20%分離課税は法制化済み、国内暗号資産ETFは政令待ち——7月13日の制度進捗

7月13日時点で「決まったこと」と「まだ決まっていないこと」
国内暗号資産ETFと20%申告分離課税をめぐる議論が、一段進んでいます。

7月13日時点で「決まったこと」と「まだ決まっていないこと」

  • 国内暗号資産ETFと20%申告分離課税をめぐる議論が、一段進んでいます。
  • 2026年7月10日、片山さつき財務・金融担当相が、QUICK主催のセミナーで国内の暗号資産ETFについて「解禁する方向で検討を進めたい」と述べたと報じられました。QUICKも同日のセミナーを「暗号資産ETF解禁の意義と実現に向けた課題」を扱う場として案内しています。現時点で金融庁の公式サイトに講演全文は確認できないため、この発言自体は報道ベースとして扱うのが適切です。
  • ただし、今回の材料は、突然出てきた構想ではありません。
  • 金融庁は2025年末の令和8年度税制改正資料で、一定の暗号資産を対象とするETFを政令改正によって組成可能にし、そこから生じる所得を申告分離課税の対象にする方針を明示しています。暗号資産の現物取引、デリバティブ、ETFを同じ制度改正の流れで扱う構想です。
  • 重要なのは、次の3段階を混同しないことです。
  • 税制改正法は成立済み。
  • 暗号資産を金商法へ移す法案は参議院で審議中。
  • ETFの商品化は政令改正と個別の商品手続待ち。
  • 「国内ETFが解禁された」「今から税率が20%になった」と読むのは、まだ早い状況です。

まず結論:制度は進んだが、商品はまだない

  • 2026年7月13日時点の状況は、次のように整理できます。
  • 20%申告分離課税
  • 制度を盛り込んだ所得税法等の改正法は、2026年3月31日に成立・公布されています。税制の方向性は、単なる要望や検討段階を越え、法律に組み込まれました。
  • ただし、適用はまだ始まっていません。
  • 金融商品取引法への移管
  • 暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移す法案は、6月11日に衆議院を通過しました。6月15日に参議院財政金融委員会へ付託されましたが、7月13日朝時点の公式議案情報では、参議院での委員会採決と本会議採決はまだ記録されていません。
  • 国内暗号資産ETF
  • 金融庁は、現在は国内で組成できず、投資信託及び投資法人に関する法律施行令、いわゆる投信法施行令の改正が必要だと説明しています。したがって、ETFは政策の方向性が示された段階であり、個別商品が承認・上場された段階ではありません。
  • この3つを分けることが、今回の材料を読み違えない出発点です。

20%分離課税は「可能性」から「条件付きの法制度」へ進んだ

  • 今回の原稿で最も更新すべきなのは、税制の扱いです。
  • 令和8年度税制改正では、一定の暗号資産の譲渡によって生じる所得を、所得税15%、個人住民税5%の合計20%で申告分離課税する制度が設けられました。金融庁の資料では、この20%は復興特別所得税を除く数字として示されています。対象となる損失については、一定の要件の下で3年間の繰越控除も認められます。
  • ただし、「すべての暗号資産取引が一律20%になる」という制度ではありません。
  • 対象は、金融商品取引業者等の登録を受ける暗号資産取引業者が取り扱う一定の暗号資産、すなわち「特定暗号資産」です。また、税制上の特例が適用される譲渡経路も、暗号資産取引業者への売委託によるもの、または暗号資産取引業者に対する譲渡に限定されています。
  • このため、海外取引所、DeFi、個人間取引、ウォレット間の交換などが同じ20%の対象になると、現段階で一括りにすることはできません。少なくとも、公式資料は対象銘柄と取引経路を限定する設計です。

いつから20%になるのか

  • 税制改正法が成立した日と、実際に20%課税が始まる日は異なります。
  • 国税庁の資料では、特定暗号資産の申告分離課税は、暗号資産を金商法へ移す改正法の施行日の属する年の翌年1月1日から適用すると説明されています。それ以前の所得については、従来の扱いが続きます。
  • つまり、金商法改正案が成立しても、その日から直ちに20%になるわけではありません。
  • たとえば、改正金商法が2027年中に施行される場合、制度設計上は2028年1月1日以後の対象取引から適用されることになります。これは施行時期を前提にした例であり、最終的には改正法の成立、公布、政令で定める施行日を確認する必要があります。
  • したがって、2026年中の売買益や現在の取引について、すでに20%が適用されると判断するのは誤りです。

