2026年7月25日|BTCの保有主体・ETF・開発資金を分けて読む

企業がBTCを増やすこと、取引所の残高が減ること、ETFから資金が流出することは、同じ現象ではない。2026年7月25日の元記事は、これらを一つの資金移動として説明していたが、各データだけではその経路を確定できない。本稿では保有主体、流動性、開発資金、市場見通し、制度の五つの材料を分け、確認できる事実と解釈の境界を整理する。

37,000BTCが市場から消えたという計算はできない

元記事は、4〜6月期に企業が115,000BTCを買い増し、個人が78,000BTCを売ったというRiver集計とされる数字を紹介し、差額の37,000BTCが日々の売買から外れたと説明していた。しかし、引き算が合っていることと、その差が流通から消えた数量であることは別問題だ。

今回はこの四半期の元データと分類方法を直接確認できなかったため、両数量を確定した実績として再掲するのではなく、元記事の計算が何を証明できないかを明確にする。企業保有が増えたとしても、相手方は個人だけとは限らず、ファンド、政府、採掘事業者など別の区分も考慮する必要がある。

例えば、ある企業が個人から100BTCを取得すれば、企業側にプラス100、個人側にマイナス100が記録される。これは同じ移転を二つの側から見たもので、BTC自体が消えたわけではない。企業がその後に売却できるなら、所有者が変わっただけで供給が永久に固定されたとは言えない。

さらに、法人なら値下がりに反応せず、個人ならすぐ売るという性格付けも成立しない。売却判断は借入条件、支払予定、運用方針、保管形態などによって異なる。保有者の区分は重要な情報だが、それだけで将来の売りの量や時期を決めることはできない。

7月23日のETFはBTC流出・ETH流入だった

7月23日についてFarside Investorsの日別データを見ると、米国BTC現物ETFは合計2億2,510万ドルの純流出、ETH現物ETFは2,630万ドルの純流入となっている。本稿は2026年9月28日に表を確認した。元記事のより細かい桁の数字を別の出所と混ぜず、今回確認できた表の表示精度で記載する。

この一日は、資産ごとにフローの符号が分かれていた。しかし、BTC ETFから出た資金が企業の直接保有へ移った、あるいはETH ETFへそのまま流れたとまでは分からない。日次の純額には、売却者と購入者をつなぐ資金移動の履歴は含まれていない。

四半期の企業保有量と一日のETFフローを横に並べる場合、対象期間もそろっていない。同じ投資家の行動を示すと説明するには、保有者の開示や取引に関する追加情報が必要だ。日次の動きはその日の需給の一面、四半期の数字は期間を通じた保有構成の変化として読む方が正確である。

ETFのフローを確認するときは、まず対象資産と取引日、次に商品別の内訳を見る。ドル建ての純流出額をBTC数量へ換算する場合にも、どの価格を使うかという条件が加わる。異なる単位の数字を直接差し引いて、売買可能な供給を算出することはできない。

取引所の保管残高と売り板の厚さは一致しない

元記事には、BTCとETHの取引所保有量が長期の低水準に下がったという記述があった。ただし、対象取引所、基準日、ウォレットの分類を確認できる資料が示されていなかった。「2017年以来」「2015年以来」という比較や30日間12億1,000万ドルの資金流入額は、今回の確定値として使わない。

そもそも取引所が管理するウォレットの残高は、その時点で売り注文として出されている数量ではない。取引所に置いたまま売らない利用者もいる一方、必要に応じて外部から資産を移す利用者もいる。保管先の変更による残高減少と、注文の減少を同一視しないことが重要になる。

板の薄さを調べるなら、具体的な取引ペアと時刻を決め、現在価格の上下の範囲にどれほど注文があるかを見る必要がある。例えば価格から1%以内の注文量と、5%以内の注文量は違う指標だ。想定する注文額に対して平均約定価格がどれだけ変わるかも、残高だけでは計算できない。

したがって、保管残高が減ったという材料から直ちに値幅の拡大を結論づけることはできない。流動性の変化を論じるには、残高と注文状況を別々に観測する必要がある。この区別は、BTCが値上がりするか値下がりするかという予想以前の、データの読み方の問題である。

