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【要約】
・MEMEコインの「工業化RUG」:短時間で複数のトークンを発行・売却する手法が横行し、投資家が高い確率で資金を失う危険性が指摘されています。
・アルゼンチン大統領のLIBRA騒動:大統領が投稿後に削除したMEMEコインLIBRAは、実際には私企業のプロジェクトと発表され、チームの大規模な資金回収が明らかに。
・BNB Chainの新施策:440万ドル相当のMemecoin流動性支援プランを公表。
・SECや規制の動向:アメリカ証券取引委員会が加密資産の新たな規制アプローチを検討、イーサリアムETFのステーキング容認の可否が焦点に。
・トランプと金再評価の観測:米国の金保有高を市場価格で再評価する可能性が取り沙汰され、黄金市場の行方にも注目が集まっています。
MEMEコインの「工業化RUG」——日々量産される高リスク投資
近年、仮想通貨市場の一角として注目を集めるMEMEコインは、一攫千金を目指す投資家が絶えず参入する一方で、極めて高リスクな投機の温床ともなっています。とりわけソラナ(Solana)系の一部プロジェクトでは、いわゆる「工業化RUG」と呼ばれる手口が横行し、開発者自身が複数の新規トークンを短期間に発行しては、自己の保有分を短時間で売り抜けて利益を確定し、残された投資家が大きく損失を被るケースが報告されています。
あるアドレス(FrRqE…)の例によると、3日間で11種類ものMEMEコインが発行・売却され、計2万5,000ドルほどの利益が得られたと見られます。さらに、開発者が大口購入したトークンを一時的に400以上のウォレットに分散し、監視ツールの目を欺いたうえで、買いが集まった直後に一斉売却し“瞬間的に”トークン価値がほぼゼロに落ちるという流れが確認されました。
勝率1%以下の「万分の一」
調査によれば、こうした短期発行のMEMEコインは1日でほぼ価値が落ち切り、1カ月以上存続し、市場評価額5万ドル以上を保つものはほんのわずか、全体の0.01%程度にすぎないとの分析もあります。その残存率の低さから「散戸(一般投資家)にはほぼ勝ち目がない」とされ、投機が投機を呼ぶ構図によって、高リスクがますます増幅されているのが現状です。
アルゼンチン大統領のLIBRA騒動——投稿削除と資金流出疑惑
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が、自身のSNS上でMEMEコイン「LIBRA」を紹介する投稿を行い、注目を浴びました。しかし、その後大統領は「プロジェクトの詳細は把握していなかった」として投稿を削除。実際の開発元であるKIP Protocolも「LIBRAは私企業のもので、大統領は関与していない」と発表しました。
一方で、LIBRA側からは大規模な資金回収が行われたとのチェーン上の分析も報告されています。8つの関連ウォレットが約1億700万ドル分の資金を回収し、さらに複数のウォレットが同時に売却するなど、典型的な「内部者」による利益確定の動きが指摘されました。
投資家の中には、Solana上で約200万ドル(約14,214 SOL)を投じてLIBRAを購入後、2時間以内に大幅下落を被って損失を確定した事例もあり、短期的な投機がいかにリスクを伴うかを改めて浮き彫りにしています。
規制当局の新たなアプローチ——米SECとステーキングETFの可能性
仮想通貨業界の法整備は先行き不透明な状況が続きますが、アメリカ証券取引委員会(SEC)の「加密通貨特別行動チーム」が、複数の業界参加者と会合を行い、ETH(イーサリアム)をはじめとするETF(上場投資信託)にステーキングを含める可能性などについて議論したことが明らかになりました。ニューヨーク証券取引所Arcaも、グレイスケールのイーサリアムETFにステーキング機能を導入する要望を提出し、今後の判断が注目されています。
また、SECとCoinbaseの長期的な法廷闘争では、Coinbase側が提起した訴訟手続きに対してSECが回答期限の延期を求める動きがあり、まだしばらく紛争が続く見込みです。さらに複数のアメリカ州が、州としてビットコインやその他のデジタル資産を投資対象に含める法案を提案しており、米国内での規制・法整備の輪郭が少しずつ変化しているとも言えます。
BNB Chainやその他プロジェクトの最新動向
大手取引所バイナンスの独自チェーンであるBNB Chainは、2月18日から約440万ドル規模のMemecoin流動性支援策を開始すると発表しました。流動性が認められたプロジェクトに対しては、BNBとMEMEコインを半分ずつプールに追加し、その資金を引き上げずに残すことでエコシステムを活性化させる狙いがあります。
一方、FTX破綻後の弁済に関しては、初回の分配が2月18日から始まり、KYC手続きなどが完了していない顧客には次の段階で支払いを行う方針が明らかにされました。
また、Tetherがイタリアの有名サッカークラブ「ユヴェントス」の株式を一部取得したというニュースや、AI領域の検索エンジンを手掛けるKaito AIが独自トークン「KAITO」の発行を準備しているなど、独自の動きを見せる企業も注目されています。
投資家の大損失事例と揺れるコミュニティ
LIBRA関連では、複数の投資家がわずかな時間で大損失を出しており、ソラナ上の再質押プロトコル「Solayer」共同創業者が200万ドル超の損害を被ったとSNSで公表。さらに、関連する開発チームへ反撃を示唆する発言も見られ、コミュニティの混乱が続いています。
また、BNB創始者の一人である何一氏が、30日間で約7.7%の下落が確認された投資ポートフォリオの画面を公開。主要保有はBNBが約89%を占めるものでしたが、市場環境の厳しさをうかがわせる事例とも言えます。
MEMEコインをめぐる投資トレンドについて、バイナンスCEOのジャオ・チャンポン(CZ)氏はSNS上で「注意を呼びかける一方、人々の需要がある限りメカニズムは発展していく」と述べるも、投稿を削除するなど微妙な姿勢が浮き彫りとなっています。
トランプと金再評価の観測——仮想通貨市場への影響は?
最後に、金市場でも気になる動きが報じられました。ドナルド・トランプ前大統領が、もし復職した場合に米国の金保有を実勢価格(オンスあたり約3,000ドル)で再評価し、国家の資産価値を底上げする可能性があるという観測が一部で浮上しています。正式な発表はなく、あくまで市場関係者の推測にとどまりますが、もし実施されれば金市場のみならず、代替資産としてのビットコインや仮想通貨全般への波及も無視できないという指摘があります。
いずれにしても、仮想通貨やメタル資産の動向は不安定な要素が多く、投資家は各国規制や政治情勢、そして新手の詐欺・投機スキームに注意を払う必要があります。特にMEMEコインは、極めて短命なプロジェクトと工業化された収益モデルが入り乱れる「ハイリスク帯域」であることを改めて意識しておく必要があるでしょう。