2024年12月31日暗号資産ニュース|AI開発基盤とDeFi規則

2024年の終わりには、AIエージェントとDeFiの成長を期待する議論が広がった。一方で、市場の評価額と事業の収入、制度の発表と適用開始、開発中の機能と利用可能な機能が混同されやすい状況でもあった。12月31日時点の主な論点を、当時の資料と明示した後日追記に分けて整理する。

AIエージェントの市場規模は集計対象をそろえて読む

2024年末は、ai16zやVirtuals Protocolなど、AIエージェントと暗号資産を組み合わせるプロジェクトへの関心が高まっていた。ただし、関連トークンの価格上昇、ソフトウェアの利用増、運営側の売上は、それぞれ異なる指標である。「AI市場が拡大した」という表現だけでは、どの数字が増えたのかは分からない。

時価総額を比べるときには、集計日時と銘柄の範囲が重要になる。AI全般の分類には計算資源やデータ関連の銘柄が入り得る一方、AIエージェントの分類はその一部に限られる。異なる分類の合計を並べて、数週間で市場が縮小・拡大したと判断することはできない。

また、プラットフォーム自身のトークンと、その上で発行される各エージェントのトークンは同一ではない。エコシステム全体の評価額に含まれる銘柄を、別枠でも足せば重複する。市場シェアを求める場合は、分子と分母の銘柄一覧が必要だ。価格と流通数量から算出する時価総額を、投資家が実際に払い込んだ金額や事業の売上へ置き換えないようにしたい。

IRSのDeFi報告規則は、当時2027年の取引から適用予定だった

米財務省とIRSは2024年12月27日、一定のDeFiサービスに関係するブローカーの情報報告について最終規則を発表した。官報への掲載は12月30日で、規則が対象としていた報告は2027年1月1日以降の取引に関するものだった。発表された年と適用対象の取引年を区別する必要がある。

当時の説明では、顧客がデジタル資産を売却するために利用する一定のフロントエンドサービス提供者などが対象とされた。DeFiに関わるすべてのプログラム開発者を一律に同じ扱いにする、という単純な内容ではない。また、報告する売却総額と、取得費用を差し引いた課税上の利益も異なる。報告制度の追加だけで、取引額すべてが利益になるわけではない。

【後日追記】この規則はその後、議会審査法に基づく不承認決議の対象となった。2025年4月10日に成立したPublic Law 119-5は、該当する規則を効力のないものとした。年末時点では将来の適用予定として報じられていたが、現在の手続きを案内する際に、その予定をそのまま使うことはできない。

なお、この撤回は暗号資産の利益に関する納税義務全般を廃止したという意味ではない。今回の特定の報告規則、他の仲介業者に対する報告制度、利用者自身の申告は別の論点である。どの制度についての発表なのかを確認すると、見出しだけによる誤解を減らせる。

DeFiの収益とトークン保有者への還元は別に確認する

Galaxyの2025年予測には、DeFiが収益分配を進めるという見方が含まれていた。この予測は2024年12月27日に顧客へ配信され、ウェブ版は12月31日に掲載されたものだ。将来の還元拡大を見込む論考であり、すべての主要プロトコルがすでに保有者へ利益を配っているという実績報告ではない。

収益性を見る際には、利用者が払う手数料の総額、そのうち流動性提供者などへ支払う部分、プロトコルに残る部分を分けたい。さらに、運営費や報酬を差し引いた後に何が残るか、残った資金を誰が管理するかも関わる。売買高が大きいサービスであっても、その全額が収入になるわけではない。

トークンへの還元方法にも違いがある。保有者への直接分配、買い戻し、焼却、ステーキングへの報酬は、それぞれ条件と受益者が異なる。新規発行による報酬なら、受け取る数量が増えても供給全体も増える可能性がある。単に利回りの数字を見るだけでなく、その原資と発行量を確かめることが必要だ。

ガバナンスで還元策が提案された段階と、可決され、実装され、実際に支払いが行われた段階も区別したい。2025年の投資テーマとして注目されることは、実行や利益を保証しない。予測を読むなら、実現を確かめるための指標までセットで考えると、後から期待と結果を比較しやすい。

GAME・Rig・ZerePyを当時の公開資料で比較する

AIエージェントの開発基盤は、対応言語だけで用途や性能の優劣が決まるものではない。2024年末の資料を読む際は、その時点で使えた機能と、今後の拡張予定を分ける必要がある。現在のドキュメントには後から追加された機能が含まれ得るため、過去の比較には当時の版が役立つ。