開発支援は9社による3年間1,500万ドルの拠出約束

Galaxyの7月24日の説明によると、Bitcoin Security ConsortiumにはBlackRock、Fidelity Digital Assets、Coinbase、Strategy、Block、Galaxy、Anchorage、ARK Invest、Blockstreamの9社が参加し、今後3年間で計1,500万ドルを拠出すると表明した。元記事の「参加企業名も拠出額も未確認」という扱いは、この公表内容に合わせて更新する。

目的はBitcoinのセキュリティ研究とオープンソース開発への支援であり、量子計算への備えも重要な背景として説明されている。ただし、拠出の約束と、全額がすでに研究者へ支払われたことは同じではない。今後は助成先や実際の支出、研究成果を区別して追う必要がある。

参加企業であるGalaxyの説明は、この団体がコードを作成する開発組織でも、Bitcoinの方針を決定する統治組織でもないと明記している。したがって、資金を出す企業がBitcoinの開発方針を引き取った、と断定する根拠にはならない。

資金提供と開発上の決定をどう分けるかは、引き続き確認する価値がある論点だ。助成の条件、採択過程、成果の公開、開発者の独立性を見れば、単なる拠出額以上の情報が得られる。企業が多くのBTCを保有する事実と、ソフトウェアの変更を決める権限は別に扱いたい。

Coinbaseの中立見通しは底入れの確定ではない

Coinbase Institutionalが7月14日に公開した第3四半期の見通しは中立だった。レポートは、厳しいマクロの流動性環境や米国・イラン情勢などのリスクが、オンチェーンで見られる初期の底入れの兆しを相殺すると説明している。これは分析担当者の見解であり、将来の市場結果を保証する情報ではない。

同資料は、含み益にある供給の割合などから、過去に買い集め局面と重なった水準を論じている。その一方で、持続的な底がすでにできたという判断はしていない。指標が過去の局面に似ていることと、今回は同じ値動きになることを区別している点が重要だ。

また、同レポートは金利やドルだけでなく、原油、企業の暗号資産売却、ETFフロー、レバレッジの積み上がりにも触れる。元記事のように警戒材料を四つだけに分け、そのうち三つが外部要因だから暗号資産固有の材料では方向が決まらない、と結論づけるのは単純化しすぎている。

予測を読む際には、結論の強気・弱気だけを抜き出さず、どの条件が変われば見方を変えるのかを確認したい。保有主体やETFの数字も、そうした条件の一部にはなるが、単独でレポート全体の判断を代替するものではない。

Ondoの業務認可とステーブルコインの論点を分ける

Ondoは7月23日、子会社Oasis Pro Marketsがトークン化された株式やファンドを米国投資家へ提供するためのFINRAの認可を得たと発表した。同社はもともとSEC登録のブローカー・ディーラーである。業務上の認可と、SECが個々の投資商品を推奨・承認したことは異なり、発表自体も当局が投資を推奨したものではないと明記する。

この発表は米国の市場参加者向けの枠組みに関するもので、日本居住者への提供開始を示すものではない。トークン化という技術の共通性があっても、対象証券、投資家の資格、仲介業者、保管や決済の制度は個別に確認する必要がある。

一方、BISが5月5日に公表したペーパー170は、外貨建てステーブルコインの普及が、新興国などで通貨代替を通じて通貨主権に影響し得ると論じている。これは7月の同じ週に新たな規制が決まったという話ではなく、以前からある政策上の分析である。論文の見解も著者のもので、BISや加盟中央銀行の統一見解とは限らない。

証券の発行・流通と、日々の決済や価値保存に使われる通貨の問題は、制度上の問いが異なる。今回の材料を一つの「市場の外へ資金が移る流れ」にまとめるより、所有者、売買の場所、研究の資金源、法的な権利という別の変化として捉える方が、実際に何が進んだのかを理解しやすい。

よくある質問

Q. 企業と個人の保有量の差は市場から消えたBTCですか?

A. そのようには計算できません。保有者区分の増減から、売買されなくなった数量や将来の売却可能性は直接分からないためです。

Q. 取引所の残高が減ると必ず板が薄くなりますか?

A. 保管残高と注文量は別です。板の厚さは対象ペア・時刻・価格範囲を決めて注文状況を確認する必要があります。

Q. 開発支援団体がBitcoinの方針を決めるのですか?

A. Galaxyの説明では、Bitcoin Security Consortiumは開発や統治を行う組織ではありません。資金支援と変更の決定権は区別されています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。