SNSで話題のNFTは長く値を保ったか|CryptoPunks・BAYCなど5件のその後

旧版の記事は2022年6月、「Twitterで長期的な利益を上げているNFT」としてCryptoPunks、Bored Ape Yacht Club(BAYC)、Goblintown、Axie Infinity、「ゆうぼう(YuBo)」の5件を挙げ、「長期的な利益が期待される」「注目の投資対象」と紹介していました。

しかし、SNSで話題になっていることと、長く価値を保つことは別の問題です。この記事では、当時挙げられたNFTがその後4年間でどうなったのかを公開情報で確かめ、SNS上の評判や推奨をどう受け止めればよいかを整理します。本稿は個別のNFTへの投資を推奨する目的のものではありません。

CryptoPunks:最古参の人気作品は運営者が2度変わった

CryptoPunksは、米国のソフトウェア開発会社Larva Labsが2017年6月に公開した、24×24ピクセルの人物画像1万点のコレクションです。NFTという言葉が広まる前から存在した作品として、今も特別な位置づけにあります。種類ごとの数は、男性6,039点、女性3,840点、ゾンビ88点、類人猿24点、エイリアン9点です。旧版の記事は男性を6,038点と書いていましたが、正しくは6,039点です。

その後、2022年3月にLarva LabsはCryptoPunksの権利をBAYCの運営会社Yuga Labsに売却しました。さらに2025年5月には、デジタルアートの保存を目的とする非営利団体Infinite Node Foundationが、Yuga LabsからCryptoPunksの知的財産権を取得したと発表しています。取得額は約2,000万ドルと報じられました。

2026年時点でも売買は続いていますが、取引は少数の高額な売買が中心で、数件の取引で価格の印象が大きく変わる状態だと報じられています。

BAYC:最低価格は最高値から9割以上下落

BAYCは2021年4月に公開された、退屈そうな猿を描いた1万点のコレクションです。保有者が参加できる会員制クラブという位置づけで、多くの著名人が購入したことでも知られました。

最低価格(フロア価格)は2022年4月に約153.7ETH(当時約43万ドル)の最高値を付けましたが、その後は下落が続き、2023年7月には27.4ETHまで下がりました。2026年春には5ETH前後まで下がった後、5月に約10ETHまで戻したと報じられています。著名人が2022年初めに約130万ドルで購入したBAYCの1点は、2026年時点で約1万2,000ドル相当と伝えられました。

旧版の記事は「長期的に非常に安定したリターンを得られる」と書いていましたが、実際の推移はその逆で、最高値の時期に買った人の多くは大きな含み損を抱えることになりました。

Goblintown:急騰の後に大きく下落

Goblintownは2022年5月に無料で配られた、醜いゴブリンを描いたNFTです。旧版の記事は「3.9ETHから8.95ETHへ上昇中で、注目の投資対象」と書いていましたが、この急騰は話題性によるもので、その後価格は大きく下がり、2025年時点では最低価格が数百ドル程度の水準と報じられています。

旧版は作品の題材を「流行したNew Crown(新型コロナ)」と説明していましたが、制作者が新型コロナを題材にしたと公表した事実は確認できませんでした。制作者は2022年6月に、米国のスタジオTruth Labsであることを明らかにしています。詳しい経緯はGoblintownの解説記事で扱っています。

Axie Infinity:ハッキングと「稼げる」前提の崩壊

Axie Infinityは、ベトナムの開発会社Sky Mavisが手がける対戦型のゲームで、プレイヤーは「Axie」と呼ばれるキャラクターを集めて戦わせます。遊びながらトークンを得て換金できる「Play to Earn」の代表例として、2021年にフィリピンなどで利用者が急増しました。

しかし旧版の記事が出る3か月ほど前、ゲームのために作られたチェーンRoninと外部を結ぶ仕組みが攻撃を受け、当時の価格で6億ドルを超える暗号資産が盗まれていました。米財務省は北朝鮮のハッカー集団の関与を指摘しています。その後、ゲーム内で得られるトークンの価格も大きく下がり、「遊ぶだけで稼げる」という前提は成り立たなくなりました。