Virtualsの2024年12月30日時点のPython SDKには、GAMEを使ったX上のエージェント設定や、タスクを与えて動作させる機能が記載されていた。ゲームに限った基盤とはいえない。一方で、説明にあるすべての処理が全プラットフォームで同じように使えたわけでもなく、X向けの一連の処理と、他の用途で使う構成には違いがあった。

Rigの2024年12月19日のREADMEは、LLMを用いるアプリケーションを組み立てるRustライブラリと説明している。文章生成や埋め込み、モデル提供者やベクトルストアを扱うための共通の仕組みが主な特徴だった。Rustを採用していることだけを根拠に、他の基盤より推論が速い、企業導入が進んでいるとまでは判断できない。

ZerePyの12月31日朝までの公開版は、Pythonを使い、OpenAIやAnthropicのモデルでX上のエージェントを動かす仕組みを説明していた。Zerebroのバックエンドを部品化したものとされ、創作的な出力には独自モデルの調整が必要との案内もあった。導入するだけで同じ表現力が得られる、という説明ではない。

選定では、動かしたい場所、外部サービスとの接続、保存する情報、エラー時の復旧、運用費用を先に決めると比較しやすい。フレームワークの利用と関連トークンの購入も別の判断である。コードの公開や開発者の参加が増えても、それだけでトークン保有者に収益を受け取る権利が生じるわけではない。

BGBの8億枚焼却は同日夜の完了発表を区別

Bitgetは12月27日に、BGBの供給削減と継続的な買い戻し・焼却の方針を案内していた。年末の材料として注目されたのは、8億枚を焼却し、総供給を20億枚から12億枚へ減らすという内容だ。削減率は40%で、8億枚を市場から新たに買い集めたという意味ではない。

【同日後刻の追記】Bitgetによる完了リリースの配信は、12月31日米東部時間7時4分、日本時間では21時4分だった。この記事の当初公開時刻である13時55分より後にあたる。同リリースで、8億枚の焼却を完了したと発表している。予定の告知と、完了を伝える発表は分けて受け止めたい。

当時の説明では、2025年から取引所とウォレット事業の四半期利益の20%を買い戻し・焼却に充てる方針も示された。対象は利益であり、売買代金の20%や、保有者へ現金を直接配る制度ではない。これは年末に示された方針なので、その後の運用を確認するには各期の実施報告が必要となる。

供給の減少は価格を考える材料の一つだが、需要、取引量、売却可能な数量、将来の制度変更も価格に影響する。総供給が40%減ったことから、価格が必ず一定割合上がると計算することはできない。焼却の数量と対象となった保有分、継続策の原資を別々に見ることが重要だ。

2025年を見通すときは利用実績と期待を分ける

AI関連の暗号資産には、計算資源を提供する仕組み、データを扱う仕組み、モデルをアプリに接続する開発基盤、エージェントの発行や運営を支援する仕組みなどがある。これらは同じ顧客や収益源を持つとは限らない。AIという分類だけで、一つの技術発表がすべての銘柄に同じ効果を及ぼすと考えるのは早計だ。

利用実績を見る場合も、作成されたエージェントの数と、継続稼働している数、有料利用者の数は分けたい。試しに作られたボットが増えることと、費用を払って使われるサービスが育つことは同じではない。処理回数だけでは、同じ利用者による反復や自動処理の割合も分からない。

年末のニュースは翌年への期待を強く含む。制度では適用対象と日付、事業では収入の原資、技術では実装済みの範囲を確かめることで、その期待を検証できる形にできる。価格の勢いと確認可能な成果を切り分けて読む姿勢が、AIとDeFiの動向を追ううえで役立つ。

よくある質問

Q. DeFiの情報報告規則は2025年の取引から適用予定でしたか?

A. 当時の規則が報告対象としていたのは2027年以降の取引でした。さらに、その規則は2025年4月の法律成立で撤回されています。

Q. GAMEはゲーム専用のAI開発基盤でしたか?

A. 当時のPython SDKにはXでのエージェント運用やタスクに応じた動作の説明があり、ゲーム専用とはいえません。機能ごとの対応範囲には違いがありました。

Q. BGBの供給削減は値上がりを保証しますか?

A. 保証しません。供給以外にも需要や取引環境などが関わります。焼却は保有者への現金配当とも異なります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。