トランプ支持団体共同創設者による“Memeコイン”大量売却騒動と就任式前夜の仮想通貨市場動向

【要約】
本記事では、保守派活動家でありStudents for Trump共同創設者のRyan Fournier(ライアン・フルニエ)が、TikTok解禁を祝う目的で作られたMemeコイン「TIKTOK」の供給量の半分を売却し、詐欺疑惑が浮上している問題を取り上げます。また、米国ではドナルド・トランプ氏の大統領就任式が間近に迫り、著名投資家や企業経営者が式典に参加する見通しです。さらに、メラニア・トランプにちなんだMemeコイン「MELANIA」を大量保有するクジラ(大口投資家)が大幅な含み益を得ていることも確認され、政治と仮想通貨界隈の話題が交錯しています。以下では、事実ベースで各トピックの詳細を解説します。

Ryan Fournierと「TIKTOK」Memeコイン売却騒動

保守派の若年層を中心に支持を集める団体「Students for Trump」の共同創設者であるRyan Fournier氏が、TikTokの米国再上陸にあやかって作成されたMemeコイン「TIKTOK」を大量売却したとして、投資家コミュニティ内で物議を醸しています。

もともと、この「TIKTOK」Memeコインは、TikTokが米国市場で新たな展開を迎えるタイミングに合わせて話題性を狙い、Fournier氏とあるトレーダー(Xユーザー名“Asta”)が中心となって立ち上げられました。Asta氏がコントラクトを作成し、その半分に相当するトークンをFournier氏のウォレットに送付。すると短期間で「TIKTOK」の価値は急騰し、瞬く間に時価総額9,000万ドル(約100億円)規模にまで膨れ上がりました。

しかし、価格が下落に転じた頃合いで、Fournier氏のウォレットから5.05億枚もの「TIKTOK」が売却され、約70万ドル相当のSOLに交換されたことがブロックチェーン上で確認されます。これが原因で、一部から「詐欺的なインサイダー取引ではないか」という批判が噴出しました。

Fournier氏はX(旧Twitter)のスペースで音声対談を行い、「Astaが先に売り抜けたので自分も売却に踏み切った。自分は騙された被害者だ」と反論しています。さらに、実質的な損益はほぼトントンに近かったと主張したうえで、投資家に対しては「必要であれば補償金を用意することも検討している」と述べました。また、「今後は仮想通貨から距離を置く。次期トランプ政権で働くことを考えているので、誰を信頼すべきかを見極めるまで慎重になりたい」としています。

一方、Asta氏のウォレットからは大きな売却の痕跡は確認されていません。Fournier氏側が指摘する「Astaが別のアドレスを使って売っていた」かどうかは定かでなく、両者の主張は平行線をたどっています。いずれにせよ、「TIKTOK」Memeコインは今回の騒動を受けて大きく値を下げ、Fournier氏の信頼度にも影響が出ていることは確かです。

トランプ氏の大統領就任式と著名人の参列

米国では、ドナルド・トランプ氏が2025年1月20日(現地時間)正午に就任宣誓を行い、同日夕刻(日本時間では1月21日未明)に大統領就任式が挙行される予定です。宣誓はアメリカ連邦最高裁判所長官ジョン・ロバーツ氏が執り行い、その直後にトランプ氏による就任演説が行われると報じられています。

今回の式典には、イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏、マーク・ザッカーバーグ氏など、米国を代表する大富豪やテック企業の経営者が一堂に会する予定であることが注目ポイントです。また、初日から100本を超える行政命令に署名する可能性があるとも伝えられ、移民政策やエネルギー政策、さらにはIT業界をめぐる規制分野で大きな転換が予想されています。

式典の費用は「大統領就任委員会」が負担しており、国会議事堂での公式な宣誓部分以外の多くの関連イベントの経費は、同委員会によって賄われます。ベゾス氏やザッカーバーグ氏、アップルCEOのティム・クック氏、OpenAIのサム・アルトマン氏などが、それぞれ100万ドルの寄付を行ったとされ、最終的には1億7,000万ドル以上を集めたとの報道もあります。

MELANIAコインを保有するクジラの巨額利益

こうした政治的イベントと並行して、仮想通貨市場では別の「トランプ関連Memeコイン」として注目を集める「MELANIA」が高騰しています。監視サービスLookonchainのデータによると、あるクジラが68万ドルを投じて520万枚のMELANIAを取得しており、その一部約20.3万枚を売却して214万枚相当のUSDCに交換。残りの500万枚が依然として約6,490万ドルの価値を持つため、この投資家は実質的に数千万ドル単位の含み益を得ている計算になります。

このようにメラニア・トランプ(トランプ大統領の配偶者)をモチーフにしたMemeコインの取引が盛り上がりを見せている背景には、政治的関心の高さと投機要素の融合が指摘できます。Memeコインは本来、実需や技術的価値よりもコミュニティやトレンド性に左右されがちなため、相場変動も急激です。特に有名政治家やセレブリティに関連づけられたMemeコインは、SNS上の話題一つで爆発的に価格が上昇・下落するケースがしばしば見受けられます。

政治と仮想通貨が交錯するアメリカの現状

米国では、政府高官や政治活動家が仮想通貨プロジェクトに関わる事例が近年増えてきています。政府の規制方針も大きく変わりうるため、市場参加者は常に政策動向を注視しています。今回の「TIKTOK」Memeコイン売却騒動でFournier氏が「今後は加密資産から退き、次期政権で働きたい」と語ったように、政治関係者の動きひとつでコミュニティの信用度が左右されるのが仮想通貨の特徴でもあります。

一方で、トランプ氏自身やその周辺が加密通貨に直接かかわるかどうかは、まだ不透明な部分が多いです。Fournier氏はXのスペースで「自分はトランプの仮想通貨アドバイザーとも繋がりがある」と発言しましたが、具体的な政策や関与範囲については確かな情報が出ていない状況です。こうした曖昧さがあるからこそ、投機筋によるMemeコインへの資金流入が続き、結果として今回のような騒動も起きやすくなっていると考えられます。

急騰・急落を繰り返すMemeコイン投資のリスク

「TIKTOK」や「MELANIA」といったMemeコインは、明確なプロダクト機能を有しているわけではなく、主にSNSを通じた話題性が価格を大きく押し上げる特徴があります。短期的に莫大な利益を生む可能性がある一方で、価格が急激に下落すれば元本割れするリスクも高い点には十分な注意が必要です。とくに大口保有者による売却が行われると、流動性の低いMemeコイン市場では値崩れが一気に進みやすいです。

今回のRyan Fournier氏の売却疑惑や、MELANIAコインをめぐるクジラの天文学的含み益が示すように、情報の非対称性や資金力の違いが大きく働くことも珍しくありません。投資家は、トークン契約の透明性・開発者の信頼度・保有割合の偏りなど、多角的にリスクを分析する必要があります。

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