
【要約】
・TUSDの裏付け資産を巡り、Techteryx社と受託会社First Digital Trust(FDT)との間で大規模な訴訟が勃発し、トロン創始者の孫宇晨(Justin Sun)氏が約4.56億ドルで救済
・Binance(バイナンス)は独自のリスク管理方針を強調しつつ、FDUSDを上場後も状況を精査
・過去の強気相場でETHを大量保有していたクジラが2000ETHを売却し大きな利益を得た可能性
・USDCを発行するCircleが再度IPOを目指すが、評価額や収益モデルへの懸念が浮上
・ETH Hangzhouでの開発者コミュニティの声から見ると、イーサリアム価格の新高値更新は数年先になるという悲観的見方が多数
TUSD巨額資金をめぐる訴訟:4.56億ドルの救済劇
ステーブルコインTUSD(TrueUSD)の発行元であるTechteryx社は、もともとTrueCoinから2020年12月に同ステーブルコインを取得し、香港拠点の受託機関First Digital Trust(FDT)に裏付け資産を管理させていました。しかし、約4.56億ドル相当の資金が無許可でドバイ拠点のAria Commodities DMCCという別法人に移されていた疑いが浮上。これに対し、Techteryx社は「大規模な詐欺行為」であるとして香港裁判所に訴訟を提起しています。
問題の根底には、FDTがTUSDの準備金をケイマン諸島登記のAria Commodities関連ファンドへ投資するよう求められたにもかかわらず、実際には流動性の低い事業へ資金が振り向けられていた点があります。Techteryx社によれば、資金の回収がほぼ不可能になったため、投資家保護として4億枚のTUSDを隔離し、ユーザーの引き出しに支障が出ないよう対策を講じました。さらに、資金不足を補うためにトロン創始者の孫宇晨(Justin Sun)氏が約4.56億ドルを拠出し、TUSDに流動性を与える救済措置をとったことが明らかになっています。
なお、FDT側は訴えられた事実を否定し、「指示通りに投資を執行しただけ」と主張。一方、投資の実態を巡る不透明な取引やコミッション支払いなどが指摘され、両者の主張は平行線をたどっています。
Binanceが語るFDUSDへの向き合い方:リスク管理の存在感
Binanceは、同社が新たに打ち出したステーブルコインFDUSDを巡り、何らかの懸念が持ち上がったとの声を受け、共同創業者の何一(He Yi)氏がX(旧Twitter)でコメントを発信しました。
「私たちには独自のリスクコントロールがある」と述べ、FDUSDを上場後も継続して資金の裏付け状況や信頼性を調査中であると説明しています。また、「孫氏が深夜にツイートした内容は予想外だった」としつつ、「私たちBinanceは常にロジックに基づいて判断し、必要があれば関係各所と連絡を取る」と強調しました。
ステーブルコイン市場では、TUSDやUSDCをはじめ複数の通貨が主流となっていますが、FDUSDはローンチされたばかりであり、流動性や信頼性確保のための対応が今後さらに注目される見通しです。
イーサリアムクジラの動向:過去のETHを大量利確?
暗号資産分析によると、2017年頃からイーサリアム(ETH)を長期保有していた大口投資家(クジラ)が2000ETHを売却した可能性があり、取得コストが1ETHあたりおよそ272ドルだった場合、約327.3万ドルの利益を得たと推測されています。
さらにこのクジラは、1か月前から合計5000ETH以上を売却しているとみられ、推定で約867.8万ドルの利益が確定したと分析する声もあります。こうしたクジラによる大規模売却は一時的に市場に下押し圧力をかける可能性があり、イーサリアム価格への影響が懸念されています。
Circleの再IPO挑戦:評価額と利益率に暗雲
ステーブルコインUSDCの発行元であるCircleは、以前からSPAC(特別買収目的会社)との合併を通じての上場を試みていましたが、米SECの承認が得られずに終わっていました。
今回、Circleは再びニューヨーク証券取引所での直接IPOを目指す方針を示し、すでにSECに書類を提出。株式コード「CRCL」を用いる予定とされています。しかし、招股説明書からは以下のような課題が浮上しています。
- 評価額の下落
過去の合併交渉時は90億ドル超ともされた企業価値が、現在は40~50億ドルまで低下したともいわれ、市場からの評価は大幅に下振れしている。 - 収益源が金利に依存
Circleの収益の大半はUSDCの準備資産である米国債の利息によるものだが、もし金利が低下すると収益が激減するリスクが高い。 - Coinbaseとの高率な利益分配
USDC流通に関わる主要パートナーであるCoinbaseに対し、残余収益の最大50%を分配しなければならず、Circleの最終利益を圧迫している。
以上のように、Circleのビジネスモデルは金利動向や提携先の方針によって不確実性が大きいと指摘されており、IPO後の投資家から厳しく評価される可能性があります。
ETH Hangzhouの現場から見るイーサリアムの今後
イーサリアムコミュニティの注目イベント「ETH Hangzhou」が開催され、技術者や投資家、コミュニティメンバーなどが集結しました。現地での声を拾うと、今後2~3年のうちにETHが過去最高値(約4800ドル)を超えるのは難しいと見る悲観的な意見が大勢を占めているようです。
多くの参加者はイーサリアムの技術的潜在力には期待を寄せていますが、L2拡張による主チェーン(L1)の価値薄れや、世界計算機としてのイーサリアムという“叙事(ストーリー)”の勢いがやや失速している点を懸念材料として挙げています。さらに、今後はDeFi・NFTに続く「次の大きな波」が明確に訪れない限り、大幅な資金流入による価格上昇は遠のくのではないかという見解も目立ちました。
一方で、技術開発の進行や法規制の整備により、より多くの伝統企業や機関投資家が参加し始めれば、市場の地合いは一気に変わる可能性も否めません。イーサリアムのステーキングや新しいロールアップ技術など、根幹を成すエコシステムの拡充に期待する声もあり、「長期目線ならば依然として成長余地が大きい」という前向きな姿勢がうかがえます。
グローバルな金融不安や規制強化の動きが続く中で、ステーブルコインを巡るトラブルや大口投資家の動向、さらには主要プロジェクトの上場計画が複合的に絡み合い、仮想通貨市場は改めて変動局面に立たされています。イーサリアムを含めた主要銘柄の価格に直接影響を与えるファンダメンタルズは、これからも刻一刻と変化していくでしょう。各プロジェクトや投資家の動きを注視し、健全な市場の発展が促されることが期待されています。