▽ 要約
市況:BTCは$90,000到達後に$86,000台まで反落。
焦点:株式のトークン化をにらみ取引所が機能拡張へ。
香港:HashKeyが港交所に上場、394倍超の需要。
注意:上場仲介を装う詐欺に警戒、手続き確認が要。
12月18日はBTCとETHが節目を跨いで変動し、上場・制度・商品設計が同時に動く局面として整理できる。

2025-12-18の暗号資産市場は、BTCが$90,000到達後に$86,000台へ沈むなど値動きが荒く、同時に制度・商品面でもニュースが重なった。トークン化株式の文脈では、取引所の機能拡張や取引時間の延長構想が相次ぎ、投資家は「価格」だけでなく「市場インフラ」の変化も点検したい。この記事では、当日の市況、規制論点、主要プレイヤーの動きを解説します。
市況総括
価格とセンチメントはマクロ指標前の調整色が強く、BTCとETHは節目で上下した。
BTCは2025-12-17に$90,014まで上昇した後、2025-12-18に$85,973まで下落するなど、短時間でレンジが切り替わった。日中には$87,076近辺まで戻す局面もあり、$84,000〜$94,000の広いレンジ観測が意識されやすい。
ETHも2025-12-17に$3,003を回復した一方、2025-12-18には$2,796まで下落し、$3,000がレジスタンス/サポートの両面で心理的節目になった。主要アルトのボラティリティが高い局面では、レバレッジ調整と現物需要の強弱が短期の値幅を作りやすい。
市場の関心は米CPIと日本の利率決議といったマクロイベントに向いており、暗号資産は「極度の恐怖」といったセンチメント指標が示す通り、防御的なムードが重なった。短期ではイベント通過後にボラの収束/拡大のどちらに振れるかが焦点になる。
規制・政策アップデート
制度変更は単発でなく段階的に進むため、投資判断の前提を年次で更新する必要がある。
日本では暗号資産の税制を巡り、申告分離課税(20%)への移行時期として2028-01施行案が取り沙汰され、2026年の「金融商品指定」、2027年の分離課税開始、2028年の暗号資産ETF解禁という工程表が言及された。現時点では確定情報として扱えないが、制度が動く場合は取引形態(現物・デリバ・ETF等)の優先順位が変わり得る。
一方で、香港では規制下での上場事例が積み上がりつつある。2025-12-17にHashKeyが香港取引所(HKEX)主板へ上場したことは、ライセンス・監査・開示を満たしながら資本市場にアクセスするモデルの参考になる。
企業・資金調達・プロジェクト動向
取引所とインフラ企業は、暗号資産単体から複合金融プラットフォームへ軸足を移し始めた。
HashKey上場:香港で「合規IPO」のケーススタディ
上場の数字は資金需要の強さを示す一方、収益性の検証はこれからが本番になる。
HashKeyは2025-12-17にHKEX主板に上場し、公開価格は1株6.68香港ドル、募集資金の純額は約14.8億香港ドルとされた。香港公開発售は約393.7倍の超過申込で、申込資金は約668億香港ドル、参加投資家は約8.8万人とされる。
同社は2018年創業で、複数地域で13のライセンスを取得するなど「持牌合規」を掲げてきた一方、2022年から2025年上半期までの累計損失は28.6億香港ドル超とされる。現金・現金同等物14.8億香港ドル、デジタル資産5.7億香港ドル(いずれも2025-10-31時点)といった資金余力は、投資フェーズを支える指標として確認したい。
Coinbase:株式・予測市場・無期限先物で「総合取引所」へ
暗号資産の口座を起点に、株式やイベント予測まで接続する動きが強まっている。
米Coinbaseは米国での株式取引の開始、予測市場、無期限先物、トークン化された株式といった機能拡張が話題になった。ユーザー体験としては「暗号資産アプリ」から「金融アプリ」へ近づくため、規制適合・清算・カストディの設計が競争軸になりやすい。
ベンチャー領域では暗号資産系VCのShima Capitalが静かに運営を終えたとされ、資金供給のフェーズが「拡大」から「選別」へ寄っている。取引所やインフラが拡張するほど、プロジェクト側はプロダクト適合と規制対応を同時に求められやすい。
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論点とリスク
利便性の向上と引き換えに、リスク管理の難度が上がる。
トークン化と取引時間延長は同じ方向を向く
市場の連続性が増すほど、リスク管理は「止めどき」を設計する問題になる。
ナスダックが23時間取引を検討し、チェーン上の株式やトークン化資産への橋渡しを狙う構図は、取引所の「稼働時間」と「商品範囲」の同時拡張を示す。取引可能時間が長くなるほどヘッジ機会は増えるが、流動性が薄い時間帯のギャップやシステム障害時の影響は大きくなる。
上場プロセスと「仲介詐欺」への対策
上場期待が高まるほど、情報の非対称性を悪用した詐欺が増えやすい。
CZは2025-12-17に、Binance上場を仲介できると称する人物は詐欺であり通報対象だとし、国家元首からの要請でも上場を拒否した例を挙げた。投資家側は、上場関連情報を「公式発表」「取引所の手続き」「第三者の噂」に分解し、一次情報の確認を徹底したい。
「要人不要币」論争が示すトークン・ガバナンスの弱点
チームや技術が評価されても、トークン価値が自動的に守られるとは限らない。
CircleによるAxelarチーム買収と、トークンが置き去りにされたとの議論は、プロダクト価値とトークン価値が分離し得る現実を映す。高FDVトークンの崩れやAIインフラ統合、規制の常態化といった潮流も、長期では「設計の強度」がより問われる局面を示唆する。2025年の主要叙事を21項目で俯瞰するレビューや、Pump.funを中心としたミーム市場の2026展望も示され、短期トレンドと長期テーマを分けて追いたい。
▽ FAQ
Q. HashKeyの香港上場で注目すべき数字は?
A. 2025-12-17のHashKeyはHKEX上場、6.68香港ドルで定価、純調達14.8億香港ドルが市場材料になった。
Q. 株式のトークン化は投資家に何を変える?
A. Nasdaqは23時間取引を検討し、トークン化で24/7接続が進むほど、清算・流動性管理と価格ギャップ対策が論点となる。
Q. 日本の申告分離課税はいつからという見方が出ている?
A. 申告分離課税は2028-01施行案が取り沙汰され、税率20%想定で2026年指定→2027年開始の段階論も浮上している。
Q. Coinbaseの発表は何がポイント?
A. Coinbaseは2025-12-18の発表として、米国株取引や予測市場、無期限先物などを掲げ「総合取引所」化を示した。
■ ニュース解説
価格が荒い局面で制度と市場インフラも動くため、投資家は値動きと設計変更を同時に点検する必要がある一方で、上場や買収のニュースは期待先行になりやすい。したがって、開示と規制適合、資金繰り、トークン設計の3点に分解して読むのが実務的だ。
投資家の視点:BTCは$84,000〜$94,000の想定レンジとマクロイベントを前提に、①流動性が薄い時間帯の変動、②上場・制度ニュースの確度、③トークンと事業価値の乖離を継続監視したい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:PANews)





