▽ 要約
概要 トランプ支援のDeFiで発行される投票用ERC‑20。
販売 24年10月と25年1月に実施、調達額は報道に差。
解放 25年7月に取引可決、段階的に解放へ。
危険性 非譲渡設計と偽情報で流動性・詐欺懸念。
WLFIトークンは、米国規制準拠のDeFi提供を掲げるWorld Liberty Financial(WLFI)が発行するガバナンス資産で、非譲渡を前提に投票権を付与しつつ段階的解放をコミュニティ投票で決める仕組みだ。2025年7月に取引可能化が可決され、提携・規制対応も進む一方、販売実績や開示の解釈には幅があるため一次情報に基づくリスク確認が欠かせない。
プロジェクトの正体と設計
非中央集権の利便を保ちながら米国法令に適合する方針を掲げ、WLFIはEthereumのERC‑20として投票権を持つが当初は非譲渡で、解放や上限はガバナンスで決める。
ミッションと提供像(Aave連携)
米ドル建てステーブルコイン普及とKYC/AML徹底を前提に、Aave v3等の既存プロトコルと統合してレンディング等を提供する計画が示されている。
販売対象とKYC
米居住者はSECの認定投資家に限定され、非米居住者とともにKYCを経て参加した。ホワイトリスト受付と初回販売の経緯は公表記録に残る。
トークン販売・分配と現在地
販売は2024年10月と2025年1月に段階実施されたため、調達額・配分は公式文書と報道を合わせてレンジで把握すべきだ。
販売実績
初回は0.015ドル条件の大規模販売が計画され、続くラウンドでは0.05ドル購入者への調整提案が議論された一方、総調達額は報道に差がある。
フェーズ | 価格(USD) | 販売枚数 | 調達額(概数) | 備考 |
---|---|---|---|---|
第1(公開) | 0.015 | 200億 | 3億ドル(計画) | 全供給の20%想定 |
第2(公開) | 0.05 | 約36.5億 | 約1.825億ドル(推計) | 25年1月実施、調整提案あり |
合計 | – | 約236.5億 | 約4.8〜5.5億ドル(報道幅) | メディア間で差異 |
分配設計(公式)
公式の「Gold Paper」では総供給1000億、分配はセール35%、コミュニティ32.5%、初期支援30%、チーム2.5%と定義され、当初は非譲渡としている。
アンロック提案とTGE見通し
2025年7月、取引可能化のコミュニティ投票が賛成99.94%で可決し、初期支援者の一部がTGEで解放される一方でチーム・アドバイザー分はより長いロックを維持する方針が示された。
KYC再審査と段階実施
可決後はSumsubによるKYC再審査や段階的な配布・解放、パートナー統合を進める説明がなされ、具体的なタイムラインは段階開示の位置づけだ。
上場・取引開始の想定
正規の上場先は未発表で、当面はEthereum系DEX中心が想定される。なお「9月初旬の稼働」等の観測はあるが、公式は段階的開始の説明に留めている。
チーム・資本・パートナーの動向
トランプ家は「名誉的な肩書」で関与し、外部資本ではジャスティン・サンの累計少なくとも7500万ドル投資、DWF Labsの2500万ドル取得、ALT5 Sigmaの1.5億ドル級の株式発行によるWLFI準備導入が確認できる。
USD1(ステーブルコイン)と取扱い
USD1は2025年8月22日にCoinbase対応が発表され、WLFIエコシステムの露出が拡大した。これはWLFIそのものの上場とは別文脈だが、周辺流動性には影響する。
主要リスクと注意点
非譲渡設計と政治的関与が重なるため、流動性・規制・誤情報の各リスクが高く、偽の「大口流動性注入」スクリーンショット拡散などの事例も確認されている。
規制・適格性
米国内は認定投資家に限定され、KYC/AMLの徹底が求められる。解放・取引の詳細は今後の投票と当局動向で変動し得る。
▽ FAQ
Q. WLFIトークンとは?
A. トランプ家支援のWLFIが発行するERC‑20の投票用トークンで、当初は非譲渡・ガバナンス用途に限定された(1000億枚)。
Q. 取引解禁は決まったのか?
A. 2025年7月の投票で可決(賛成99.94%)。初期支援分の一部をTGEで解放、チーム分は長期ロック案が示された。
Q. 販売額はいくら調達した?
A. 初回は0.015ドル条件で大規模販売が計画、続く0.05ドル分も実施。総額は約4.8〜5.5億ドルと報道幅がある。
Q. USD1はどこで扱える?
A. USD1は2025年8月22日にCoinbase対応が発表。WLFIの上場有無とは別に、周辺エコシステム拡大が続く。
■ ニュース解説
投票でWLFIの取引可能化が承認されたため、非譲渡設計から段階解放へ移行が始まる一方で、販売実績や分配の解釈に幅があり規制・開示の不確実性も残る。
投資家の視点:一次情報(公式文書・ガバナンス掲示・規約)で分配・権利・KYC条件を都度確認し、二次情報の数値は幅を前提に複数ソースで照合するのが無難。USD1や提携の進展は周辺需給に影響し得るが、解放スケジュール・市場流動性・規制の3点がリスクの主因である。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Business Wire,WLFI,Aave Governance)