8月8日暗号資産ニュース総まとめ:規制・RWA・市場

▽ 要約

マーケット影響香港の最厳級ステーブルコイン規制が可動、KYC強化が波及。
トレンド加速RWAトークナイズは資金流入持続、xStocksやUSTBが拡大。
インフラ進展Solana Seeker出荷とDeFi構成要素の高度化が同時進行。
リスク認識政策・循環取引の過熱と清算ダイナミクスに要警戒。

8月8日の焦点は「規制の明暗」「RWA・モバイル・取引基盤の前進」
香港の新法施行、TetherやSolana、Krakenの動き、DeFi循環の急拡大が同日に重なったため。

規制アップデート:香港は「最厳級」、米国は前向きシグナルと論争

香港は8月1日に包括的な安定通貨規制を施行し、KYCと全額準備を徹底する路線。根拠:HKMAの告示と実施要領が公表済みで、ライセンス受付も開始。
香港の新制度は、法定通貨参照型ステーブルコイン(FRS)の発行・提供・マーケティングを許可制とし、1:1の全額準備、分別管理、迅速償還、強化KYCなどを義務付ける。KYC面の厳格さは、保有者レベルでの本人確認要求が波及しうるとして産業界の議論も招いている。

実務運用は「当面は限定的なライセンス数」で段階導入の模様。制度の狙いはB2B・越境決済の健全化で、香港が地域ハブとして先んじる設計だ。
一方、米国側の政策環境は前向きシグナルと反対論が併存。「Project Crypto」「GENIUS/CLARITY法案」による制度整備期待と、金融安定リスクを警告する論説が対比された。

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マーケット動向:ETF資金・関税・マクロの「後関税時代」

7月は「関税ショックの脱敏化」とAI・ETF・機関化の3本柱が台頭。根拠:指数高値更新、現物ETFの需給、降息観測の錯綜が背景。
報告では、米株高・AI投資拡大・ビットコインETFの定着が資産市場を牽引し、BTCの月間上昇とETF純流入が確認された点を強調。政策面では関税の揺さぶりが続くものの、市場は次の主因へ視線移動——金利・AI・デジタル資産の機関化だ。

ステーブルコイン&RWA:Tether・Superstate・Circleの現在地

RWAは短期国債×トークンで深化、安定資金の受け皿として拡張。根拠:Tetherの米国債保有、SuperstateのUSTB拡大、Circleの上場開示。

  • Tether:2025年Q2時点で米国債エクスポージャーが1270億ドルに到達し、主要国に並ぶ規模を公表。流通の増勢と相まってドル版インターネット現金の地位を強化。
  • Superstate(Robert Leshner氏):USTB(短期米国債ファンドのトークン化)やUSCC(キャリー戦略)等の拡大でRWA×DeFiの接続を進展。DeFi担保やDAO財務の基礎利回り資産として採用が広がる。
  • Circle:上場開示から収益の金利依存・分配コスト・利益変動が論点に。合規優位を活かしつつ決済ネットワーク化・多通貨展開への転換スピードが評価軸。

インフラ&プロダクト:Solana Seekerとトークン化株式(xStocks)

モバイル×Web3株式トークン化が“可用性”を底上げ。根拠:Seeker出荷とxStocksの拡張が具体化。

  • Solana Mobile Seeker価格約500ドル予約15万台超50+カ国出荷でWeb3スマホの実用域が拡大。Seed Vault、dAppストア等でUXのボトルネックを低減
  • Kraken xStocksBackedが1:1裏付けで発行、Solana等で流通非米国の一部地域で提供、60銘柄超に拡大。DeFiコラボで利用域が広がる。

取引基盤とミクロ構造:CLOB志向と「成長の可視化」

CLOB回帰オンチェーン成長会計でDEXの性能・透明性が進化。根拠:Drift・Solanaの設計選好、Hyperliquidのオンチェーン成長データ化。

  • Solana/DriftvAMMの限界(保険基金・価格乖離・路線依存)を乗り越えるため、CLOB+MMのハイブリッドへ。AMMは現物向きで、デリバティブは深い板×MMが実務的。
  • Hyperliquid:注文由来(Builder)や紹介(Referral)までチェーン上に刻み、“増加の因果”を検証可能に。透明な分配はDAOの合意形成にも資する。

デリバティブ主導相場と清算ダイナミクス

永続先物のOIと清算が価格形成を主導する局面が増加。根拠:合成レバレッジの集中と“空売り清算→現物対当”のスパイラルが確認されるため。
投資家の要点:清算域(価格帯)やFundingの偏りをリスク・クラスターとして把握し、片張り回避を徹底する。

DeFiレゴ:USDe–Pendle–Aaveの循環と上限設計

PT-USDe担保×USDC借入×再投資固定化利回り×レバが普及。根拠:価格参照の工夫とLTV制御で清算リスクを抑制しつつ規模拡大。
留意点上限(cap)・オラクル・清算スイッチシステミック・リンクを生む。供給上限引き上げは段階的に検討し、預かり資産の一極集中を避けたい。

そのほかの注目点

  • RGBプロトコル:主網ローンチに市場期待も、分配設計・コストでFUD発生。
  • GTE×MegaETH:分離報道。アプリ主導の資本配分とL1/L2戦略の再編を示唆。
  • Strategy(MSTR):Q2の利益計上とBTC財務戦略の注視点。

▽ FAQ

Q. 香港の安定通貨規制は何が変わった?
A. 8/1施行。HKMAライセンス、1:1全額準備、分別管理、強KYC、原則1営業日償還。

Q. Tetherの米国債保有はどの水準?
A. 2025年Q2に約1270億ドル。USDT供給増でドル連動手段が一段と拡充。

Q. Solana Seekerの販売状況は?
A. 約500ドル15万台超の予約。50超の国へ出荷開始。

Q. KrakenのxStocksの提供地域は?
A. 非米国の一部国・地域のみ利用可。米国/EU/英国/カナダ等は不可。

Q. USDe–Pendle–Aave循環の要点は?
A. PT-USDe担保→USDC借入→再投資で利回り固定化。上限と清算設計が鍵。

■ ニュース解説

規制面では、香港がKYCと1:1全額準備を徹底する枠組みで“可用性より健全性”を優先する一方、米国は議会・当局の調整局面が続き、期待と反対論が併存しています。RWAでは、短期国債など安全資産のオンチェーン化が利回りの土台を形成し、TetherやSuperstateが牽引中です。UX/分配では、SolanaのSeekerやKrakenのxStocksにより“使う場所”が拡大しつつも、提供地域や規制適合に注意が必要です。相場構造では、デリバティブ清算と循環取引が短期ボラを増幅し、資本効率の向上と引き換えに連鎖リスクが内在します。

— 投資家の基本動作(助言ではありません):
ステーブルコインは準備資産の質・分別管理・償還速度を比較し地域差を織り込む。RWAは裏付け・清算手順・監督主体を一次資料で確認し過度集中を避ける。デリバティブは清算域/資金調達率/板厚をモニターし片側レバを抑制する。DeFi循環は上限・オラクル・LTVを追跡し、停止スイッチの有無と条件を把握する。

(出典:Kraken,Cointelegraph,Tether,CoinDeskCointelegraph