2024年8月20日ニュース|中国司法解釈と暗号技術・ETFの動向

2024年8月20日前後には、中国の資金洗浄事件に関する司法解釈、暗号技術用チップの資金調達、Solanaを対象とする米上場商品の申請、Base上の名前サービスが話題になりました。いずれも暗号資産に関係しますが、裁判での判断基準、半導体の開発、証券商品の手続き、利用者向けの機能という異なる種類のニュースです。

この記事では当時の四つの話題を取り上げ、2026年9月27日に確認できた公式資料でその後を補います。「発表された」ことと「完成・提供された」ことを分けると、当時何が新しかったのか、現在まで引き継いではいけない条件は何かが見えてきます。

中国の司法解釈は犯罪収益の隠蔽方法を明示

中国の最高人民法院と最高人民検察院は2024年8月19日、資金洗浄事件への法律適用に関する司法解釈を公表し、翌20日に施行しました。第5条第6号は、「仮想資産」の取引や金融資産の交換を通じて犯罪収益を移転・転換する行為を、刑法第191条が定める隠蔽方法の一つとして位置付けています。

条文の前提は、対象となる犯罪で得た財産や収益の出所・性質を隠すことです。したがって、この司法解釈だけを根拠に「あらゆる暗号資産取引が資金洗浄になった」と読むことはできません。同時に、資金洗浄の要件に当てはまらなければ中国で自由に取引できる、という取引規制全般の説明でもありません。

また、第2条と第3条は他人の犯罪収益を扱う場合の認識について、知っていた、または知るべきだったかを、取引や口座の異常、経歴、関係者との関係などから総合判断するとしています。第7条は前提となる犯罪事実の成立を要求します。単に送金に使われた技術の名称だけで結論を出す制度ではない点が重要です。

今回確認したのは2024年に施行された条文と当局の説明です。原記事にあった「市場の信頼性向上を目的とする」という解説は、当局が掲げた犯罪取締りと同じ意味ではありません。個別事件への現在の適用や中国の関連規制全体を網羅したものではなく、日本の取引ルールにそのまま置き換えることもできません。

Fabricの3,300万ドルはシリーズAの調達額

Fabric Cryptographyの企業発表では、シリーズAで3,300万ドルを調達し、以前のシード600万ドルと合わせた累計は3,900万ドルでした。共同主導はBlockchain Capitalと1kxで、資金は暗号処理向けのチップ、ソフトウェア、アルゴリズムなどの開発に充てるとしています。単独ラウンドと累計を区別する必要があります。

同社が開発するVPUはVerifiable Processing Unitの略です。暗号資産を売買するための専用装置というより、ゼロ知識証明などで必要になる計算を高速化するプログラム可能な半導体を目指しています。専用チップに加え、開発者が計算を実装するためのコンパイラやソフトウェア群も構想に含まれていました。

当時の発表は2024年後半の生産・出荷開始を予定として示しました。予約注文があるという会社説明も、納品済み台数や顧客の本番稼働を証明するものではありません。なお、CoinDeskは8月19日に調達を報じ、企業リリースの公開表示は米東部時間8月20日です。日本時間の8月20日記事で扱われた話題を、同日中にすべて完成した出来事としては扱いません。

VPUの後続発表で分かることと残る確認点

2024年9月10日、FabricはPolygon Labsとの協業を発表しました。内容は、VPUベースのサーバーシステムへの500万ドルの投資と、Plonky2・Plonky3という証明技術に合わせたハードウェアとソフトウェアの共同設計です。会社へのシリーズA出資と、サーバーシステムに関する支出は同じ項目ではないため、金額を無条件に足すことはできません。

協業記事は、AggLayerなどで用いる証明を生成する速度や費用の改善を狙い、6〜12カ月以内にVPU上で一連の処理を高速化する試作を届ける目標を掲げていました。この期間は発表時の工程表です。2026年に記事を読み返しても、期間が過ぎたという理由だけでは達成を確認したことになりません。

2026年9月の確認では、公式サイト上にVPUの設計や協業に関する資料が公開されていることを確認しましたが、当初計画どおりの量産開始日、出荷台数、全顧客での導入完了までは確かめられませんでした。処理速度の宣伝値も、対象のアルゴリズムや比較する機器、計測範囲がそろっていなければアプリ全体の高速化率とは比べられません。

