ティファニー「NFTiff」とは|CryptoPunksのペンダント250点のその後

米宝飾ブランドのティファニー(Tiffany & Co.)は2022年8月5日、NFTコレクション「CryptoPunks」の保有者だけが買える「NFTiff」を250点販売しました。価格は1点30ETH(当時約5万ドル)で、同社によると約20分で売り切れています。

NFTiffは、デジタルのNFTと、持ち主のCryptoPunkをかたどった本物のペンダントを組み合わせた商品でした。この記事では、旧版の記事の数字を報道で確かめ直したうえで、商品の仕組み、実際に納品されたかどうか、その後のCryptoPunksの動き、そしてNFTと現物がセットになった商品を見るときの注意点をまとめます。

NFTiffの販売内容

業界紙National Jewelerなどの報道をもとに、販売の条件を整理します。

項目 内容
販売日 2022年8月5日(専用サイトNFT.Tiffany.comで販売)
数量 250点
価格 1点30ETH(当時約5万〜5万3,000ドル)
購入できる人 CryptoPunksのNFTを持っている人のみ
購入上限 1人3点まで
受け取れるもの ペンダントのデジタル版NFT、実物のペンダント、鑑定書

売上は1,250万ドル前後と報じられましたが、試算は報道によって1,250万〜1,325万ドルと幅があり、販売時のETHの価格をどう置くかで変わります。旧版の記事は「1,250万ドル(約17億円)以上」としており、大きな食い違いはありません。

ペンダントの仕様と仕組み

購入者は、自分が持っているCryptoPunkのキャラクターをもとに、ティファニーの職人が作るペンダントを注文できました。各ペンダントには30個以上のダイヤモンドや色石(サファイア、アメジスト、スピネルなど)が使われ、18金のローズゴールドかイエローゴールドで作られます。チェーンの長さは18〜22インチで、裏面にはCryptoPunkの番号が刻まれます。

CryptoPunksは2017年に公開された1万点のピクセルアートのNFTで、NFTの歴史の中でも初期の代表的なコレクションです。NFTiffは、その保有者という限られた人たちに向けた、いわば会員限定の商品でした。NFTの保有を購入資格の確認に使った点が、この企画の特徴です。

発表時、ティファニーで商品とコミュニケーションを担当する幹部のアレクサンドル・アルノー氏は、NFTの世界の顧客に新しい体験を届けることへの期待を語っていました。

なぜCryptoPunks保有者に限ったのか

購入資格をCryptoPunksの保有者に絞った理由は、公式には細かく説明されていません。ただ、仕組みから読み取れる点はいくつかあります。

一つは、NFTを「会員証」として使えることです。ブロックチェーン上で誰がどのCryptoPunkを持っているかは確認できるため、ブランド側は購入者の資格を簡単に確かめられます。もう一つは、商品の中身がCryptoPunkの絵柄そのものである点です。自分のキャラクターを宝飾品にするという企画は、そのNFTを持っている人にしか意味を持ちません。

また、価格を円やドルではなくETHで決めたことも特徴です。30ETHという価格は、ETHの相場しだいで円に直した金額が大きく変わります。旧版の記事は約700万円と換算していましたが、これは当時の相場での数字で、ETHが値下がりすれば安く、値上がりすれば高くなります。NFTの保有者の多くがETHで資産を持っていることを前提にした値付けだったといえます。

旧版の記述で確認できなかったこと

旧版の記事には、報道で裏付けを取れなかった記述もありました。

  • 「50人の少人数グループにのみ提供され、残りの200個は別の形で提供」:販売の条件を伝えた主要な報道では、250点をCryptoPunks保有者向けに販売したとされており、この内訳は確認できませんでした。
  • 「55ETHで転売され、80%以上上昇」:個別の転売価格は確認できませんでした。一時点の転売価格は、その後の相場を示すものではありません。
  • 「引き換え期限は8月12日まで」:この期限も一次情報では確認できませんでした。