損失の3年繰越も「株式と同じ」とは限らない

  • 新制度では、対象となる特定暗号資産の譲渡で生じた損失を、一定の要件の下で翌年以後3年間繰り越せるようになります。
  • ただし、ここでも注意が必要です。
  • 3年間の繰越控除があることと、上場株式、投資信託、先物取引など、他の金融商品との損益通算が全面的に認められることは同じではありません。
  • 国税庁の資料では、特定暗号資産の損失を、将来の特定暗号資産に係る譲渡所得等から控除する仕組みとして説明しています。株式の譲渡損失と自由に相殺できるとまでは示されていません。
  • 「20%」「3年繰越」という数字だけを見て、上場株式と完全に同じ税制になると受け取らない方が安全です。

国内暗号資産ETFは、なぜまだ買えないのか

  • 金融庁は、一定の暗号資産を投資対象とするETFについて、現行制度では組成できず、投信法施行令の改正が必要だと明記しています。政令改正によって組成可能にし、そのETFの譲渡所得を20%の申告分離課税にする方針です。
  • つまり、ETF実現までには少なくとも次の工程が残っています。
  • まず、暗号資産を金商法上の金融商品として扱う法的基盤を整えること。
  • 次に、投信法施行令を改正し、投資信託が暗号資産を投資対象として組み入れられるようにすること。
  • その後、運用会社が商品を設計し、必要な届出や審査を行い、証券取引所での上場承認を得ること。
  • 金融庁や国会の公式資料には、現時点で具体的なETFの商品名、運用会社、対象銘柄、信託報酬、上場日までは示されていません。
  • SNS上で候補名が広がっていても、それは正式な商品申請や上場承認とは別です。

「ビットコインETFになる」とも、まだ断定できない

  • 海外の事例から、国内ETFについてもビットコインやイーサリアムが候補になると予想されやすくなっています。
  • しかし、金融庁の税制資料が示しているのは、「暗号資産取引業者が取り扱う一定の暗号資産を投資対象とするETF」という制度上の枠です。具体的な銘柄名は記載されていません。
  • 商品化には、銘柄の流動性、価格指標の信頼性、市場操作への耐性、カストディ、秘密鍵管理、評価方法などを整理する必要があります。
  • さらに、単一銘柄型なのか、複数銘柄のインデックス型なのか、現物を保有するのか、別の手段で価格連動を目指すのかによって、商品のリスクは変わります。
  • 「ETF解禁の方向」という政策発言と、「ビットコイン現物ETFがこの名称で上場する」という商品情報は、分けて読む必要があります。

金商法改正案はどこまで進んだのか

  • 政府は2026年4月10日、暗号資産取引の規制を資金決済法から金商法へ移す改正案を国会へ提出しました。
  • 改正案では、暗号資産を株式などの有価証券とは別の金融商品として位置づけた上で、情報公表、取引業者への規制、無登録業者への対応、インサイダー取引を含む不公正取引規制などを整備します。
  • 法案は6月11日に衆議院本会議で可決され、現在は参議院財政金融委員会にあります。7月13日朝時点の公式情報では、参議院での採決はまだ記録されていません。
  • 一方、報道では7月14日に参議院財政金融委員会で採決され、7月17日の会期末までに成立する見込みだと伝えられています。ただし、これは正式な議決結果ではなく、国会日程に関する報道です。最終確認は参議院の議案情報で行う必要があります。

ETF化で変わること、変わらないこと

  • 国内暗号資産ETFが実現すれば、利用者は暗号資産交換業者の口座だけでなく、証券口座を通じて暗号資産価格への投資機会を持てる可能性があります。
  • 秘密鍵や送付先アドレスを利用者自身が管理しない商品設計であれば、現物保有とは異なる利用者層が参加しやすくなる余地があります。
  • 一方で、ETFになっても暗号資産の価格変動は消えません。
  • 利用者が秘密鍵を管理しない代わりに、運用会社、信託、カストディ業者、価格指数、証券取引所といった複数の主体が関わります。運用費用、売買価格と純資産価値のずれ、取引時間、流動性、保管障害など、現物とは別の確認事項が生じます。
  • ETFは、暗号資産のリスクをなくす商品ではありません。
  • リスクの持ち方と管理主体を変える商品です。
  • NISAに入るかは別の話
  • 国内暗号資産ETFが組成可能になったとしても、自動的にNISA対象になるわけではありません。
  • NISA対象になるには、商品区分や制度上の要件を別途満たす必要があります。現在の公式資料では、暗号資産ETFをNISAの成長投資枠やつみたて投資枠へ入れるという確定情報は確認できません。
  • したがって、
  • 「ETFになる」
  • 「申告分離課税になる」
  • 「NISAで非課税になる」
  • この3つは、別々の制度判断として扱う必要があります。

