【4月7日】関税動画の誤解とSEC再検討、Web3事業の資金難

2025年4月7日の暗号資産市場では、関税政策への警戒と、個別のWeb3事業の資金繰りに関するニュースが重なりました。トランプ大統領が共有した動画には、本人の発言と混同できない主張が含まれています。SECでは過去のスタッフ声明の再検討が話題となり、PhaverやShrapnelでは事業継続に関わる報道が出ました。

一方、SolanaのDeFi指標にはSOL建てとドル建てで見え方が異なる部分があります。当日昼までの情報をもとに、発言の主体、数字の対象期間、これから発表される指標を整理します。

「暴落は故意」は共有動画の主張、本人の直接発言ではない

トランプ大統領は4月4日、株価下落を意図的な戦略と説明する動画をTruth Socialで共有しました。APの検証記事によると、「故意に市場を下落させている」という趣旨の言葉は動画のナレーションです。大統領本人が会見でそう語った発言として引用することはできません。

動画にはWarren Buffett氏が政策を高く評価したという主張もありました。しかし、Berkshire Hathawayは同日、SNS上でBuffett氏のコメントとして流通している情報は虚偽だとする声明を出しています。著名人の映像が使われていても、音声や字幕の説明まで本人が認めたとは限りません。

共有したという行為は確認できても、それだけで政策の隠れた目的が立証されるわけではありません。市場下落という結果と、最初から下落を狙ったという意図の推定は区別する必要があります。関税政策を評価する際は、動画が描く物語よりも、実際の税率や対象、企業・家計への影響を確認することになります。

暗号資産の値動きについても同様です。株式と同じ時間帯に下落していても、一つの投稿がすべての売買を引き起こしたとまではいえません。政策発表、市場の反応、その反応を説明する論評を分けると、見出しによって事実以上の意味を読み込むことを避けられます。

SECのスタッフ声明再検討は、撤回や法改正の完了ではない

SECのMark Uyeda委員長代行は4月5日、複数のスタッフ声明を再検討するよう求めたと公表しました。Crypto Briefingが紹介したSEC公式投稿では、現在の方針に合わせて修正・撤回すべき声明を特定することが目的とされています。対象には、デジタル資産の投資契約分析、ビットコイン先物を扱うファンド、カストディなどに関する文書が含まれます。

ここでの「見直す」は、対象文書をすべてその日に撤回したという意味ではありません。また、スタッフが示す解釈を見直す作業と、議会が法律を改正すること、委員会が規則を変更することも別の手続きです。暗号資産の全取引が一括して規制対象外になった、と読む根拠にはなりません。

2019年の投資契約分析の枠組みについても、当時のSEC公式説明は、スタッフの見解であり、委員会の規則ではなく、既存の法令を置き換えないと明記していました。文書の名称だけでなく、誰がどの権限で公表したものかによって、変更が及ぼす範囲は異なります。

事業者にとっては、何を登録・開示すべきか、資産をどのように保管すべきかを判断する際の説明が変わる可能性があります。続報では、検討開始という方針に加え、実際にどの文書がどう変更されたかを確認する必要があります。

Phaverの運営停止報道、トークン価格と運転資金の関係

Odailyは4月6日、DeFi研究者Ignas氏の報告として、Web3ソーシャルアプリPhaverが運営を停止したと伝えました。同報道によると、SOCIALトークンは2024年9月のTGEから約99%下落しています。TGEはトークンの生成・配布開始などを指す業界用語で、事業の収益化が完成したことを意味するものではありません。

報道で紹介されたチーム側の説明には、配布時の技術的な問題、取引所への上場費用、十分な運転資金を確保できなかったことが挙げられています。停止の経緯は研究者を通じて伝えられた説明として読む必要があり、ここから全ての債務額や資産残高が確定するわけではありません。

事業用トークンを保有していても、給与やサーバー代に充てる現金が十分あるとは限りません。価格が下落したとき、運営側が資金を得るために大量売却すれば市場への影響も大きくなり得ます。トークンの評価額と、継続してサービスを提供できる資金は別の尺度です。

また、アプリの運営停止とブロックチェーン上のトークンの消滅も同じではありません。資産がウォレットに残っていても、アプリ独自の機能やサポートが続く保証にはなりません。利用者にとっては、運営告知、残っている機能、資産やデータへのアクセス方法を個別に確認することが重要です。

