2024年12月9〜15日仮想通貨予定|Microsoftと会計基準

2024年12月9〜15日の週は、企業や自治体がビットコインをどう扱うかという議論と、暗号資産サービスの変更が重なる時期でした。Microsoftの株主総会、バンクーバーの市議会、MOVEの現物上場に加え、米国会計基準の適用開始条件も注目点です。

この記事は12月9日に掲載した週間予定の整理です。以下の日時や金利は当時の告知・議案に基づくもので、現在のサービス条件ではありません。発表された予定と実施結果を混同せず、特に「投資の評価」「購入の決定」「会計上の測定」を分けて紹介します。

12月9日前後:Skyの貯蓄金利と借入コスト

Sky Protocolでは、12月6日付の臨時実行提案が週間予定の前提になりました。内容はDai Savings Rate(DSR)を8.50%から11.50%へ、Sky Savings Rate(SSR)を9.50%から12.50%へ引き上げるものです。いずれも上昇幅は3パーセントポイントであり、従来の金利を単に3%増やす計算ではありません。

同じ提案には複数の担保保管庫の安定化手数料の変更も含まれます。例えばETH-Aは9.25%から12.75%、WBTC-Aは12.25%から16.25%への変更が示されました。貯蓄側の受取金利だけを見ると好条件に映りますが、担保を預けて借りる側では資金調達コストも上がる構成です。

公式提案は、可決後も当時30時間の待機期間を経てから変更が有効になると説明しています。投票ページの日付を、そのまま全利用者の適用開始日時と読むことはできません。また、提案された金利は変動し得るプロトコルの設定値です。銀行預金のように一定期間の受取額が保証された商品だと解釈せず、貯蓄と借入のどちらの条件を示すかを確認する必要があります。

12月9日:OKXのMOVE現物取引開始予定

OKXは12月4日の告知で、MovementのMOVEについて、12月9日12時UTCにMOVE/USDTの現物取引を開始すると案内しました。日本時間では同日21時に当たります。取引開始前の11〜12時UTCには注文を集めるコールオークションを実施する日程でした。

入金受付は12月4日6時UTC、出金開始は12月10日10時UTCと、売買とは別に設定されています。トークンを取引所に送れること、板で売買できること、外部ウォレットへ出せることは同時とは限りません。上場日だけを見て送金や売買の可否を判断すると、この時間差を見落とします。

告知では取引開始後5分間、成行注文を認めず、指値注文一件当たりの金額を1万ドル以内とする制限も示されました。これは開始直後の注文ルールであって、MOVEの価値を取引所が保証する措置ではありません。なお、ここで確認したのはOKXの上場予定です。ほかの取引所の時刻や、プロジェクト全体のトークン配布条件まで同じだと読み替えることはできません。

12月10日:Microsoftの議題はBTC投資の評価

Microsoftの年次株主総会では、ビットコインへの投資を評価し、その内容を公表するよう求める株主提案が議題となりました。提案者は公共政策を扱う団体NCPPRです。会社の資産にBTCを含めることが株主の利益になるか検討を求めるもので、購入金額や購入日を直接承認する議案として扱うのは不適切です。

後日掲載された公式の総会記録でも、議題は投資の評価に関する提案と説明されています。取締役会は当該提案を含む株主提案への反対を推奨していました。推進する株主側の意見が総会で紹介されることと、経営陣が同じ方針を採用することは別です。

総会での補足説明では、CFOのAmy Hood氏が、会社の資金運用では元本の保全、事業や投資に使える流動性、収益の確保を重視すると述べています。暗号資産も評価対象に含めるという説明であり、検討対象に入っているから購入が決まったとはいえません。週間予定として注目すべき点は、大企業がBTCを保有すると断定することではなく、資金管理の目的に照らした議論が株主総会で行われることでした。

12月10日:BinanceのSTPは自己約定防止

Binanceは11月25日の公式告知で、12月10日6時UTCから先物利用者にSelf-Trade Prevention(STP)を必須化すると案内しました。日本時間では15時です。更新には24時間程度を見込み、その間は先物WebSocket APIが断続的に切断される可能性にも言及していました。

STPは「自己約定防止」の機能です。意図せず自分側の注文同士が成立してしまうことを防ぐための仕組みであり、自動売買を禁止する機能ではありません。APIを使った注文そのものを止めるのではなく、自己約定を生じる注文の処理を制御します。原語のSelf-Tradeを自動取引と訳すと、利用者への影響が大きく変わってしまいます。

