▽ 要約
トランプ系WLF:WBTCを継続取得、3月に110.6枚を約1,000万ドルで買付
エルサルバトル:6,271.18BTC保有と公表、IMF合意下で運用方針を調整
リスク:公的部門の増加抑制や倫理面の指摘など論点が併存
価格:評価額は相場次第、足元は7億ドル超に相当
投資家の関心は「WLF ビットコイン購入」の実像と、国家保有を進めるエルサルバドルの最新状況に集まる。両者は目的も執行も異なるため、時系列で整理し、資産裏付け・政策制約・市場影響を対比すれば、過度な期待や誤解を避けた評価軸を持てる。
WLFの購入実績と狙い
WLFは資産裏付けと投資家信頼の可視化を狙うため、大口かつ機動的にETHやWBTCを取得してきた。
2025年1月20日、WLFはETH約4,680万ドルとWBTC約4,670万ドルを数時間で取得し、ポート残高を3億ドル超へ押し上げた。続く3月5日にはUSDC送金後にETH約1,000万ドル、WBTC110.6枚(約1,000万ドル)を追加し、分散保有と迅速執行を示した。取得にはCoW Protocol経由のオンチェーントレードが多用され、執行環境の透明性も高い。
資産開示と信頼性
購入・保有のオンチェーン開示は、WLFIやUSD1(ステーブル)の担保資産を示すシグナルになり、プロジェクトの信頼獲得を補強するため、NansenやArkhamの分析対象になっている。一方で、米報道は利益相反や倫理面の指摘も並行し、投資家は資産規模と統治構造を分離して評価する視点が要る。
取引手法と執行価格
USDCを新設のマルチシグに移して短時間でスワップする手順が定着し、WBTCは3月5日に平均約90,420ドル/枚で約1,000万ドル分が執行された。ETH・ステーブル・他アルト(LINK、AAVE、TRX等)への分散も見られ、流動性・相関・実需を勘案したバスケット構成がうかがえる。
エルサルバドル政府の買付・保有の現在地
政府は「1日1BTC」の継続を掲げる一方、2025年はIMFプログラムにより公的部門のBTC残高を増やさない方針が明記され、見かけの増加は政府内ウォレット統合に起因するため、外形だけで追加購入と断ずるべきではない。
2025年の数量と評価額
2025年3月5日時点で政府準備は6,102BTC超とされ、その後の更新で2025年8月16日に6,271.18BTCが公表された。足元のBTC価格約117,391ドルで評価すれば約7.36億ドル相当となり、対外発信の整合性と会計処理の読み替えが重要になる。
IMF合意と政策運用
IMFの第1次レビューでは「公的部門のBTC保有を増やさない」「Chivo(政府eウォレット)からの早期撤退」等が示され、増加として見える動きはウォレット間の統合と明言された。一方で政府側は透明性サイトやSNSで「積立継続」を強調するため、投資家は一次資料で両者の文言と定義を確認したい。
アプローチ比較と市場への含意
WLFは広報効果の高い一括買いで資産裏付けを示し、エルサルは定額的な蓄積を掲げつつIMF条件に合わせて運用を調整するため、価格インパクトは限定的だが需給の下支え要因にはなる。
投資家が注視すべき指標
オンチェーンの入出金(Arkham等)、プログラム条件(IMF文書)、トークンのロック/流動化(WLFI取引解禁やUSD1の利用先)、および主要購入時の執行価格帯(WBTC約9万〜10万ドル)を併読すると、実需と広報を分解して評価できる。
リスクと透明性
WLFの統治・倫理、政府側の会計・広報の整合性は引き続き検証対象となる。いずれも一次資料(規制文書・オンチェーン・公式発信)に当たり、第三者報道は相互参照に用いるのが実務的だ。
▽ FAQ
Q. WLFの直近のWBTC購入は?
A. 2025年3月5日に110.6枚で約1,000万ドル、平均約90,420ドル/枚。
Q. WLFの残高規模は?
A. 2025年1月末に約3.7億ドル規模との分析があり、その後も積み増し。
Q. エルサルの保有量は?
A. 2025年8月16日に6,271.18BTCと公表、約7.36億ドル相当。
Q. IMF合意の要点は?
A. 公的部門のBTC保有は増やさず、Chivoの公的関与を段階的に終了。
Q. 市場への影響は大きい?
A. 単発の買いは限定的だが、需給の下支え・信認には寄与し得る。
■ ニュース解説
WLFは2025年1月と3月にWBTC等をまとまって取得し資産裏付けを強化したため、プロジェクトの信頼性訴求が進んだ。一方でエルサルバドルはIMF合意下で公的保有の増加抑制を掲げ、見かけの増はウォレット統合と説明された。
投資家の視点:一次情報(オンチェーン、IMF文書、政府公式発信)で数量・資金フロー・条件を突き合わせ、広報と実需を切り分ける。執行価格帯と流動性、WLFI/USD1の制度・開示、IMFレビュー時期をイベントドリブンで追跡する。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:The Bitcoin Office(X),IMF,Arkham Intelligence Research)