この記事の結論
- 投資信託及び投資法人に関する法律施行令第3条が定める特定資産の範囲に、暗号資産そのものは掲げられていません。
- 同条はデリバティブ取引に係る権利を特定資産としつつ、暗号等資産および暗号等資産関連金融指標に係るものを除いています。
- 一方で金融商品取引法には暗号等資産の定義(第2条第24項第3号の2)と、第六章の三「暗号等資産の取引等に関する規制」が置かれています。
本記事は2026年9月11日時点のe-Gov法令検索で確認できる条文(金融商品取引法は2026年8月12日施行の版、投信法施行令は2026年6月1日施行の版)に基づきます。上場の可否や時期を予測するものではありません。
「買えるか」は3つの別々の問いに分かれる
ビットコイン現物ETFを日本から買えるかという問いは、実際には次の3層に分かれます。層ごとに根拠となる法令が違うため、まとめて論じると答えがぼやけます。
| 層 | 問い | 根拠となる条文・資料 | 現状(2026年9月時点) |
|---|---|---|---|
| 1 | 投資信託の運用対象に暗号資産を入れられるか | 投信法施行令第3条(特定資産の範囲) | 暗号資産は列挙されていない。デリバティブ取引に係る権利からも暗号等資産関連のものは除かれている |
| 2 | 暗号資産取引そのものが金商法の規制下にあるか | 金商法第2条第24項第3号の2、第43条の6、第六章の三 | 暗号等資産の定義、暗号等資産関連業務の特則、不公正取引の禁止規定が置かれている |
| 3 | 個別の商品が上場・販売できるか | 各商品の届出・審査、取引所の上場承認 | 本記事の執筆時点で国内取引所での現物ETF上場は確認できていない |
層1:特定資産の範囲に暗号資産がない
投信法施行令第3条は、法第2条第1項の政令で定める資産として、有価証券、デリバティブ取引に係る権利、不動産、不動産の賃借権、地上権、約束手形、金銭債権、匿名組合出資持分、商品、商品投資等取引に係る権利、再生可能エネルギー発電設備、公共施設等運営権を掲げています。暗号資産そのものはこの列挙に含まれていません。
さらに第2号は、デリバティブ取引に係る権利を特定資産としながら、括弧書きで「暗号等資産(金融商品取引法第2条第24項第3号の2に規定する暗号等資産をいう)及び暗号等資産関連金融指標に係るものを除く」と定めています。暗号資産に連動するデリバティブも、現時点では特定資産から外れています。
層2:金商法側では暗号等資産の枠組みが条文になっている
層1と対照的に、金融商品取引法には暗号等資産に関する条文が置かれています。第2条第24項第3号の2は「暗号等資産」を金融商品の一つとして定義し、資金決済法第2条第14項に規定する暗号資産などを指すとしています。
また、第三章第二節第六款として「暗号等資産関連業務に関する特則」(第43条の6)が、第六章の三として「暗号等資産の取引等に関する規制」(第185条の22から第185条の24)が設けられています。第185条の22は不正の手段・計画・技巧の禁止、第185条の23は風説の流布や偽計の禁止、第185条の24は相場操縦行為等の禁止を定めています。
つまり、取引の公正性に関する規律は条文として存在する一方で、投資信託の運用対象として組み入れるための政令上の手当ては、別途必要な状態です。
層3:制度が整っても商品ごとの手続がある
金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の報告(2025年12月10日)は、暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法の枠組みへ移す方向性、第一種金融商品取引業に相当する規制、インサイダー取引規制の創設などを示しています。制度の方向性が示されたことと、個別の商品が上場されることは別の段階です。
国内でビットコインに投資したい場合、現時点で確認できる方法は、登録を受けた暗号資産交換業者を通じた現物の売買です。金融庁は暗号資産交換業者の登録一覧を公表しており、無登録業者に関する注意喚起も出しています。海外の証券口座や海外ETFの購入可否は、口座を開く金融機関の取扱いと居住者向けの規制によって変わるため、本記事では断定しません。
よくある質問(FAQ)
なぜ国内でビットコイン現物ETFが上場していないのですか。
投信法施行令第3条が定める特定資産の範囲に暗号資産が列挙されていないためです。同条はデリバティブ取引に係る権利からも、暗号等資産および暗号等資産関連金融指標に係るものを除いています。
金融商品取引法には暗号資産の規定がないのですか。
あります。第2条第24項第3号の2が暗号等資産を定義し、第43条の6に暗号等資産関連業務の特則、第六章の三(第185条の22から第185条の24)に不正取引・風説の流布・相場操縦の禁止が置かれています。
では日本からビットコインに投資する方法は何がありますか。
現時点で確認できるのは、金融庁に登録された暗号資産交換業者を通じた現物の売買です。海外ETFの購入可否は金融機関の取扱いによって変わるため、本記事では断定していません。金融庁の登録一覧と無登録業者の注意喚起を確認してください。
出典(一次情報)
- e-Gov 法令検索「投資信託及び投資法人に関する法律施行令」第3条(特定資産の範囲)
- e-Gov 法令検索「金融商品取引法」第2条第24項・第六章の三
- 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告(2025年12月10日・PDF)
- 金融庁「暗号資産関係」
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。