今回の対象はUSDⓈ建てとコイン建ての先物で、既定のモードはEXPIRE_MAKERとされました。このモードでは、自己約定に関係する既存のメイカー注文の未約定分を失効させ、その後のテイカー注文は通常の処理を続けると説明されています。告知は更新前に作成した注文との組み合わせでは自己約定が起こる場合も挙げており、すべての過去の注文まで一律に保護されるとの説明ではありません。

12月11日:バンクーバーは実現可能性を調べる議案

バンクーバーの市議会では12月11日、財務準備の分散を通じて購買力を守るという趣旨の議案が審議対象となりました。提案には、税金や手数料をBTCで受け取ることや、市の準備資金の一部をBTCに転換する可能性が挙げられています。ただし、議案の決議部分が求めたのは、こうした選択肢の包括的な分析です。

職員に対して、実現可能性、リスク、潜在的な利点を調べ、2025年第1四半期末までに市議会へ報告するよう求める内容でした。資産の保管や管理、必要な法改正の検討、住民や専門家との対話も含まれます。したがって、この議案を「市が直ちにBTCを買う」「税金のBTC払いが始まる」という予定に置き換えることはできません。

提案理由にはBTCが購買力の保全に役立つとの主張がありますが、それは提案者の政策的な見立てです。市の資金運用では価格変動だけでなく、法的に保有できるか、支払いに必要な現金を確保できるか、鍵を誰が管理するかも問題になります。調査を求める議案と具体的な資産購入は、政策決定の段階が異なります。

12月15日を境に見るFASB新基準の適用条件

米国財務会計基準審議会(FASB)のASU 2023-08は、一定の暗号資産について、各報告期に公正価値で測定し、価値の変動を純損益へ反映する基準です。重要なのは適用日の表現で、「2024年12月15日より後に開始する会計年度」と、その年度内の中間期が対象となります。12月15日にすべての企業が一斉に切り替えるという意味ではありません。

例えば暦年を会計年度とする企業では、通常は2025年1月1日から始まる年度が該当します。早期適用も認められています。新基準を採用する時点での調整をどう扱うかも定められており、単に保有BTCの価格が上がった日から自由に利益を計上できるというルールではありません。

対象資産には六つの要件があり、暗号技術で保護され、代替可能であることなどが求められます。NFTは代替可能性の要件を満たさず、この基準の対象外です。また、報告企業自身や関連当事者が発行した資産も除外されます。米国会計基準の改訂を、日本を含む世界中の全企業・全トークンにそのまま適用することはできません。会計上の評価方法の変更は、企業にBTC購入を義務づける制度でもありません。

週の前提となるAUSTRACのATM監督強化

オーストラリアのAUSTRACは12月6日、暗号資産ATMに関わる金融犯罪対策を公表しました。暗号資産交換業者のうちATMサービスを提供する事業者が、最低限の基準を満たし、詐欺などの犯罪収益を移す手段として機械が使われるリスクを把握・低減できるよう、内部の専門チームで対応するという内容です。

これは12月9〜15日の間に初めて発表される予定ではなく、週に入る前に公表された監督上の動きです。ATMの台数が増えることと、利用者や取引内容を確認する体制が整うことは同じではありません。取扱事業者の犯罪対策に焦点を当てた発表であり、ATMを利用した取引すべてを犯罪と位置づけるものでもありません。

この週の予定を読む際は、こうした監督の発表、取引所の運用変更、企業の株主提案をひとまとめに「暗号資産の採用が進む」と評価しないことが大切です。それぞれ変更する対象も決める主体も違います。日付に加えて、誰が何を決め、次にどの手続きが残るのかまで見ると、週間ニュースの意味がつかみやすくなります。

よくある質問

Q. Microsoftの議案はBTCの購入を決めるものですか。

A. 投資の評価を求める株主提案です。評価の実施、提案への賛否、実際の購入判断を同一視することはできません。

Q. BinanceのSTPで自動売買は禁止されましたか。

A. STPは自己約定防止です。API注文を含む自動売買全体を禁止する発表ではなく、自分側の注文同士が成立することを防ぐ機能です。

Q. FASBの基準は2024年12月15日から全企業に適用されますか。

A. 基準の表現は12月15日より後に開始する会計年度からです。米国会計基準における適用対象や暗号資産の要件もあるため、全世界の企業が同日に切り替えるわけではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。