Shrapnel開発元の財務報道は、累計と単年を分けて読む

Blockworksは4月4日、ゲームShrapnelを開発するNeon Machineについて、内部資料と関係者の説明に基づき財務上の問題を報じました。記事が示す約8,690万ドルの運営費は設立以来の累計です。一方、約2,170万ドルのサービス収入は2024年の数字で、この二つをそのまま比較して単年の赤字を計算することはできません。

同報道が示した2024年の運営費は約3,300万ドル、純損失は約1,140万ドルでした。費用・収入・損益には会計上の区分もあるため、丸めた数字の単純な差額だけで完全な決算表を再現できるわけではありません。これらはBlockworksが確認した非公開資料に基づく報道値です。

会社側の説明も併記する必要があります。CEOのKenneth Rosman氏は4月2日付の回答で、資金調達は終盤にあり、進展していると述べています。報道された資金難を、そのまま破産手続きの開始やゲームの終了が確定したというニュースに置き換えることはできません。

ゲーム開発では、先行して費用が出る期間と、発売・販売で資金を回収する期間が離れます。過去に多額の資金を集めた実績があっても、現在の現金残高や追加調達の成立を保証しません。開発進捗だけでなく、継続に必要な資金をいつ確保できるかが事業上の焦点です。

SolanaのTVLはSOL建てで高水準、価格とは別の指標

Cointelegraphの記事を掲載したHTXの4月4日付報道は、DefiLlamaのデータとして、4月2日のSolanaのTVLが約5,380万SOL相当になったと伝えました。比較は2022年6月以来の高水準で、無条件に「過去最高」と言い換えるべきではありません。同記事が示したドル換算額は約65億ドルです。

TVLはDeFiなどに預けられた資産の価値を集計する指標です。Solana上のサービスにはSOL以外の資産もあるため、SOL建ての表示を、全てが現物SOLの預入数量であるかのように読まないことが大切です。どの資産を数え、何の通貨で価値を表示しているかを確認する必要があります。

例えば、ドル換算の総額が変わらなくても、換算に使うSOL価格が下がれば、SOL建ての値は大きくなります。したがって、SOL建てTVLの増加だけで、新規資金が同じ割合で入ったと結論づけることはできません。集計対象や同じ期間のドル建て推移も併せて見る必要があります。

報道ではJito、Jupiter、Kaminoなどが主要なサービスとして挙げられています。ただし、アプリに資産が集まることと、SOLを買いたい人が増えて価格が上昇することは同義ではありません。利用状況を見るには、預入額に加えて取引や借入などの活動を確かめる方が、単一の数字よりも実態に近づけます。

今週は3月分CPIとPPI、4月の関税効果と混同しない

4月7日は月曜日です。BLSの公表日程では、同じ週の4月10日に3月分の消費者物価指数(CPI)、4月11日に3月分の生産者物価指数(PPI)が予定されています。時刻はいずれも米東部時間8時30分で、日本時間では同日21時30分です。「来週」とするより、日付と対象月を明示した方が誤解を防げます。

CPIは消費者が購入する財・サービスの価格、PPIは生産者が受け取る販売価格を異なる範囲で捉える指標です。同じ物価関連でも調査対象が違うため、一方の変化が同じ幅で他方に移るとは限りません。企業の利益率や価格転嫁の時期も関係します。

今回公表されるのは3月の動きであり、4月に発表・変更された関税の影響をすべて直接示すものではありません。発表日が関税ニュースより後でも、調査対象月が前なら時間の順序は変わりません。政策変更後の物価への波及は、続く月の統計や企業の対応で確かめることになります。

市場では金利見通しやトークンの供給予定も話題になりますが、その予測が示された時刻や条件を省くと意味が変わります。アンロックは売却可能になることと実際の売却を区別する必要があります。この週は、確認できた事実と、まだ結果の出ていない予定を分けてニュースを追うことが重要です。

よくある質問

Q. トランプ大統領は自分の言葉で「暴落は故意」と語ったのですか?

A. 本稿で確認したのは、そう主張するナレーションを含む動画を共有したという報道です。本人の直接発言や、政策の意図が立証された事実として扱うことはできません。

Q. SECの再検討で暗号資産規制は撤廃されましたか?

A. 再検討の指示と、声明の撤回や法改正の完了は別です。変更対象となる文書と、その法的な位置づけを個別に確認する必要があります。

Q. SOL建てTVLが増えればSOL価格も上がりますか?

A. そうとは限りません。預入資産の構成や換算価格でTVLの表示が変わるため、ドル建ての値や実際の利用状況と分けて読む必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。