運営会社はその後もゲームの改良を続けていますが、2021年のような「収入源」としての役割は失われています。

旧版の記事は、フィリピンで開かれる大会に多くの投資家が集まるだろうと書いていました。大会やイベントは話題づくりには役立ちますが、ゲーム内の経済が参加者の入れ替わりに依存している限り、新しい参加者が減ると報酬の価値も下がるという構造は変わりません。Play to Earnの仕組みを検討するときは、報酬がどこから生まれているのかを確かめることが重要です。

「ゆうぼう(YuBo)」は確認できなかった

旧版の記事は5件目として、オンライン交流アプリ「ゆうぼう(YuBo)」のNFTシリーズ「ゆぼランド」を挙げ、「NBAスター御用達で最高800ETH」「10%のロイヤリティで再販できる」と紹介していました。

しかし、これらの記述を裏付ける公式の情報や報道は確認できませんでした。フランス発の若者向け交流アプリとしてYuboというサービスは存在しますが、そのアプリがこうしたNFTシリーズを発行したという公式発表は見つかっていません。別のプロジェクトとの混同や、翻訳の誤りである可能性があります。

確認できない情報をもとに「投資価値が高い」と紹介することは、読者の判断を誤らせるおそれがあります。本稿ではこの項目について、確認できなかったという事実だけを記します。

SNSの評判や推奨を読むときの注意点

X(旧Twitter)などのSNSは、NFTの情報が最も早く出回る場所です。一方で、話題になっていることと価値があることは同じではありません。SNS上の推奨を見るときは、次の点を確かめてください。

  • 投稿者が保有しているか:保有者は価格が上がると得をするため、良い面を強調しがちです。
  • 報酬を受け取っていないか:プロジェクトから報酬を受け取って宣伝する例は少なくありません。暗号資産分野のインフルエンサーの広告料の実態はインフルエンサー広告料の流出に関する記事も参考になります。
  • 数字の出どころ:「最高○ETH」といった数字が、実際の成約価格か、出品価格や一部の取引だけかを確認します。
  • 期間:「長期的に利益」という言葉が、どのくらいの期間を指しているのかを確かめます。

日本では2023年10月1日から、広告であることを隠した宣伝(いわゆるステルスマーケティング)が景品表示法の不当表示として規制されています。事業者が依頼した投稿には、広告であることを分かるように示す必要があります。

4年間の推移から見えること

当時挙げられたNFTのうち、CryptoPunksとBAYCは今も取引が続く代表的なコレクションですが、価格は最高値から大きく下がりました。Goblintownは急騰と急落を経験し、Axie Infinityは「稼げるゲーム」という前提を失いました。5件目は実在自体を確認できませんでした。

「有名だから」「SNSで話題だから」という理由は、価値が長く続く根拠になりません。NFTを検討するときは、運営の体制、保有者が得られる権利、取引の実態を自分で確かめ、失っても生活に影響しない範囲にとどめることが大切です。日本の居住者がNFTを売って利益が出た場合は、所得として申告が必要になる点も忘れないでください。

よくある質問

Q. CryptoPunksは今誰が管理していますか?

A. 2025年5月に、非営利団体Infinite Node FoundationがYuga LabsからCryptoPunksの知的財産権を取得したと発表しました。もともとは2017年にLarva Labsが公開した作品です。

Q. BAYCの価格はどう推移しましたか?

A. 最低価格は2022年4月の約153.7ETHが最高値で、2023年7月には27.4ETHまで下がりました。2026年春には5ETH前後から約10ETHまで戻したと報じられています。

Q. SNSで紹介されているNFTは信用できますか?

A. 投稿者が保有者であったり、報酬を受け取っていたりする場合があります。数字の出どころや投稿者の立場を確かめ、SNSの評判だけで購入を決めないことが大切です。

Q. 日本でNFTの宣伝を依頼された投稿は規制されますか?

A. 2023年10月1日から、広告であることを隠した宣伝は景品表示法の不当表示として規制されています。事業者が依頼した投稿は、広告であることを示す必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。