▽ 要約
・TRUMP関連企業が多様な仮想通貨を保有
・$TRUMP 80%をCIC Digital等が管理し3年ロックアップ
・TMTGが25億ドル投資で大規模BTC準備金を構築予定
・NFT事業ロイヤリティでETHを継続取得、保有額は最大2,500万ドル規模
$TRUMPトークン――発行と保有構造
2025年1月に公開された公式Memecoin「$TRUMP」は総発行10億枚。その80%(約8億枚)をCIC Digital LLCとFight Fight Fight LLCが保有し、3年間で段階的に解除するロックアップ契約が存在します。上場直後の急騰後は下落を続け、6月16日時点の価格は約10ドル。トランプ側は初期販売収入と取引手数料で累計3億ドル超を得ています。
手数料収益の内訳
トークンには取引税が設定されており、販売後の市場取引で生じる税収が自動的に陣営ウォレットへ送られます。特に投資家向けディナー招待イベント発表直後の高い出来高で135万ドルが追加で流入しました。
DeFiプロジェクト「World Liberty Financial」のトークン保有
トランプ一家がDT Marks DEFI LLCを通じて運営するWorld Liberty Financial(WLFI)は、ガバナンストークン**$WLFIを225億枚発行。うち約60%を陣営企業が保持しています。2024年末からのパブリックセールで総額5.5億ドル**を調達し、トランプ氏の財務開示では約5,700万ドルのトークン売却益が確認されました。
TMTG――25億ドル規模のビットコイン準備金計画
Truth Social運営会社Trump Media & Technology Group(TMTG)は、2025年5月に25億ドルの資金調達を正式化し、段階的にビットコインへ転換する方針を公表。6月13日にはSECの登録が有効化され、上場企業としてのBTC大量保有計画が承認されました。価格想定3万ドル/ BTCなら8万枚超の取得余地がある計算です。
NFT事業によるETH蓄積
2022年から展開する「Trump Digital Trading Cards」はPolygonチェーン上で4シリーズ計20万点を発行。一次販売総売上は2,200万ドルを超え、ライセンス料としてトランプ氏側に少なくとも720万ドルが支払われています。二次流通10%ロイヤリティにより、関連ウォレットには累計約1,000 ETH(ピーク時評価額2,500万ドル)が蓄積されました。
不動産事業と暗号通貨決済の拡大
トランプ・オーガニゼーションはドバイの「Trump Tower Dubai」開発でビットコイン支払いの受け入れを表明。高級物件購入者が暗号資産で決済する場合、企業側がBTCをそのまま保有する可能性も示唆されています。公式報告書には直接保有の記載はないものの、暗号通貨が事業資金フローに組み込まれ始めています。
■ ニュース解説
トランプ関連企業の仮想通貨戦略は、ブランド活用型トークン発行($TRUMP)、資本拡大を伴うDeFi事業(WLFI)、準備資産としてのビットコイン大量取得(TMTG)という三層構造が特徴です。これにNFTロイヤリティと不動産決済が加わり、暗号資産は単なる投機対象から資金調達・ブランディング・財務戦略まで幅広く機能しています。
市場では供給集中による価格変動リスクと、巨額BTC購入が与える需給インパクトの両面が注目されており、今後もオンチェーンデータと規制当局の動向が投資判断の鍵となるでしょう。