世界のマネー供給量が過去最高を更新―M2急増の背景と影響

▽ 要約

グローバル更新:2025年5月、世界M2は123兆ドルで史上最高
地域別差異:米中は拡大継続、ユーロ圏は緩やか回復、日本は安定増
ビットコイン反応:流動性拡大を映し11万ドル台を一時突破
政策要因:FRB利上げ停止・ECB緩和観測がマネー増を後押し

世界のマネー供給量が再び過去最高を更新しました。読者が抱く「もう利上げは終わったのか?」「ビットコインはさらに上がるのか?」という疑問に、本記事はデータと政策動向から答えます。結論は――主要国の金融緩和ペース鈍化でM2伸びは穏やかだが、名目額は拡大が続く。流動性相場の再来がリスク資産を押し上げやすい――です。読み進めれば、インフレ再燃リスクを踏まえた投資判断のヒントが得られます。

世界M2は123兆ドル、名目額で史上最高

2025年5月末の世界M2は前年同月比4.1%増の123兆ドル。ドル安補正後の実質伸びは1.4%だが、額面は過去最高を記録。

主要4経済圏の寄与度

米国21.9兆ドル、中国313兆元、ユーロ圏16.9兆ユーロ、日本1,268兆円が合計の73%を占める。

米国:利上げ停止で再増加

FRBのリバースレポ縮小と国債買い戻しにより、2025年5月の米M2は前年比+4.5%へ急反転。

中国:M2伸び率は減速も水準拡大

人民銀行は2024年以降伸び率を7%台へ抑制。それでも330兆元と世界最多。

インフレと金融政策の相互作用

2023年の引き締めでインフレは沈静化。しかし物価目標達成前に利下げ期待が高まり、潤沢な流動性が戻りつつある。

ユーロ圏:M1減少→景気懸念

2023年のM1急減が信用収縮を招き、ECBは利上げ打ち止めを示唆。

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マネー供給拡大とビットコインの関係

グローバルM2増加は3〜6か月遅れでビットコイン価格を押し上げる傾向。2025年4月のBTC10万ドル突破は流動性改善が一因。

過去サイクルの検証

2020年M2急増→2021年BTC最高値、2023年M2縮小→暗号資産冬の時代を確認。今回も似た構図。

今後の注目ポイント

9月FOMCと中国国慶節前の政策対応。再利上げや人民元安抑制策次第で流動性見通しが変わる。

▽ FAQ

Q. 世界のM2はいつ過去最高を更新しましたか?
A. 2025年5月末に123兆ドルで更新、前年比+4.1%です。

Q. 米国M2が再加速した主因は?
A. FRBが利上げを停止し、リバースレポ残高が縮小したためです。

Q. 中国のM2とGDP成長率の乖離は?
A. 2024年時点でM2+7.3%、名目GDP+5%と差が続いています。

Q. マネー供給拡大はビットコインにどう影響?
A. 流動性増大で3〜6か月後にBTCが上昇しやすい傾向があります。

■ ニュース解説

世界的な金融引き締めは一服し、各国が景気への配慮を強める中でマネー供給量が再拡大しています。ただし伸び率はパンデミック期ほどではなく、インフレ再燃リスクと景気後退リスクの間で中央銀行は難しい舵取りを迫られます。資産市場は「金融環境の微調整」に敏感に反応しており、流動性の行方が2025年後半の最大テーマとなりそうです。

(出典:ECB月報,PBoC,FRB