誰に影響するのか

  • 個人投資家
  • 最も大きな変化は、現物取引と証券口座の商品を比較できる可能性が生まれることです。
  • ただし、現在の取引が20%課税になったわけでも、国内ETFを購入できるようになったわけでもありません。現段階で必要なのは、売買を急ぐことではなく、自分の取引経路が将来の「特定暗号資産」の条件に入るかを確認することです。
  • 暗号資産交換業者
  • 金商法移管後は、情報公表、投資家への説明、不公正取引対策など、投資商品としての規律が強まります。交換業者は、単に売買の場を提供するだけでなく、対象銘柄の情報と価格形成の公正性について、より大きな責任を負う方向です。
  • 運用会社・証券会社・信託銀行
  • ETFを組成する場合、対象銘柄、価格指数、現物の取得・償還、保管体制、秘密鍵管理、評価、リスク開示、販売体制を設計する必要があります。
  • 制度が解禁されても、商品を実際に運用できる体制が整わなければ上場にはつながりません。

まだ断定しない点

  • 現時点で断定しない方がよいのは、次の内容です。
  • 「暗号資産の税率はすでに20%になった」
  • 税制改正法は成立済みですが、適用開始日は改正金商法の施行に連動します。
  • 「すべての暗号資産取引が20%になる」
  • 対象は特定暗号資産と一定の取引経路に限定されています。
  • 「国内ビットコインETFが承認された」
  • ETFを可能にする方向性は示されていますが、政令改正、商品申請、上場承認は別途必要です。
  • 「SNSで流通する候補名が正式商品名である」
  • 公式資料には、商品名、運用会社、対象銘柄、上場日までは示されていません。
  • 「ETFならNISAで買える」
  • NISA対象かどうかは別の制度判断です。

次に見るべき情報

  • まず確認するのは、参議院での金商法改正案の採決結果です。
  • 成立した場合は、公布日と政令で定める施行日を確認します。20%申告分離課税の適用開始年は、この施行日に連動します。
  • 次に見るのは、投信法施行令の改正案とパブリックコメントです。ここで初めて、暗号資産ETFをどのような条件で組成できるかが具体化します。
  • その後は、運用会社の正式発表、有価証券届出書、目論見書、証券取引所の上場承認を確認します。
  • 税制については、国税庁が公表する対象銘柄、取引経路、損失繰越、報告制度、申告方法に関する正式な案内を確認する必要があります。
  • 制度ニュースでは、次の順序が重要です。
  • 法案成立
  • → 公布
  • → 施行日決定
  • → 政省令・パブリックコメント
  • → 商品申請
  • → 上場承認
  • → 販売開始
  • 候補名が出た段階で、最後の販売開始まで進んだと受け取らないことが重要です。

まとめ

  • 2026年7月13日の国内暗号資産ETFと20%申告分離課税をめぐる状況は、単なる未確認情報ではありません。
  • 20%申告分離課税を盛り込んだ税制改正法は、すでに成立しています。
  • 一方で、その適用開始には暗号資産を金商法へ移す改正法の成立・施行が必要です。金商法改正案は衆議院を通過し、参議院で審議中です。
  • 国内暗号資産ETFについても、政策上の方向性と税制上の枠は示されましたが、投信法施行令の改正、商品設計、申請、上場承認はまだ残っています。
  • したがって、現時点の結論は次の通りです。
  • 税制は法制化された。
  • 市場規制は国会審議中。
  • ETFは政令と商品承認待ち。
  • 個人が買える商品は、まだ確定していない。
  • 今回の材料で見るべきなのは、ETFの候補名ではありません。
  • 次に公開される法案の議決結果、施行日、政令案、目論見書です。

確認したいポイント

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出典: @LaboNft のX記事