VanEckのSOL商品は申請から2025年の上場へ

2024年8月には、CboeのサイトからSolana商品の関連申請が見えなくなった一方、VanEckが計画継続の姿勢を示したことが報じられました。SECの公開資料では同年6月27日提出のS-1登録届出書を確認できます。この書類は発行者側の開示で、取引所による上場ルールの申請とは役割が異なります。書類が残っていることは、その時点の承認や売買開始を意味しません。

後続の一次資料では、Nasdaqが2025年11月17日からVanEck Solana ETF、ティッカーVSOLを上場すると通知し、VanEckも同日、商品を発売したと発表しています。2024年の初期届出書はステーキングを行わない設計でしたが、発売時の説明にはSOLの値動きに加えてステーキング報酬へのエクスポージャーが含まれます。初期案と完成した商品条件は同一ではありません。

発売時のスポンサー手数料免除は、資産額や2026年2月17日までという期限付きでした。2026年9月に取得した米国向け商品ページには経費率0.30%が掲載されています。「ゼロ手数料」という開始時の見出しを現在の恒久条件にはできません。米国商品の上場は日本での販売可否や利益を保証せず、本稿では国内証券会社の取扱いまで確認していません。

Basenamesの36時間は開始時の価格調整

Baseが紹介したBasenamesは、長いウォレットアドレスに人が読める名前を対応させる仕組みです。ENSの技術を使い、name.base.ethのような名前をBase上で登録します。プロフィールや対応アプリとの接続、送受信を分かりやすくする用途があり、名前を取得するだけで収益が生じる仕組みではありません。

公式の開始案内では、各名前の価格を高い水準から始め、最初の36時間で通常価格まで下げるオランダ式オークションを採用しました。ボットとの取得競争を緩和し、希望する名前を選ぶ機会を広げるという設計意図です。ボット利用を技術的に完全排除したという実績の主張ではなく、現在も全登録で36時間待つ制度でもありません。

また、当時の説明には特定のNFT保有者や認証利用者などへの登録割引がありました。無料という言葉には、対象者、名前の長さ、適用する期間という条件があります。割引制度と名前サービスそのものを分けて読むことで、過去のキャンペーンをいつでも使える恒久的な権利と誤解せずに済みます。

現在のBasenamesは年額と公開範囲を確認

2026年9月に確認した公式FAQでは、通常の年額登録料は3文字が0.1ETH、4文字が0.01ETH、5〜9文字が0.001ETH、10文字以上が0.0001ETHと案内されています。これは文字数に応じたETH建ての料金表示であり、円建ての固定価格ではありません。開始時の競売価格や、すべての操作費用を含む総額とも区別が必要です。

同FAQは、割引は1アドレスにつき一度で、複数の条件を満たしても一つの名前に最も高い割引を適用すると説明しています。割引を使い切った後も名前を維持する場合は通常料金が必要です。過去のNFTを持つことと、名前を永久に無料で所有できることは同じではありません。本稿ではウォレットを接続した個別の資格判定や決済は行っていません。

プロフィールに公開した情報がオンチェーンに記録される点も、公式FAQが明示しています。読みやすい名前は本人確認の証明ではなく、相手の信頼性や送金先の正しさを自動で保証しません。実際の利用では対応アプリの表示と宛先を確認し、公開するつもりのない情報をプロフィールへ書かないことが必要です。

よくある質問

Q. 中国では2024年8月20日から暗号資産取引がすべて資金洗浄になったのですか。

A. この司法解釈は、犯罪収益の出所や性質を隠す目的で仮想資産取引などを利用する行為を扱っています。暗号資産取引全般の適法性を判断する文書ではありません。

Q. VanEckのSolana ETFは2024年8月に発売されていましたか。

A. 当時は申請をめぐる段階でした。確認した公式資料では米国のVSOLは2025年11月17日に発売・上場されており、初期届出から商品条件も変わっています。

Q. Basenamesは無料で永久に使えますか。

A. 公式FAQの割引には資格や期間の制限があります。通常は年額料金が設定され、割引適用後の維持にも料金が必要です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。