025年Q4前後の承認観測が市場コンセンサス
ブラックロックがイーサリアム現物ETFにステーキング機能を盛り込む申請を行いました。
結論から言えば、ETFの利回りを底上げしつつ市場の資金流入を促す大きな転換点です。
この記事では申請の概要、仕組み、市場影響、SECの審査ポイントを整理し、投資家が取るべきアクションを示します。
ブラックロック申請の全貌
ブラックロックは保有ETHをバリデータ運用し、ネットワーク報酬をETF収益に組み込む方針を提案。
同社は19b‑4規則変更で「信頼できるプロバイダー経由の部分的・全量ステーク」を明記し、報酬を投資家へ還元。競合運用会社も同趣旨の修正申請を準備しており、ステーキング対応はETF業界の新基準になりつつある。
業界が追随する背景
プルーフ・オブ・ステーク移行後のイーサリアム平均利回りは年率約3%。従来ETFはこの収益を捨てていたため「機会損失」と批判されてきた。ブラックロックは72億ドルを集めたETHAの競争力をさらに高める狙いだ。
イーサリアムETFとステーキングの仕組み
ETFがバリデータとして機能し、利回りをNAVに反映させることでトータルリターンを向上させる。
ファンドはカストディアン管理下のETHを選択的にロック。プロバイダーがノード運用を担い、報酬を信託財産へ。流動性確保分は非ステークで保持し、迅速な償還に対応する。
メリットとリスク
- メリット:利回り上乗せ、資本効率改善、ネットワーク分散化強化
- リスク:スラッシング罰則、技術障害、集中化懸念。
運用会社は鍵管理の冗長化や保険付保でリスク低減を図る。
市場インパクト
機関マネー流入と流通量減少が重なり、ETH価格は中期的に上昇バイアス。
ETFへの資金流入はすでに日次数億ドル規模。ステーキング追加は「配当付き資産」としてETHを再定義し、新たな需要を生む。
製品イノベーションの連鎖
ソラナやカルダノなどPoS銘柄ETFへの波及が見込まれ、暗号資産ETF市場は利回り競争時代に入る。TradFiとDeFiの融合が加速し、投資家層の拡大が期待される。
SECの審査動向
SECは証券該当性と情報開示を中心に慎重審査、最終判断は2025年後半が焦点。
Kraken事件以降「ステーキング=投資契約」視点が強まり、ETFへの適用可否を精査。コメント募集延長が続くが、ブラックロックとの直接協議が進展の兆し。
今後の規制焦点
- カストディ安全管理(鍵・保険)
- 報酬分配の透明性と課税処理
- 投資家向け開示の充実(リスク・費用)
承認となれば、これら基準が業界のデファクトとなる。
今後の展望
市場コンセンサスは2025年Q4までの承認、遅くとも2026年春には方向性が確定。
アナリストJames Seyffart氏は「年内承認70%」と試算。否決または長期延期の場合、欧州・カナダ市場が先行するシナリオも。
▽ FAQ
Q. ステーキング付きETFとは何?
A. ETFが保有ETHをプロバイダー経由でステークし、年3%前後の報酬をファンド収入として投資家に還元する商品です。
Q. SECは何を懸念?
A. ETF内部で発生する報酬が「投資契約」に該当するか、投資家保護が十分かを注視しています。
Q. 価格への影響は?
A. ETH流通量減と機関投資資金流入で需給が引き締まり、中期的に上昇圧力が高まる見通しです。
Q. いつ承認される?
A. 最初の締切が集中する2025年Q4までに結論が出るとの見方が優勢ですが、最終期限は2026年春です。
■ ニュース解説
本件は「運用会社がブロックチェーン利回りを上場商品に組み込む」初の試みであり、伝統金融の枠組みでDeFi的収益を実現する画期的事例です。承認されれば、暗号資産の“配当化”が進み、FinTech/RegTech双方に新しい課題と機会をもたらします。
(出典:SECダッシュボード,Bloomberg ETF Flow,SEC提出資料,ブラックロック申請書)