このため、書き直しにあたってはこれらの記述を事実としては扱っていません。

その後:ペンダントは2023年初めに届いた

発表時の予定では、NFTの配布が2022年12月、実物のペンダントの納品が2023年2月とされていました。The Blockは2023年1月3日、購入者のもとに実物のペンダントが届き始めたと報じています。あるNFTインフルエンサーは、初めて身につけたとして、これからたくさん着けるつもりだと感想を寄せていました。

同じ記事で、ティファニーと組んで仕組みを作ったブロックチェーン企業ChainのCEO、ディーパック・タプリヤル氏は、ブランドはコミュニティの声を聞いて応える姿勢を持ち、NFTの部分も現物と同じくらい大切に扱うべきだと話しています。予定どおりに現物が届いたことは、NFTと現物を組み合わせた商品として、約束を果たした例の一つといえます。

NFTと現物を組み合わせた企画では、現物の製作や配送が遅れたり、途中で企画そのものが立ち消えになったりする例もあります。代金を先に受け取り、半年後に商品を届けるという形は、購入者がブランドを信頼して待つことを前提にしています。

CryptoPunksのその後

NFTiffが売り出された2022年8月の時点で、CryptoPunksの権利を持っていたのはYuga Labsです。Bored Ape Yacht Clubで知られる同社は、この年の3月に、作品を生み出したLarva Labsから権利を買い取っていました。つまりNFTiffは、Yuga Labs傘下のコレクションの保有者に向けた、ティファニー独自の企画だったことになります。

その後の大きな変化は2025年5月です。Yuga Labsは、デジタルアートを後世に残す活動をする非営利の財団(通称NODE)にCryptoPunksの知的財産権を手放しました。報道では対価は約2,000万ドルとされています。NODEは1万点を丸ごと展示する計画や、米カリフォルニア州パロアルトに常設の展示スペースを開く計画を示し、Larva Labsの創設者2人も運営に関わると伝えられました。

保有者から見れば、コレクションの管理が営利企業から非営利の財団に移ったことになります。一方、ティファニーがその後もNFTを使った同じような販売を続けたかどうかは、今回の調査では確認できませんでした。

NFTと現物を組み合わせた商品を見るときの注意点

NFTと実物の商品を組み合わせた「フィジタル」と呼ばれる商品は、ブランドにとっては顧客を限定したり、真正性を示したりする手段になります。一方で、買う側が確かめておきたい点もあります。

  1. 現物を受け取る条件:引き換えの期限、配送できる国や地域、関税や送料の負担を確認します。海外ブランドの企画は日本に届けられない場合もあります。
  2. NFTを売ったときの権利:NFTを転売すると、現物を受け取る権利も一緒に移るのか、引き換え済みかどうかが外から分かるのかを確かめます。
  3. 発行元が本物か:有名ブランドの名前を使った偽のミントサイトもあります。ブランドの公式サイトから案内されたページかを確認します。
  4. 日本での税金:NFTの売却で利益が出た場合、課税の対象になりえます。考え方はNFTの税金の解説を参考にしてください。

ETHなどの暗号資産で代金を払う場合、支払いに使った暗号資産が取得時より値上がりしていれば、その差額が所得として扱われる点にも注意が必要です。支払いの時点で利益が確定したとみなされるため、商品を買っただけのつもりでも申告が必要になることがあります。

よくある質問

Q. NFTiffはいくらで販売されましたか?

A. 1点30ETHで、当時の相場で約5万ドルでした。250点が2022年8月5日に販売され、ティファニーによると約20分で完売しています。

Q. 誰でも買えましたか?

A. いいえ。CryptoPunksのNFTを持っている人だけが購入でき、1人3点までという上限がありました。

Q. 実物のペンダントは届いたのですか?

A. The Blockは2023年1月、購入者のもとにペンダントが届き始めたと報じています。発表時の予定では実物の納品は2023年2月とされていました。

Q. CryptoPunksは今どこが管理していますか?

A. 2025年5月、Yuga Labsがデジタルアートの保存に取り組む非営利の財団(NODE)に権利を譲りました。対価は約2,000万ドルと報じられています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。