2024年12月3日暗号資産ニュース|HYPE配布と企業のBTC戦略

2024年12月初めは、HyperliquidのHYPE配布や、企業のBTC保有を巡る提案が注目された。新しい投資経路への期待も強まったが、上場候補への追加や申請書の提出は、その日に取引が始まったことを意味しない。12月3日前後の五つの話題について、数量、評価額、発表日、実施段階を整理する。Microsoftの株主総会結果など、後日確認できた出来事は時点を明記して補足した。

HYPEは3億1,000万枚を配布、ドル評価額には時点が必要

Hyperliquidは11月29日にHYPEを開始した。同日のBlockworks報道では、トークン供給量の31%に当たる3億1,000万枚をエアドロップへ割り当てたとされる。配布の比率が大きいことが、市場で注目された理由の一つだった。

ここで分けたいのが、トークンの数量とドル換算額である。3億1,000万枚という数量が同じでも、評価に使う価格が2ドルなら6億2,000万ドル、5ドルなら15億5,000万ドルになる。これは換算方法の例であり、受取人がその金額を現金で受け取ったことを示すものではない。

上場後に価格が上がれば、同じ配布を後から評価した額も大きくなる。そのため『史上最大』『今年最大』と比べるには、配布時価格か後日の価格か、実際に受け取られた数量か割当数量かをそろえる必要がある。本稿では、統一した条件で全案件を比較できていないため、最大規模との断定はしない。

また、旧稿が挙げた一人平均2万8,500ドルという数字は、評価日時と人数の定義を再確認できなかった。アドレス単位の集計を人の数に置き換えたり、一部の高額受取人を含む平均を典型的な受取額と考えたりすると、実態を誤解しやすい。

配布は既存利用者への還元や新たな参加のきっかけにはなるが、その後も使われ続けるかは別の課題である。継続利用を確かめるには、取引量だけでなく、参加者の残り方や取引の集中も見たい。受け取った資産の評価額と、売却を終えた実現利益を混同しないことも大切だ。

Saylor氏のMicrosoft向け提案はBTC購入の決定ではない

MicroStrategy共同創業者のMichael Saylor氏は、MicrosoftにBTCを企業財務へ組み入れる戦略を提案した。12月2日のDecryptは、その説明資料が共有されたことを報じている。BTCを企業価値の拡大に役立てるというSaylor氏の主張であり、Microsoft側が採用を決定したという発表ではなかった。

提案中の将来価値の試算は、資金をどう配分し、BTCがどう値動きするかなどの仮定に依存する。計算結果を、そのまま将来の利益予告や会社側の業績予想へ置き換えることはできない。資料の作成者による見方と、提案を受けた会社の判断は別である。

その後の12月10日、Microsoftの株主総会では、BTCへの投資を評価するよう求める株主提案が否決された。同社のForm 8-Kに記載された賛成比率は0.55%である。これは12月3日時点ではまだ先の出来事だが、提案がそのまま採用されたと誤解しないために結果を補足する。

議案の対象はBTC投資に関する評価であり、特定枚数を市場で買う発注そのものではない。また、この否決だけから、将来にわたってMicrosoftがあらゆる暗号資産関連事業を行わないと結論づけることもできない。何について議決したのかを読む必要がある。

企業財務では、資産の値上がりへの期待と、給与や設備投資に充てる現金の確保が同時に課題になる。他社で採用された戦略でも、必要な支払い時期や資金の余裕が違えば同じ判断になるとは限らない。著名な経営者の提案というだけで、受け手の購入や同業他社への普及まで確定したと考えるべきではない。

MOODENGはCoinbaseの上場候補へ追加された段階

12月2日のThe Crypto Timesは、CoinbaseがMoo Deng、MOODENGを上場ロードマップに追加したと報じた。記事が引用するCoinbase Assetsの案内は候補リストへの追加であり、同報道は正式な上場日が未確認だとしている。

候補に載ることと、売買注文を受け付け始めることは別である。入金への対応、売買の開始、利用できる地域などは、それぞれの案内を確認する必要がある。『上場発表』という短い見出しだけでは、どの段階まで進んだのかが分からない。

名称の由来となったMoo Dengは、タイで話題になったコビトカバである。旧稿にあった人間のインフルエンサーという説明を修正した。動物の人気を題材にすることと、その動物を飼育する施設がトークンの価値を保証することも同じではない。

ミームコインは題材への注目や取引環境の変化で売買が活発になることがある。しかし、人気の高さから継続的な収入や資産の裏付けが生まれるとは限らない。取引所が取り扱うことも、価格上昇を約束する仕組みではない。

同じような名称の資産がある場合、名前やアイコンだけで送金先を判断すると取り違えるおそれがある。利用画面が示す銘柄とネットワークを確認する必要がある。今回の記事が記録するのは当時の候補追加であり、現在の日本居住者向け取扱いを案内する一覧ではない。

WisdomTreeのXRP商品は12月2日の登録届出が確認できる

米国SECのEDGARには、WisdomTree XRP FundのForm S-1が12月2日に提出された記録がある。初期の目論見書は、XRPを保有して価格への連動を目指し、Cboe BZXへの上場を計画する商品を説明していた。

この資料には、内容は未完成で変更され得ること、登録届出が効力を持つまで証券を販売できないことが明記されている。したがって、書類を提出したという事実を、同日に販売や売買が始まったという意味に変えることはできない。

運用会社が商品を計画することは、投資への入口を増やそうとする動きではある。一方、実際にどれほどの資金が集まるかは、開始後の残高や設定・解約などを見なければ分からない。申請件数から、そのまま機関投資家による購入額を推定することはできない。

XRP価格の上昇と商品申請が近い時期に起きていても、一方だけが価格変化の原因だと確定するわけではない。取引需給、他のニュース、市場全体の動きも影響し得る。『申請が出たから値上がりした』という説明には、時間が近いこと以上の根拠が必要になる。

米国での手続きと、欧州の別の商品が上場していることも区別したい。似た名称の商品でも、法的な構造、保管の方法、費用、利用資格は異なり得る。12月初めの動きを理解するうえでは、まずどの国のどの商品が、どの書類を提出したのかを確かめることが有効である。

RumbleのBTC方針は最大2,000万ドルの裁量的な計画

企業のBTC保有に関する話題では、Rumbleの11月25日付発表も参照されていた。同社取締役会が承認したのは、余剰現金の一部をBTCへ配分する財務方針であり、購入枠は最大2,000万ドルと説明された。

公式発表は、購入するかどうか、時期、金額を経営陣の裁量に委ねている。市場環境、BTC価格、会社の資金需要などに左右され、方針を停止、終了、変更する可能性も記載している。この文章は、その額を既に使い切ったという取得報告ではない。

旧稿はRumbleを『大規模な購入を行った』企業として挙げていたが、ここで確認した発表では取得数量や平均購入価格は示されていない。企業による購入完了を確認するには、後日の残高や約定の開示が必要になる。承認された枠を、その日の市場への買い需要として合計するのは不適切だ。

Rumbleの説明では、BTC保有にはインフレ対策としての意義もあるとしていた。ただし、これは同社の戦略上の見方であり、短期間でも必ず購買力を維持するという保証ではない。資産の役割に対する期待と、個別の保有期間中の価格変動は分けて考える必要がある。

HYPEの配布、Microsoftへの提案、MOODENGの候補追加、XRP商品の届出、Rumbleの方針承認は、それぞれ進み方が違う。すべてを一括して『資金流入が実現した』と捉えると、ニュースの意味が変わってしまう。何が決まり、何がまだ計画や予測なのかを読み分けることで、当時の市場の期待と実際の行動を区別できる。

よくある質問

Q. HYPEの配布総額は受取人全員の現金収入ですか?

A. いいえ。トークン数量にある時点の価格を掛けた評価額と、実際に売却して受け取る金額は異なります。

Q. MicrosoftはSaylor氏の提案を受けてBTC購入を決めましたか?

A. 提案は会社の購入決定ではありません。後日の12月10日の株主総会では、BTC投資の評価を求める議案が否決されました。

Q. MOODENGは12月2日にCoinbaseで取引開始と発表されたのですか?

A. 確認した当日の報道は上場ロードマップへの追加です。正式な取引開始とは区別して記載しています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。